だからあなたは救われない 7
前編では、キリスト教の聖典とされる 『新約聖書』 にまつわる、様々の不可解な疑問について、明らかにし問い詰めもされました。
そして、イエスその人が、キリスト教の説(と)くように、本当に最後の預言者にも違いないのか、その真偽(しんぎ)を確かめる手掛かりが、彼の最期の言葉とされる
「 エリ エリ レマ サバクタニ 」
の一言にあるとも示されました。
それは、「 神よ 神よ 何ゆえにわれを見捨てられるのか!」 とも訳されよう、嘆(なげ)きの言葉にも他なりません。
さては、この一言からも分かるように、イエスその人も、『旧約聖書』 に基づくユダヤ教の、その敬虔(けいけん)な信者にも違いなかったのです。
なるほど、施洗(せせん)者ヨハネに出遭(あ)っては、その教えに帰依(きえ)して洗礼を受けました。
しかしながら、ローマ帝国の支配下にあった当時の国情、並びにその支配に甘んずるばかりのユダヤ教会には、少なからず批判的ではあったにせよ、けっして聖書そのものの教えに悖(もと)り背(そむ)き、反し逆(さか)らうものなどではなかったのです。