BL短編小説 50作品セット

実質、新婚夫婦。( 1 / 1 )

「あー…何も出ねぇ」
「雅兄ぃ、紅茶でも飲んだら?」

とあるマンションの一室、二人の男がソファーに座っていた。
時刻は昼過ぎだが、小説家である雅史と大学が春休みに入った奏は、家から出る用事は無い。むしろ、雅史は締め切りが近く缶詰になる必要があった。

「おー、奏…サンキュ」

奏が淹れた紅茶に雅史が口を付ける。二人の関係は年の離れた幼馴染で、一人暮らしをしている雅史の所に奏が家事を条件に居候をさせてもらっていた。
…表面上は、そうなっていた。

「雅兄ぃ、腹減ってない? 好きな物作るよ」
「んー、いいわ。それより…」

奏の申し出を断った雅史が、奏に近付く。そして。

「んぷっ? 雅兄ぃ…?」

雅史はその長い腕で、奏の細い身体を抱きすくめた。奏は困惑しているが、嫌ではない。だって、されて嬉しい事だから。

「奏と、セックスしたい」

奏の心臓が、ドクンと高鳴る。二人が一緒に住んでいる本当の理由は、恋人だから。
居候とは言いつつ、その実態は新婚生活と言っても良かった。

「奏も大学忙しかったし、オレも仕事してたし、もう何日もしてないじゃん。オレ、奏を犯してぇよ」
「んっ…」

抱き付いた状態で雅史は囁き、奏の耳たぶに軽く噛み付く。
拒むつもりは、欠片も無い。奏も、何日もしてなかった分、たくさん可愛がられたい。
だけど、逆に邪魔をしちゃわないか心配で、奏は尋ねた。

「雅兄ぃ…エッチして、その後集中できるの? 疲れちゃわない?」
「ま…疲れはするけど、奏の気配や足音を感じるだけでめちゃくちゃにしたいなぁ。ってムラムラしてる今の状況よりは、集中できると思うんだよな」

言って、雅史は奏のうなじを指でなぞった。その快感は、仕事に集中出来ない程オレとしたいって思ってくれてる。と高ぶっていた奏の身体にトドメのように響いた。

「奏、いいよな?」
「うん、いいよ。雅兄ぃ…」

優しく問われて、奏は甘くなった声で了承した。
奏自身は気付いていなかったが、その瞳は潤み、発情しきっている。

「オレの事…雅兄ぃの好きにして…いいよ」

上目遣いに言う姿は、その趣味が無い男でもグラつくだろうと思えるくらいにエッチで、可愛い。
そんなエロ可愛い奏を独占してる事実に、雅史の興奮もより強くなった。

「んじゃ…まずは逃げらんないように…な」
「ふぁ…?」

腕を掴まれて頭上に回される。ひとまとめにした腕を、雅史はタオルで縛った。もちろん痛みも跡も付かない程度の強さで。
手の自由が無くなり、奏は雅史の動きをもう止められない。
自分をおかしくするって知ってる雅史のキスも、無防備で受け入れた。

「んっ…くふ。雅…にぃ…」
「すっごい…エロい顔」

雅史の舌が奏の口に入り、奏の舌を絡め取る。
クチュクチュと鳴る唾液が奏の耳を犯し、否が応にも欲情させた。

「奏、もうビンビンだな。小っちゃな乳首も」
「あうっ」

雅史の指で、シャツごしに右の乳首が弾かれた。奏が思わず仰け反り、キスが離れる。
反らせた首筋が震えるのを眺め、雅史は手を下に動かした。奏の、ズボンの方へと。

「ここも、パンパンでキツそうだ」
「んぁっ、だってぇ…」

ズボンの上からペニスを揉まれ、奏は息を荒くした。

「だって、何?」
「ん…だって、雅兄ぃにエッチしてもらえるって思ったら…」

大好きな雅史に抱かれると思ったら、期待してこうなった。
最後までは言い切れなかったが、雅史はちゃんと理解して嬉しそうに笑う。

「それなら、期待に応えないとな」
「あ…」

雅史の手が、奏のズボンを脱がせ始める。奏は腰を浮かせてそれを手助けする。
しかし、手を使えない状態で腰を浮かせている。つまり背中をソファーに押し付け、足で床を押して腰を浮かせているので、まるで雅史に向かって腰を突き出しているように見える。

「ったく…お前無意識で誘うなよ」
「ぁんっ」

ズボンと下着を脱がされ、外気に晒された奏のペニス。硬く立ったペニスの亀頭を、雅史はつんとつついた。
先端から溢れてきた先走りが指に付き、雅史が舐め取りながら奏のシャツを捲った。

「もっともっと、苛めたくなるだろ」
「ん…ぅ」

捲られたシャツの裾が、奏の口に入れられる。無理矢理入れられた訳でも命令された訳でもないのに、奏はシャツをくわえた。
自然と、シャツは奏を隠す力を失い、奏の胸元までが雅史の目に露出された。

快感で顔を赤くして、自分の口でシャツをくわえて乳首を見せる奏。タオルで手を頭上で縛られ、下着を脱がされた股間も丸見え。そんなそそる格好をした奏の足の間に、雅史が座った。
そしてためらう事も無く奏の足を広げ、その奥でヒクつくアナルに舌を伸ばした。

「んふっ…ぅ」

ひちゃ、と音を立ててアナルが舐められ、奏は身をよじる。こんな格好恥ずかしいのに、気持ち良い。
恥ずかしいのに、自分のペニスごしに見える雅史から目を逸らせない。舌を動かす雅史と視線が合い、奏は顔がまた熱くなった。それを見て、雅史はクスッと笑う。

「このアングル良いな。奏のアナルもチンコも、ピクピクしてんの良く見える。乳首が赤くなってくのも、奏の可愛い顔がエロくなってくのも、全部全部見えてるぜ」
「く…うぅん」

指摘されて、奏は羞恥と興奮をより募らせる。アナル以外は見られてるだけなのに、開発された体は言葉と視線で絶頂へと近付いていく。

「奏、チンコヒクヒクしてる。…イきそう?」
「ぅんっ」

ガクガクと首を縦に振った。
イかせて、イきたいと、奏は首を動かす。その様子を見てるのに、雅史の舌はアナルから遠ざかってしまった。もっとおねだりしないと…と奏は焦ったが、すぐに必要無いと知る。
ヒクつくアナルに、雅史のペニスが押し当てられたから。

「奏がオレのでイくとこ、久し振りに見せてくれよ」
「くぅんっ!」

雅史がペニスの先端を奏のアナルにめり込ませる。何百回と重ね合った身体だから、奏のアナルはもう雅史を拒むすべを知らない。
当然のようにペニスが突き入れられ、確かめなくても分かる奏のイイ場所を、雅史は強く抉った。

「うっ…あぁぁ!」

雅史の望み通り、ペニスで奏はイった。出された精液の量は多く、奏の首にまで飛んでいた。
あまりの放出感に力が抜け、シャツを噛むのすら出来なくなった。

「いっぱい出たな、奏」
「んっ…だって、オレもう雅兄ぃじゃないとイけないからっ。…これ、久し振りにイった…から」

本当はイかせて欲しくて誘おうとしたけど、仕事の邪魔をしたくなかった。
何日も何日も、本当は奏は雅史に犯されたかったのだ。

「そっか…ごめんな。…奏を放っといたここ何日か分」
「あぁっ!」

中の硬いままだったペニスが、再び動いた。今度は奥まで入る、出し入れの動き。

「奏をたくさん可愛がって、イかせまくってやるよ」
「んっ…してぇ。いっぱい、イかせてぇ…」

雅史が奏の手を縛っていたタオルを外す。自由になった手で奏は雅史に抱き付き、逆に貪り返すような熱烈なキスを雅史に仕掛けていた。






「ん…?」
「お、奏起きたか」

目を覚ますと、雅史が優しく頭を撫でてくれた。奏は行為で疲れ、気絶に近い形で寝てしまっていた。

「ごめん、ちょっと無理させすぎた」
「だいじょ…あっ! 晩ごはん…」

慌てて立とうとする奏を、雅史はソファーに寝かせ直す。

「今日は出前にしたから、奏はゆっくり休んでいいよ」

雅史が奏のおでこにキスをした。あんな激しいセックスをしても、恥ずかしく感じる。奏は顔をぽっと染めた。

「奏のおかげで、頭スッキリした。奏が寝てる間にすごい仕事捗ったよ」
「本当? 良かった」

正直、それが目的な事も忘れていたけど、奏は顔が綻んだ。

「しばらくしたら休みもらえるから、そしたら一緒に温泉でも行こうぜ」
「うん、待ってる」

春休み中ずっと一緒ってだけで幸せなのに、旅行のイベントまで入った。
底の無い幸せを味わいながら、奏と雅史は温かい気持ちになっている。

それは紛れも無く…………自分が愛している人から与えられてる気持ちに違いなかった。

ご主人様とお庭をお散歩( 1 / 1 )

「ん…んん」

広い庭で、一人の少年が呻いた。その表情は赤く染まり、口に噛まされたギャグボールを切なげに噛み締めていた。
ここは、富豪の屋敷。そして少年は、その屋敷の使用人…兼、屋敷の主のペットだ。

「んむ…ふぅ」

少年は後ろを歩く主人に、許して欲しいと視線を投げかけた。しかし、意地悪な主人は鼻で笑う。

「ほら、ちゃんと前を見て歩きなさい。でないと、もっとひどい事をしちゃうよ」
「んうっ!」

むき出しの尻を叩かれ、少年が身体をくねらせる。汗ばんだ身体がくねる度に、少年を拘束する赤い縄がギシギシと軋んだ。
全裸の状態で縄の拘束を施され、しゃべる事も許されない少年。おまけに少年はリードの付いた首輪を嵌められ、本物のペットのように屋敷の庭を散歩させられていた。
だが、少年への責めはそれだけでない。縄が食い込んで見えていないが、尻の谷間の奥。淡い菊の華には、電動で振動する淫具が埋め込まれていた。

「はふ…ふぐぅ…」

人間としてのプライドを快感で壊され、息が上がる中自らの足で歩かされる。
もう何十分も続いた生殺しの責め苦。それは、突然に変化した。

「うぐ!?」

尻穴に入っていた淫具が、その振動を数段階強めた。原因は、主人がポケットのリモコンを無慈悲に操作したから。
あまりの快感に少年は地面に倒れ込み。激しく身悶える。

「んん、んん、んんんーっ!」

必死で主人に助けを求めるが、少年を見下ろすだけで決して手を差し伸べようとはしない。
少年は憐れにのたうち、そして、絶頂を迎える。

「ぅむ…ふぅーっ……」
「あーぁ、イっちゃったね」

主人の許可なく射精した少年を、言葉の上では優しくいさめる。しかし、目に携えたサディズムは隠せやしない。

「たっぷりお仕置きをしてあげよう。生まれた事を悔やむくらいの快感に、溺れさせてあげる」

普通なら怯える場所なのだろうが、少年はむしろ期待している。何故なら、この少年にとってお仕置きはご褒美だから。
主と使用人。飼い主とペットの淫蕩な夜は、少年の鳴き声と共に更けていった…。

柱に繋がれ騎士は堕ちる( 1 / 1 )

「んん、うぐぅ!」

無機質なコンクリート造りの部屋で、一人の男がくぐもった叫びを上げる。
それは青年で、悪人を成敗する騎士…だった。今では、そんな面影など無い、無惨な痴態を晒している。

「ぐふ、ぐぅ…」

盗賊を退治しに行った青年は数を利用した卑劣な罠に嵌められ、捕らえられてしまった。
そして騎士の証である鎧を剥ぎ取られ、その下の衣服も剥ぎ取られ。全裸の状態で、青年は柱に拘束された。

両手は高く上げた状態で、鎖を使って柱に括り付けられ。同じように腰も、足も、更には首にまで鎖を巻かれ、柱から離れられないように拘束されてしまった。
最初は毅然として盗賊を睨み付けていたが、その目も黒い布の目隠しで使えないようにされた。外せと叫ぶと、口にはまるで馬に噛ませるような棒の口枷を装着された。

身動きも、視覚も、言葉さえも封じられた青年に、盗賊達は今までの仕返しとして幾つかの玩具を取り付けた。
それは、ローター。ブルブルと振動し、対象の性感帯を責め抜く…残酷な淫具。
最初に乳首、次に尻の穴に淫具を取り付けられ、その刺激で勃ち上がった青年のペニスに、盗賊達は淫具を固定した。

そうして仕掛けを施した後、盗賊達はかつて騎士だった青年を放置し、彼が護っていた村を襲いに行った。

「うあ゛…あぁ」

青年は逃れようと必死でもがくが、それをあざ笑うかのように鎖が乾いた音を立てるだけ。目隠しをぐしょぐしょに濡らす程涙を零し、口枷を強く噛み締め喘いでも、誰も助けには来ない。
捕らわれた自分の情けなさ、護れなかった自分の無力さ、嫌なのに快感に震え何度もイきまくる自分の淫乱さ。それらが混ざり合って、少しずつ青年を壊していく。

「ふぐ…うぐぅーーっ!!!」

大きく身体をビクつかせ、もう何度目か分からない射精。
容易に想像できる、帰って来た盗賊達の罵倒の言葉と、幾ら拒んでも犯し抜かれる未来に絶望しながらも…青年はまたペニスを硬くし、快感に身悶え続けるしか道なんてありはしなかった。

生徒会長に調教されて( 1 / 1 )

「会長、これが書類をまとめたファイルです」
「ありがとう。後は僕がやるから、帰っても大丈夫だよ」

机の前に座ったまま、生徒会長の男は指示をする。その言葉の裏の意味なんて、誰も考えはしないだろう。

「分かりました。失礼します」

扉が閉じられ、部屋は生徒会長を含めた『二人きり』になる。
…いや、正確には『一人と一匹』か。

「ふふ…よく頑張ったね」

小さく笑って、生徒会長は机の下、一匹に向かって笑い掛ける。
そこには、金髪の男。服を脱がされ、身体に縄を巻き付けられた男が…生徒会長がズボンから出していたペニスを、美味しそうに頬張っていた。
亀甲縛りの形で身体を縛られ、後ろ手に拘束され、同じ男の物をしゃぶっている金髪の男。元は不良生徒であまり学校にも来ていない問題児だったが、興味本位で呼び出された生徒会室に訪れた日…それは変わった。

出されたコーヒーに盛られた薬で身動きを奪われ、お仕置きと称して性的調教をされた男は心も身体も生徒会長に服従し、今ではちゃんと授業を受けたご褒美として、放課後に苛められている。

「んふ…むちゅ…」
「そんなに一生懸命性器を舐め回して…エッチな子だ」
「くぅ…ん」

エッチな子、はもはやこの男にとっては褒め言葉で、嬉しそうに鳴いた男は更に舌を動かし、ペニスを刺激する。

「ご褒美をあげよう。しっかり…飲み干しなさい」

掠れた声で言い、生徒会長は精液を男の口に放出する。

「ん…んぐ、んぐ…っ」

普通の感覚ならば、身体が飲み込む事を拒み吐き出そうとするだろう。しかし、男にそんな発想は無く、むしろ吸い出さんばかりの勢いで精液を飲み干していく。
その表情は愉悦に蕩け、淫乱そのもの。ゴキュゴキュと音を立てて、体液を体内に収めた男を、生徒会長…男の主人は頭を撫でて褒めてやる。

「よしよし…良い子だ」
「くぅ…うぅん」

髪を優しく揉まれ、高く鳴きながら男は心地よさに目を細める。
自分が口に含んでいたペニスに頬ずりをし、縛られた身体をもどかしそうに揺らす。ペットのペニスは絶え間無く体液を溢れさせ、縄を通された尻の谷間の奥では、淫猥な肉の華がヒクヒクと息づいていた。

それに気付いていながら、主人は手を出さない。焦れて耐えられなくなったペットが、自らねだるのを待っている。

「どうしたんだ? もじもじして」
「っは…あぅ」

自分で言わないと、何もしてくれない。それを嫌という程知っているペットは、不自由な体を机の下から這い出させ、主人におねだりをする。

「お願い…しま……す。オレのケツマンコ…メチャクチャに犯して、狂わせて下さいぃ……!」

後ろ手を縛られた状態でうつ伏せになり、主人に疼いている穴を見せつける様、ペットは膝を立てて尻を掲げた。
身体をほんのり赤く染めて、破滅的な欲望だと知りつつも主人にはしたなくねだる男。例え男色の趣味が無くとも、多くの男が生唾を飲み込むだろう。

そんな淫乱な雄ペットを飼い慣らした主人はクスリと笑い、尻穴の上を通る赤い縄をずらした。
そして、自身の逞しいペニスを、その穴にあてがう。

「よく、言えました」
「んああぁぁっ!!」

乱暴に挿入されたのに、ペットは悦んで射精した。生徒会室の床が白い体液で汚れる。

「あっ、あっ、あっ、はぁんっ」

舌を垂らし、床に上半身を擦り付けて喘ぎ叫ぶ男を見て、主人は愛しそうに微笑んだ。

「君は僕の物だ。一生苛めて、泣かせて、可愛がって…愛し続けるよ」
「ぁん…嬉ひ……ごひゅじんひゃまぁ…っ!」

傍から見れば異質かも知れない。
けれど、二人の間にあるのは確かな愛情であり、誰にも理解されなくとも二人は愛し愛されている事を実感していた。
五月雨時雨
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