私が小学生の頃、担任の先生から、こんなお話を伺いました。
『天国と地獄のお話
地獄の人々は、お食事をする時、真ん中にごちそうがたっぷりと置かれた、大きい丸テーブルの周りを囲んで腰かけています。
手にはそれぞれ、1メートル以上もある長いお箸を持っていて、お食事をするには、そのお箸を使わなければいけません。長いお箸を使いますと、食べ物をうまく口に運ぶ事ができません。何度も失敗しているうちに、テーブルの向かいの人が、今にも食べ物を口に入れそうになりました。それまで溜まっていたむしゃくしゃした気持ちをぶちまける様に、相手の邪魔をしてしまいます。こうして地獄の人々は、誰一人食べ物を口にすることなく、お食事の時間が終わってしまいました。
天国の人々も、真ん中にごちそうがたっぷりと置かれた、大きい丸テーブルの周りを囲んで腰かけています。
長いお箸を使って、どうやって食事をするのかと言いますと、テーブルの向い側に座っている人に、「はい、どうぞ。」と言って、食べ物を口元まで運んであげています。「ありがとう、おひとつどうぞ。」と向い側の相手にお礼を言ってから、食べ物を口元まで運んであげます。
みんなにこにこ幸せそうに、おいしくて楽しい食事を、心行くまで楽しんでいます。』
このお話を聞いた時、そうか、みんなと分かち合うことで、みんなで幸せ、自分も幸せわくわくでいられるのか!
と、強く感じたのを覚えています。
大学を卒業して、社会人になり、システムエンジニアとして年月とキャリアを重ねていたある日、ふと不思議な感覚になりました。
自分の意識が肉体から離れ、少し高いところから、自分自身を眺めています。
そして目の前の自分はと言いますと、いつも通りお客様や上司、スタッフと接しています。
いつもと違うところはと言いますと、自分自身の口をついて出てくる言葉と、心の声とが、別々に聞こえてくる事です。驚くべき事に、口をついて出てくる言葉と、心の声とが、正反対に聞こえてくるのでした。つまり本音と建前の使い分けがはっきりと分かりました。
小学生の頃担任の先生から伺った、天国と地獄のお話を思い出しました。
地獄の人々は、怒りや嫉妬などの感情を露わにして奪い合いや足の引っ張り合いをしているわけではなかったのです。
爽やかな笑顔、美しい建前、素敵な立ち居振る舞い。しかし、実際にやっていることは、怒りや嫉妬などの感情をむき出しにした、見栄の張り合い、奪い合い。
つまり、地獄の住人は、どこか遠くに住んでいるへんてこな人たちのことではなく、他でもない自分なのだという事に、気付いたのです。そして、愕然としました。
凍った手で心臓を直接鷲掴みにされたかの様に、心の底から身震いし、怯えました。
その衝撃にハッと我に返りましたが、その感覚はしばらく続きました。
実は私は幼少期より、スピリチュアルな体質の持ち主でした。しかしながら現代社会を生き抜くのに、スピリチュアルな部分は誤解を受けやすいなど、かえって邪魔になる事が多かった為、潜在意識の奥底に、封印していました。そしてすっかり忘れていました。
その潜在意識の堅牢な蓋が、何かの拍子に外れたのではないかと思います。
「目覚めなさい。多くの人々に広めなさい」
そんな内なる声が聞こえたかの様でした。
もちろんこんなことは、誰彼なしにお伝えできるものではありません。
半年ほど悩みぬいた末に、会社を辞めて、スピリチュアルカウンセラーとしての道を歩むことに決めました。
勤めていた会社やお客様が地獄の住人だらけだった!と言っているわけではありません。
自分の使命を果たし、広める為に、その場所に留まるわけにはいかなかったのです。
本書を執筆するに至るまでの間に、様々なドラマがありました。
皆さんや私自身の内面により深く向かえば向うほど、より深く大きな課題に直面しました。
そしてその課題をクリアすると、また次の大きな課題に直面するといった感じです。
内面に深く向き合うほどに、不思議な事に出会いの質が変わりました。
そして今では私のまわりには、幸せワクワクな天国体質の方や、そうなりたい方だけが、集まるようになりました。
私のスピリチュアルカウンセリングでは、クライアントさんの口をついて出てくる言葉よりもむしろ、心の声に重点を置いています。
そしてクライアントさんが最も受け取りやすい角度から、最も受け取りやすい強さで、論理的で分かりやすい翻訳を添えて、メッセージをお伝えさせていただきます。クライアントさんは、とっても居心地が良いらしく、1時間のカウンセリングのはずが、いつの間にか3時間、5時間に延長されるといった事も、少なくありません。会社経営者、トップセールスマン、アーティスト、エステティシャン、OLなど、様々なタイプのクライアントさんが、幸せワクワクになって帰路につかれます。
沢山の本の中から本書を手に取って頂き、本当にありがとうございます。
皆さまに、スピリチュアルカウンセリングをさせていただいているつもりで、メッセージをお伝えします。
二〇一一年一二月吉日 スピリチュアルカウンセラー 吉田真一