BL短編小説 50作品セット

可愛すぎる弟( 1 / 1 )

「ただいまー」

仕事を終え、一人の男が帰宅した。男の両親は仕事の都合で海外におり、年の離れた弟と二人暮らし。
もうすでに弟は学校から帰っているはずなので、返事が無い事に男は首をかしげた。

「…いないのか?」

だが、戸締りはちゃんとするよう言っているので、鍵がかかって無かったのはおかしい。そして例え二階にいたとしてもただいまと言えばいつも駆け下りて来るので、様子が違う事は確かだ。

「聞こえて無かったかな?」

男はスーツ姿のまま、階段を上がる。宿題中や昼寝をしていて気付かなかったなら、邪魔をせずそっと戻る。
そうでなかったら帰りの報告をする。そんな行動の予定を立てながら。

「ケンター?」

二階の廊下で弟の名前を呼ぶが、それでも反応が無い。うっかり鍵を掛け忘れて出かけた可能性が頭によぎった時だった。

「ふ…ぅ」

弟の部屋の中から、苦しそうな吐息が漏れてきた。そっと近付いて、ドアの前に立つ。

「は…はぁ」

明らかに乱れた呼吸。もしかして具合が。

「お…兄ちゃん」
「え?」

こっちに気付いてるのか? そう思ったが、すぐに違うと知る。同時に、具合が悪い訳では無いとも知る。

「お兄ちゃん、好き…! お兄ちゃん…!」

幼い声が、艶やかに濡れている。それも、兄を呼びながら。
男は悪いと思いつつも手をドアノブにかけ、弟の部屋を小さく開いた。途端、木のドアに抑え込まれていた声が一気に聞こえ始めた。今まで聞こえてなかった水音と共に。

「あんっ…気持ちい…お兄ちゃんに、触って欲しいよぉ…!」

弟はベッドの上で靴下のみを履いた姿で寝転がり、自慰に耽っていた。それも、普通の自慰ではない。
兄の写真を腹の上に載せ、左手で乳首を弄り、右手で可愛らしいペニスを一生懸命扱いている。
だが、一番兄の目を惹いたのは尻の奥の小さな蕾から、一本のコードが覗いている事だった。ベッドとドアの位置関係上、こっそり部屋を覗いている兄の位置からは弟の顔も乳首もペニスも異物をくわえ込んでヒクつくアナルも、何もかもがしっかりと見えている。

兄弟だとかも考えられず、欲情を掻き立てられる痴態に、兄は唾を飲み込んだ。
思わず食い入るように見入り、何時の間にかもっと良く見ようと身体が前のめりになる。

…ガタッ。兄の身体とドアがぶつかり、音がした。

「しまっ…」
「あ…お兄、ちゃん? んぁっ、だめぇ!」

愛しい兄に見られた事に弟は焦るが、快感はとめられない。

「やだ、出ちゃう…お兄ちゃんの前で…いやっ、僕のイくとこ見ないでぇっ!」

絶頂の迫っていた身体は持ち主が抑えようとするのも構わず、昇りつめる事を要求してきた。中に入っている物を抜こうとするが、指は上手くそれを出来ない。
とうとう、その瞬間が訪れる。

「あ、あぁ…見ないでぇ…」

兄に観察されながら、弟は精液を吐き出した。恥ずかしさと兄に対する罪悪感で、弟はぽろぽろと泣き始めてしまった。
枕を抱いて顔を埋めて、大股開きの体勢から左に身体を転がして涙を零す弟に、兄が近付く。

「ごめん、お兄ちゃん。ぼ、く…?」

てっきり軽蔑されると思ってた。怒られると思ってた。しかし、兄の行動はどちらでもなく。
泣いている弟の頭を、優しくそっと撫でていた。

「ケンタ、泣かないで。怒ってないから」

そう言われるが、兄を性の対象にしていた事実は消えない。罪悪感も、消えない。
自己嫌悪から離れられない弟を見て、兄は…決心した。

「ケンタ。こっち…向いて?」

顔を上げるよう促す。それに従い、弟は顔を上げた。

「何…ん……っ!?」

言葉を出そうとした唇が塞がれた。他でもない、愛しい兄の唇で。
つまりは、キスをされていた。
あやすような短いキス。だが、涙を引かせるのには充分だった。茫然としている弟に、兄が言った。

「ケンタ、俺の事好き…だよな?」

さっきあんなに好きと叫んで自分の身体を慰めていたのだ。今更否定してもしょうがない。観念して、コクリとうなずいた。

「俺も、好きだよ」
「え…っ?」

少ないけど、まっすぐな言葉と想い。
ずっと望んで欲しがってたけど叶わないと諦めてた展開に、弟は頭が真っ白になった。

その白に徐々に色が戻ってくるごとに、喜びが現実の物としてやって来る。

「お兄ちゃん…嬉し、好き…っ」
「あぁ、俺も。ケンタが好きで、可愛がりたい」

弟に痴態を見せられて、兄も興奮の真っただ中にいる。
首筋や頬にキスをして、弟のアナルから出ているコードを握った。

「抜くぞ」
「はぅ…んぅぅぅっ」

ゆっくりコードを引くと、中にあった大人の玩具、ピンク色のローターが現れた。
まだブルブルと微弱な振動を続けているそれは、じゅぽっ、と卑猥な音と共にアナルから抜け、ベッドへと落ちた。

「はっ、はぁ…」

枕を握り締めて身体を震わせる弟のアナルは、異物が抜けた状態のまま口を開き、ピクピクと開閉していた。
あまりの淫らな光景に、兄は意地悪をしたくてたまらなくなる。

「こんな玩具、どこで手に入れたんだ?」
「あぅ…インターネットで…」

問われて、弟は正直に答える。
…嘘を吐いていたとしても、結果は変わらなかっただろうが。

「男の子なのに自分に使う為にこれを買って、兄貴をおかずに使うなんて悪い子だな」

そっと、兄はこれから加速する行為の妨げにならないよう、自分の写真をベッドの脇へ置いた。
そして、誘うように震える可愛いアナルに、唇を寄せた。

「あぅ…お兄ちゃん、だめ。僕…恥ずかしいよぉ」

手で隠そうとしても、上手く力が入らない。足を閉じようともするが、兄の手であっさり開かされてしまう。
先程出した弟自身の精液で濡れている穴を、兄の舌が撫でた。柔らかいタッチだったにもかかわらず、生まれた快感は強かった。

「あぁ…んぁっ」
「ケンタの声、エロくて…可愛い」

うっとりとした声色で褒められ、弟はぞくぞくと背筋を震わせた。

「僕…可愛いの? 僕の事、好き?」
「可愛いよ。全部全部、大好きだ」
「んんっ…」

望んでいた以上の返答。嬉し過ぎて、幸せ過ぎて、夢ではないかと心配になる。
けれど夢ではないという事は、兄が与えてくれる甘い快楽の波で教えられた。が、その甘い感覚が急に途切れる。

「お…兄ちゃん?」

身体を軽く起こし、潤んだ瞳で兄を見ると…兄は自分のペニスをズボンから取り出していた。
弟が出した蜜を使って濡らされていたそれは、弟のアナルに近付き、粘膜同士がくちゅっ、と淫らな音を奏でる。

「入れる、ぞ」
「んぁっ、まっ…ふぁぁぁーっ!」

制止したが、兄の行動の方が早く弟の奥深くまでペニスが突き入れられた。
その衝撃で、押し出されるように弟のペニスが白い体液を噴き出す。すると、兄の性器をくわえたアナルも体液が溢れるのに合わせてきゅっと絞まった。

「ケンタのここ…俺のを美味そうにしゃぶってるな」
「だって…お兄ちゃんが好き、なんだもん…」

仕方無いでしょ、と言いたげに唇を尖らせる弟。発している言葉がどれだけ兄を煽るかなんて、きっと分かっていない。

「ケンタ、ケンタ…」
「んぷ…おにい、ひゃ…」

繋がった状態で二人は唇を重ねる。程無くして、兄が弟を本格的に犯し始める。

「っひゃぁぁっ! イイ、よぉ! お兄ちゃんっ」

狂ったように求め合う姿はまるで獣だが、そうなってしまうのも当然だろう。

何年も何年も、叶わないと思って押し込めていたお互いの想いが、通じ合っていたと分かったのだから。

「お兄ちゃんっ、すき、だいひゅきっ」
「俺も、大好きだよ」

自分を想って全身で愛情を伝えてくれる、可愛い弟。
一生可愛がっても足りない想い人を、兄は…激しいまでの愛情で貪っていた。

実質、新婚夫婦。( 1 / 1 )

「あー…何も出ねぇ」
「雅兄ぃ、紅茶でも飲んだら?」

とあるマンションの一室、二人の男がソファーに座っていた。
時刻は昼過ぎだが、小説家である雅史と大学が春休みに入った奏は、家から出る用事は無い。むしろ、雅史は締め切りが近く缶詰になる必要があった。

「おー、奏…サンキュ」

奏が淹れた紅茶に雅史が口を付ける。二人の関係は年の離れた幼馴染で、一人暮らしをしている雅史の所に奏が家事を条件に居候をさせてもらっていた。
…表面上は、そうなっていた。

「雅兄ぃ、腹減ってない? 好きな物作るよ」
「んー、いいわ。それより…」

奏の申し出を断った雅史が、奏に近付く。そして。

「んぷっ? 雅兄ぃ…?」

雅史はその長い腕で、奏の細い身体を抱きすくめた。奏は困惑しているが、嫌ではない。だって、されて嬉しい事だから。

「奏と、セックスしたい」

奏の心臓が、ドクンと高鳴る。二人が一緒に住んでいる本当の理由は、恋人だから。
居候とは言いつつ、その実態は新婚生活と言っても良かった。

「奏も大学忙しかったし、オレも仕事してたし、もう何日もしてないじゃん。オレ、奏を犯してぇよ」
「んっ…」

抱き付いた状態で雅史は囁き、奏の耳たぶに軽く噛み付く。
拒むつもりは、欠片も無い。奏も、何日もしてなかった分、たくさん可愛がられたい。
だけど、逆に邪魔をしちゃわないか心配で、奏は尋ねた。

「雅兄ぃ…エッチして、その後集中できるの? 疲れちゃわない?」
「ま…疲れはするけど、奏の気配や足音を感じるだけでめちゃくちゃにしたいなぁ。ってムラムラしてる今の状況よりは、集中できると思うんだよな」

言って、雅史は奏のうなじを指でなぞった。その快感は、仕事に集中出来ない程オレとしたいって思ってくれてる。と高ぶっていた奏の身体にトドメのように響いた。

「奏、いいよな?」
「うん、いいよ。雅兄ぃ…」

優しく問われて、奏は甘くなった声で了承した。
奏自身は気付いていなかったが、その瞳は潤み、発情しきっている。

「オレの事…雅兄ぃの好きにして…いいよ」

上目遣いに言う姿は、その趣味が無い男でもグラつくだろうと思えるくらいにエッチで、可愛い。
そんなエロ可愛い奏を独占してる事実に、雅史の興奮もより強くなった。

「んじゃ…まずは逃げらんないように…な」
「ふぁ…?」

腕を掴まれて頭上に回される。ひとまとめにした腕を、雅史はタオルで縛った。もちろん痛みも跡も付かない程度の強さで。
手の自由が無くなり、奏は雅史の動きをもう止められない。
自分をおかしくするって知ってる雅史のキスも、無防備で受け入れた。

「んっ…くふ。雅…にぃ…」
「すっごい…エロい顔」

雅史の舌が奏の口に入り、奏の舌を絡め取る。
クチュクチュと鳴る唾液が奏の耳を犯し、否が応にも欲情させた。

「奏、もうビンビンだな。小っちゃな乳首も」
「あうっ」

雅史の指で、シャツごしに右の乳首が弾かれた。奏が思わず仰け反り、キスが離れる。
反らせた首筋が震えるのを眺め、雅史は手を下に動かした。奏の、ズボンの方へと。

「ここも、パンパンでキツそうだ」
「んぁっ、だってぇ…」

ズボンの上からペニスを揉まれ、奏は息を荒くした。

「だって、何?」
「ん…だって、雅兄ぃにエッチしてもらえるって思ったら…」

大好きな雅史に抱かれると思ったら、期待してこうなった。
最後までは言い切れなかったが、雅史はちゃんと理解して嬉しそうに笑う。

「それなら、期待に応えないとな」
「あ…」

雅史の手が、奏のズボンを脱がせ始める。奏は腰を浮かせてそれを手助けする。
しかし、手を使えない状態で腰を浮かせている。つまり背中をソファーに押し付け、足で床を押して腰を浮かせているので、まるで雅史に向かって腰を突き出しているように見える。

「ったく…お前無意識で誘うなよ」
「ぁんっ」

ズボンと下着を脱がされ、外気に晒された奏のペニス。硬く立ったペニスの亀頭を、雅史はつんとつついた。
先端から溢れてきた先走りが指に付き、雅史が舐め取りながら奏のシャツを捲った。

「もっともっと、苛めたくなるだろ」
「ん…ぅ」

捲られたシャツの裾が、奏の口に入れられる。無理矢理入れられた訳でも命令された訳でもないのに、奏はシャツをくわえた。
自然と、シャツは奏を隠す力を失い、奏の胸元までが雅史の目に露出された。

快感で顔を赤くして、自分の口でシャツをくわえて乳首を見せる奏。タオルで手を頭上で縛られ、下着を脱がされた股間も丸見え。そんなそそる格好をした奏の足の間に、雅史が座った。
そしてためらう事も無く奏の足を広げ、その奥でヒクつくアナルに舌を伸ばした。

「んふっ…ぅ」

ひちゃ、と音を立ててアナルが舐められ、奏は身をよじる。こんな格好恥ずかしいのに、気持ち良い。
恥ずかしいのに、自分のペニスごしに見える雅史から目を逸らせない。舌を動かす雅史と視線が合い、奏は顔がまた熱くなった。それを見て、雅史はクスッと笑う。

「このアングル良いな。奏のアナルもチンコも、ピクピクしてんの良く見える。乳首が赤くなってくのも、奏の可愛い顔がエロくなってくのも、全部全部見えてるぜ」
「く…うぅん」

指摘されて、奏は羞恥と興奮をより募らせる。アナル以外は見られてるだけなのに、開発された体は言葉と視線で絶頂へと近付いていく。

「奏、チンコヒクヒクしてる。…イきそう?」
「ぅんっ」

ガクガクと首を縦に振った。
イかせて、イきたいと、奏は首を動かす。その様子を見てるのに、雅史の舌はアナルから遠ざかってしまった。もっとおねだりしないと…と奏は焦ったが、すぐに必要無いと知る。
ヒクつくアナルに、雅史のペニスが押し当てられたから。

「奏がオレのでイくとこ、久し振りに見せてくれよ」
「くぅんっ!」

雅史がペニスの先端を奏のアナルにめり込ませる。何百回と重ね合った身体だから、奏のアナルはもう雅史を拒むすべを知らない。
当然のようにペニスが突き入れられ、確かめなくても分かる奏のイイ場所を、雅史は強く抉った。

「うっ…あぁぁ!」

雅史の望み通り、ペニスで奏はイった。出された精液の量は多く、奏の首にまで飛んでいた。
あまりの放出感に力が抜け、シャツを噛むのすら出来なくなった。

「いっぱい出たな、奏」
「んっ…だって、オレもう雅兄ぃじゃないとイけないからっ。…これ、久し振りにイった…から」

本当はイかせて欲しくて誘おうとしたけど、仕事の邪魔をしたくなかった。
何日も何日も、本当は奏は雅史に犯されたかったのだ。

「そっか…ごめんな。…奏を放っといたここ何日か分」
「あぁっ!」

中の硬いままだったペニスが、再び動いた。今度は奥まで入る、出し入れの動き。

「奏をたくさん可愛がって、イかせまくってやるよ」
「んっ…してぇ。いっぱい、イかせてぇ…」

雅史が奏の手を縛っていたタオルを外す。自由になった手で奏は雅史に抱き付き、逆に貪り返すような熱烈なキスを雅史に仕掛けていた。






「ん…?」
「お、奏起きたか」

目を覚ますと、雅史が優しく頭を撫でてくれた。奏は行為で疲れ、気絶に近い形で寝てしまっていた。

「ごめん、ちょっと無理させすぎた」
「だいじょ…あっ! 晩ごはん…」

慌てて立とうとする奏を、雅史はソファーに寝かせ直す。

「今日は出前にしたから、奏はゆっくり休んでいいよ」

雅史が奏のおでこにキスをした。あんな激しいセックスをしても、恥ずかしく感じる。奏は顔をぽっと染めた。

「奏のおかげで、頭スッキリした。奏が寝てる間にすごい仕事捗ったよ」
「本当? 良かった」

正直、それが目的な事も忘れていたけど、奏は顔が綻んだ。

「しばらくしたら休みもらえるから、そしたら一緒に温泉でも行こうぜ」
「うん、待ってる」

春休み中ずっと一緒ってだけで幸せなのに、旅行のイベントまで入った。
底の無い幸せを味わいながら、奏と雅史は温かい気持ちになっている。

それは紛れも無く…………自分が愛している人から与えられてる気持ちに違いなかった。

ご主人様とお庭をお散歩( 1 / 1 )

「ん…んん」

広い庭で、一人の少年が呻いた。その表情は赤く染まり、口に噛まされたギャグボールを切なげに噛み締めていた。
ここは、富豪の屋敷。そして少年は、その屋敷の使用人…兼、屋敷の主のペットだ。

「んむ…ふぅ」

少年は後ろを歩く主人に、許して欲しいと視線を投げかけた。しかし、意地悪な主人は鼻で笑う。

「ほら、ちゃんと前を見て歩きなさい。でないと、もっとひどい事をしちゃうよ」
「んうっ!」

むき出しの尻を叩かれ、少年が身体をくねらせる。汗ばんだ身体がくねる度に、少年を拘束する赤い縄がギシギシと軋んだ。
全裸の状態で縄の拘束を施され、しゃべる事も許されない少年。おまけに少年はリードの付いた首輪を嵌められ、本物のペットのように屋敷の庭を散歩させられていた。
だが、少年への責めはそれだけでない。縄が食い込んで見えていないが、尻の谷間の奥。淡い菊の華には、電動で振動する淫具が埋め込まれていた。

「はふ…ふぐぅ…」

人間としてのプライドを快感で壊され、息が上がる中自らの足で歩かされる。
もう何十分も続いた生殺しの責め苦。それは、突然に変化した。

「うぐ!?」

尻穴に入っていた淫具が、その振動を数段階強めた。原因は、主人がポケットのリモコンを無慈悲に操作したから。
あまりの快感に少年は地面に倒れ込み。激しく身悶える。

「んん、んん、んんんーっ!」

必死で主人に助けを求めるが、少年を見下ろすだけで決して手を差し伸べようとはしない。
少年は憐れにのたうち、そして、絶頂を迎える。

「ぅむ…ふぅーっ……」
「あーぁ、イっちゃったね」

主人の許可なく射精した少年を、言葉の上では優しくいさめる。しかし、目に携えたサディズムは隠せやしない。

「たっぷりお仕置きをしてあげよう。生まれた事を悔やむくらいの快感に、溺れさせてあげる」

普通なら怯える場所なのだろうが、少年はむしろ期待している。何故なら、この少年にとってお仕置きはご褒美だから。
主と使用人。飼い主とペットの淫蕩な夜は、少年の鳴き声と共に更けていった…。

柱に繋がれ騎士は堕ちる( 1 / 1 )

「んん、うぐぅ!」

無機質なコンクリート造りの部屋で、一人の男がくぐもった叫びを上げる。
それは青年で、悪人を成敗する騎士…だった。今では、そんな面影など無い、無惨な痴態を晒している。

「ぐふ、ぐぅ…」

盗賊を退治しに行った青年は数を利用した卑劣な罠に嵌められ、捕らえられてしまった。
そして騎士の証である鎧を剥ぎ取られ、その下の衣服も剥ぎ取られ。全裸の状態で、青年は柱に拘束された。

両手は高く上げた状態で、鎖を使って柱に括り付けられ。同じように腰も、足も、更には首にまで鎖を巻かれ、柱から離れられないように拘束されてしまった。
最初は毅然として盗賊を睨み付けていたが、その目も黒い布の目隠しで使えないようにされた。外せと叫ぶと、口にはまるで馬に噛ませるような棒の口枷を装着された。

身動きも、視覚も、言葉さえも封じられた青年に、盗賊達は今までの仕返しとして幾つかの玩具を取り付けた。
それは、ローター。ブルブルと振動し、対象の性感帯を責め抜く…残酷な淫具。
最初に乳首、次に尻の穴に淫具を取り付けられ、その刺激で勃ち上がった青年のペニスに、盗賊達は淫具を固定した。

そうして仕掛けを施した後、盗賊達はかつて騎士だった青年を放置し、彼が護っていた村を襲いに行った。

「うあ゛…あぁ」

青年は逃れようと必死でもがくが、それをあざ笑うかのように鎖が乾いた音を立てるだけ。目隠しをぐしょぐしょに濡らす程涙を零し、口枷を強く噛み締め喘いでも、誰も助けには来ない。
捕らわれた自分の情けなさ、護れなかった自分の無力さ、嫌なのに快感に震え何度もイきまくる自分の淫乱さ。それらが混ざり合って、少しずつ青年を壊していく。

「ふぐ…うぐぅーーっ!!!」

大きく身体をビクつかせ、もう何度目か分からない射精。
容易に想像できる、帰って来た盗賊達の罵倒の言葉と、幾ら拒んでも犯し抜かれる未来に絶望しながらも…青年はまたペニスを硬くし、快感に身悶え続けるしか道なんてありはしなかった。

五月雨時雨
BL短編小説 50作品セット
10
  • 0円
  • ダウンロード

13 / 50