私は、病気のため故郷を追い出された人間です。でも、新しい土地で、木になれるでしょうか。
遠く離れた土地でも、あのなつかしい、故郷の庭の楠木のようになれたとき、そこから父の建ててくれた形見の家が見えるに違いない。それこそが、私の今の目標です。古いものから新しく、自分で生まれ変わる木。
私は土地に固執する悲しい人間だけど、恋、愛にみっともなく固執さえしなければ、いつか、故郷の父の家が、心によみがえると思うのです。大好きな人への気持ちも、たとえ濃いものであっても、美しい深緑がいいですね。
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