迫り来る危機への警鐘
人として、私たちの至らなさの最たるものは、「後悔先に立たず」の戒めどおり、何事も過ぎてしまったその後にしか、事の重大さに気付かされない、その点こそに尽きましょう。
しかし、それも「後退るかに前進する」ことしかできない私たちにとっては、当然にして仕方のないことなのです。
なぜなら、唯々過去を向いてしか、人は未来へと進めないのですから。
だからこそ、歴史上前例のない、文字どおりにも未曾有にして前代未聞の事態には、全く以って無防備であり、どうにも対処のしようがないのです。
そうしたいわば泣き所を、不意にも衝かれて、今更ながらに改めても思い知らされたのが、あの東日本大震災だったのではないでしょうか?
それが証拠に、「想いも寄らない…」「想定以上の・・・」といった字句が、はたしてどれほど繰り返されたことでしょう。
しかも、事後の地質調査で、およそ千年に一度の周期性までが確認もされたのです。
「ならばどうして、それを先に・・・」と、どうにも悔やまれてなりませんが、一事が万事、そうもしたご多分に漏れない有様なのです。
では、どうにも致し方なしとばかりに、あきらめるしかないのでしょうか?
いや、諦観は覚者にして悟ればこそ、絶望は愚者の結論にもすぎないのですから、そのいずれでもない私たちは、「備えあれば憂いなし」の教えどおり、努めて出来うる限りの準備を怠りなく、逸早くも前もって、整えておくべきでありましょう。
その備えのヒントこそが、この書にあります。
まずは、何に備えるかの注意喚起に、そして、どうも備えるかの心掛けにして用心に、その上、どう対処するかの解決策に、どうぞ本書をお役立てください。
果たしては、難無く善処の叶うべく・・・