神様、お願い

 

 さやかが、思い出しながら話し始めた。「そうね~。地球とは思えないところだった。大きな門を入ると金色のラクダと銀色のラクダがいて、二人を乗せてくれたの。公園の小道の両側には、ロボのお花が咲いていて、歌を歌って、歓迎してくれた。あ、そう、プール横のパラソルで休んでいると、かわいいロボの女の子がやってきて、昼食の錠剤をくれたのよ。しばらく、休憩していると、突然、体が軽くなって、空を飛べたの。二人が、キャ~キャ~言ってると、キューピットが現れて、会長のところに案内してくれたっけ。こんなところ」亜紀は、信じられなかった。「それって、マジ?うそでしょ。作り話でしょ」アンナが、返答した。「嘘みたいだけど、本当なのよ」

 

 さやかが、話を続けた。「きっと、あの島は、人工島なのよ。しかも、重力を自由に操作できる装置があるのね。奇妙な体験をして、楽しかったけど、さやかは、二度と、行きたくない」亜紀は、話を聞いて、ますます行きたくなった。「亜紀も行きたいな~~。おじいちゃん、招待してくれないかな~~」アンナもさやかと同感だった。「別に見るところもないし、あまり期待しないほうがいいかも」亜紀の頭には、奇妙な魔界島の上空を飛んでる笑顔の自分の姿が浮かんでいた。「今日から、毎日、魔界島に行けますように、って神様にお願いする」アンナは、話題を替えることにした。「拓実も1年生になったことだし、夏休みの思い出を作らなくっちゃね。三密を避けて、遊べるとこって、どこがある?さやか?」さやかもコロナにはうんざりしていた。パ~~と羽を伸ばしたかった。「ヘリで九州一周ってのは、どう?」亜紀が、即座に反対した。「嫌よ、墜落したらどうするの?」

 

 アンナが、提案した。「キャンピングカーで、温泉巡りする?」亜紀は賛成した。「それって、楽しそう。いつから、行く?」アンナは、応答した。「善は急げね。お盆が済んだら、出かけよう~~」さやかが、不安を述べた。「でも、キャンピングカーって、どこで借りればいいの?それに、女性と子供だけで、大丈夫?運転は、だれがするの?さやかは、大きな車は、運転できないよ」アンナが、首をかしげたが、即座に、笑顔を作った。「これって、緊急事態よね。西園さんに相談しましょう」亜紀は、賛成した。「それがいい。西園さん、やさしそうだし」さやかも賛成した。「運転は、アンナと西園さんが、交代でやればいいんじゃない。そうと決まれば、どこの温泉に行くか?みんなで決めましょう。行くとしても、九州内がいいと思う。別府温泉か?雲仙温泉か?杖立温泉か?黒川温泉か?ほかに行きたいところは?」亜紀は、温泉に詳しくなかった。「亜紀は、ママが決めたところでいい。早く、行きたいな~~」

 

 

 

春日信彦
作家:春日信彦
神様、お願い
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