ラスボスの思想(3)

 今では、AIが進化し、人間以上の知能を持つようになりましたが、AIロボと人間が共同研究したとしても、AIロボに感情を持たせるようになるには、まだまだ、先のことのように思えてなりません。

 

 人には、複雑な喜怒哀楽の感情があります。感情はどのようなメカニズムで発現するのでしょうか?非生物のAIロボには、当然、感情はありません。AIロボに人間のような感情を持たせるためには、まず、感情とは何かを解明しなければなりません。

 

 感情はニューロン機能によって発現されますが、厄介なことに、ニューロン機能には、電気作用と化学物質作用があるのです。電気作用については、集積回路に見られるように、かなりの技術の進歩がみられますが、化学物質を媒介とする生物的技術開発は、まだまだ、未熟なのです。

 

 脳機能の特徴は、シナプス間隙において神経伝達物質のやり取りを行う点にあります。ここに多くの謎があり、未知の世界が広がっています。一方、集積回路(IC)は、生物ではないので、電気のみで機能しています。

 

 そこで、AIと脳について比較してみると、AIと脳には、相違点もありますが、共通点もあります。それは、ともに電気が流れる点です。 

 

 人造脳を作るとして厄介な点は、脳機能が化学物質を媒介としている点です。シナプスにおけるいくつかの化学物質を特定し、製造したとしても、人造シナプスを作り、人造シナプスから神経伝達物質を放出するための条件を設定しなければなりません。さらに、樹状突起に電位を起こさなければなりません。

 

 今のところ、ニューロンもシナプスも人工的につくる技術は、ありません。この技術ができれば、人工的にあらゆる細胞をつくることができ、精子と卵子を人工的に作ることも可能でしょう。そうなれば、正真正銘の人造人間の誕生です。

 

 精子と卵子を人工的に作り出せれば、いろんな人間を作り出せるでしょうが、このようなことができるようになるのは、数世紀先のことでしょう。

 

 でも、今のように、平気でお互いを殺しあうようなレベルの人間ばかりでは、人造人間の開発はムリかもしれません。まずは、神に与えられた脳を有効活用できるようになりたいものです。

 

春日信彦
作家:春日信彦
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