小説を書くことの効用
簡単にえば、”小説を書く”とは、自分を見つめ、解析し、自分独自の言語世界を創造していくことです。自分を見つめることは、簡単なようで、実はとても難しいことなのです。なぜなら、内在する恐怖や不安と闘わなければならないからです。
だからといって、小説を書くことは、困難なことだといってるわけではないのです。小説を書くということは、だれでも、いつでもできる最も手軽な自己表現なのです。常識と非常識、社会の表と裏、好きなことと嫌いなこと、を書くからこそ、自分の潜在的な可能性が見えてくるのです。
小説を書くことは、”常識という牢獄”から脱出するための一つの方法だと思っています。また、”常識と対峙することからくる恐怖や不安と闘うための武器”でもあるように思えます。
人は生きている限り、内在する恐怖や不安と闘い続けなければなりません。現在、恐怖や不安におびえる自分を自分ではどうすることもできず、時間を感じることもできない真っ暗な部屋に一人ぼっちでこもり、誰か助けてほしいと悲痛な思いで叫んでいる若者は多いことでしょう。
引きこもりから脱出できない人たちの中には、自分には何の価値もないと思っている人たちがいるかもしれません。今、ちょっと考えてみてください。本当に、価値のない人がいるのでしょうか?実は、あなたの価値を必要としている人々は、世界中にたくさんいるのです。
もし、自殺の衝動に駆られた時、ちょっと、窓の外の世界に広がる青空を見つめてください。そして、ほんの一文でもいいですから、気軽に、素直に、簡単な言葉で、小説を書き始めてください。
その時、自分が生きていることを感じることができると思います。そして、きっと、いままで気づかなかった恐怖や不安と闘える”強い自分”に出会えると確信しています。