淫乱な子は檻に入れて( 1 / 1 )
「ただいま。正樹」
高級マンションの一室。帰って来た男は、楽しそうにペットの名前を呼んだ。
「はっ…あぁんっ!」
玄関までの出迎えは無いが、部屋からは鳴き声での返事がした。その正樹の元へ、主人は歩いていく。
リビングのドアを開けると、黒い箱が目に入る。その大きさは主人の背よりも高い。
「お待たせ、正樹」
「あぁ…ぁっ! ご主人…ひゃまっ…!」
箱の正体は、檻。鉄格子ごしに見える正樹の姿に、主人は愉しそうに笑った。
今の正樹は人間でなく雄犬で、主人に愛玩されるペットの存在だ。
「床、精液でべとべとだね。何回イったんだい?」
「あぅ…分かんない…です」
真っ赤な顔で荒い息を吐き、正樹が主人を見上げて答える。その腹の下の檻の床は、冷たい金属の色が見えない程、性のミルクで染まりきっている。
吐精された場所が一点に集中しているのは、正樹が四つ這いの状態で手足を床に繋がれているから。
両手首を繋がれ、そして足は大きく開いた状態で足首と膝を繋がれ、正樹は腰をくねらせるくらいしか動く事を許されない。
「お尻もすごい事になってるね。尻尾バイブくわえて、気持ち良さそうに汁を垂れ流してる」
「やぁ…! 言わな…で」
主人の指摘で、正樹は嫌でもアナルに入れられた玩具を意識してしまう。
正樹の尻には、男根をかたどったバイブが埋め込まれていた。そのバイブには茶色をした犬の尻尾が付いており、正樹が腰を振る度に左右に揺れている。
腰を振りながら尻尾を揺らし、淫汁を撒き散らす正樹の姿は、淫乱な雄犬そのもの。痴態を晒して快感に身悶える正樹に、主人の欲情は更に掻き立てられた。もっと近くで正樹をめちゃくちゃにするため、主人は檻の鍵を開け、中に入っていった。
「ふふ…近くで見たら、目が潤んでるのがよく分かる。正樹、可愛いよ」
「ごしゅ…む、ふ…んぅっ」
あごを掴まれ、正樹は唇を奪われる。正樹の弱い所を知り尽くしている主人は、巧みに舌を這わせて正樹の口を蹂躙した。
「キス、好きかい?」
「はぷっ…好き……でひゅ…」
主人は分かりきった事を聞き、望み通りの答えを引き出す。
そんな事、快感に蕩けた正樹の目が、キスでより蕩けるのを見れば分かるのに。
意地悪で、欲しがりで、正樹を愛情で支配し尽くしたい主人は、正樹の口で言わせる。
「でも、もっと好きなのは、これでしょ?」
「あっ…」
主人がズボンのチャックを下ろし、ブルン、と逞しいペニスを取り出した。そして、正樹の鼻先にそのペニスを突き出す。
「ふぁ…はっ」
雄の香りが鼻に入り、正樹がまた快感に支配される。
大好きな主人のペニス。幾度となく自分の中を掻き回してくれた肉の棒。
「はい…ご主人様のチンコ…好きぃっ」
正樹は当然のように舌を伸ばし、一生懸命に男性器を舐め始めた。
拘束され自由に動かせない身体を使って、先端のみならず幹や袋にまでむしゃぶりつく正樹に、主人のペニスは硬さを増していく。
「そんなに、私のペニスが好き?」
「はいぃ…匂いも、味も、気持ち良くしてくれるのも……っ」
言いながら、正樹は主人のペニスでアナルを犯された時を思い出してしまう。無意識にアナルがヒクついた事により中に入ったバイブが絞め付けられ、バイブと繋がっている尻尾も揺れた。
まるでねだるように左右に動いた犬の尻尾。そのいやらしさに、主人は唾を飲み込んだ。
「どうやって気持ち良くして欲しい?」
「あっ…」
主人は尋ねて立ち上がり、正樹の尻の前にしゃがむ。そして、熱く張りつめた自身のペニスを、正樹の右の尻に押し当てた。
「ひゃぁぁっ! 熱い…あっ、お尻ぃ」
灼熱の肉棒に火照った体を焦がされ、正樹はビクビクと跳ねる。
身体に力が入り、アナルがバイブをさっきよりきつく締め、正樹の中がバイブの動きで強く削られた。
「もしかして、バイブで満足なのかな? 正樹」
「やぁっ…! 違い…まふ…」
わざとらしくとぼけられても、正樹には反論する気力も、権利も意思も無い。
主人の聞きたいねだりと、正樹の切望。その二つが重なった言葉を、正樹は口にする。
「ご主人様のがいいのぉ! ご主人様のチンコでオレのケツぐちゃぐちゃにして、イかせて欲しいのっ! 熱い精液中にいっぱい出して欲しいのぉっ!」
言葉だけなら惨めなねだりだが、正樹の表情は恍惚で満たされていた。
はしたないねだりで自らを貶め、男の尊厳も無く犯されてよがり狂う事が、正樹の幸せだから。
「全く、エッチな雄犬だね」
「はぅんっ!」
アナルに入っていたバイブを、勢い良く抜かれる。寂しそうにパクパクと開閉するアナルに、主人がペニスをあてた。
愛しい正樹の底無しの淫乱さに、少しでも応える為に。
「私が一生飼って、おかしくなるくらいに気持ち良くしてあげる」
主人が一気にペニスを突き入れた。
「ふぁぁっ! 入ってきたぁ…っ!」
舌をタランと垂らして、正樹は喘ぐ。その顔はもう人間とは呼べない。
快感を求めて狂う、一匹の淫獣。その正樹を犯す主人も、獣へと変わっていく。
主人とペット。服従関係のある二匹の獣は性行為によって関係を深め。二度と戻れぬ性の欲望の中へ、幸せを覚えて浸っていくのだった。
少年囚人更生刑務所( 1 / 1 )
幾つもの牢の中から、少年達の声が響いていた。
「あぁっ…これ、外してぇっ…!」
「もう、やら…許してぇっ…」
聞こえる声は全て甘い悲鳴で、少年達は切羽詰まった哀願を繰り返している。
そんな少年達を、大人の男達。制服に身を包んだ看守達が、鋭い視線で監視していた。
ここは、刑務所。それも表向きにはされていない、特別更生プログラムを扱う刑務所だ。
この刑務所では、あまりに反省の態度が見られない少年や罪を繰り返す少年に、その人格を矯正する為の『教育』を二十四時間受けさせていた。
反抗心を奪う為に服を取り、黒革の拘束服を身に着けさせる。この拘束服は服と名が付いてはいるが、少年の身体を絞め付けるのみで乳首やペニスは全く隠してはいない。
むしろ黒革と白い肌のコントラストが、恥ずかしい場所をより際立たせている節さえある。その場所を隠したくとも、少年達は手首を後ろに捻り上げられた形で拘束されているので、隠す事は出来ない。
そしてその拘束された状態で、少年達は他人に服従する事を覚える為の辱めを受けていた。
「あんっ、あぁっ! これ、取って、イかせてぇっ…!」
一人の少年が牢の格子から、固く勃ち上がった自身のペニスを突き出した。
赤く張ち切れそうな程膨らんだペニスには、射精を封じるリングが嵌められている。
射精を禁じた看守達は、更に少年のアナルに極太のバイブを入れ、抜けないよう固定していた。感じまくらされ、射精感は募るのに、少年は誰一人としてイかせてはもらえない。
…ある、特別な日を除いては。
「はしたなくねだるんじゃない。これから運動の為の移動で呼ぶんだから、大人しく待ってなさい」
「ぁぅっ!」
牢から突き出されていたペニスを、看守が軽く叩いてたしなめた。
運動とは、この刑務所のプログラムに付けられた隠語。少年達を所内の広場に集め、思い切り、精液を出す事を許す日。
もちろん態度が悪い者は連れて行ってはもらえず、射精も出来ない。それ故に、少年達は看守に逆らわず従う事を覚える。そういう仕組みになっていた。
「527番! 順番だぞ」
番号で呼ばれた少年が、快感でふらつく足で鍵の外された牢の外に出た。
同じように出されたのは、合わせて五人。その一人一人に、看守が首輪を嵌めた。
「さぁ、行くぞ」
「は…い…」
看守が首輪を引き、五人の少年を連行する。アナルで暴れまわるバイブと解放を求めて疼くペニスに苦しみながら、少年達が歩き出した。
「はっ…はぁ」
「んぁっ…あぁん」
少年を痛め付ける事が目的では無いので、広場までの道のりは長くなく、段差も無いように作られている。
看守達も無理矢理に首輪を引いたり、身体を叩いて歩かせたりはしない。が、その代わり手助けも命令もしない。
少年達が自分の意思で従い、歩く。この事が、一番大事な要素なのだ。
「ほら、もう少しだ」
看守の言葉通り、もう広場への入口は目の前にある。
「もう少し…で、イける…」
「射精…できりゅのぉ…」
少年達の頭には、もう射精への切望が居座って離れない。震える足を解放への期待で動かし、少年達は広場に辿り着いた。
「んぁっ! あぁ、イくぅーっ!」
「オレしゃぶるからっ、オレのもしゃぶってぇっ!」
広場に入ると、先に連れて来られた少年達が既に運動をしていた。
手は拘束されたままだが、ペニスのリングを外してもらっている少年達は広場の床に転がってお互いの性感帯を舌や足で刺激し合い、射精の悦びにのたうち回っている。
その淫らな様子を羨ましそうに見る、今連れて来られた少年の頭を、看守が撫でる。
「よしよし、よく頑張ったな」
褒めながら、看守が首輪を外した。
一方的に性の辱めを受けている立場なのに、褒められると嬉しくなる。少年達は看守が作業をしやすいように、自分で足を大きく広げた。
「良い子だ」
「はあ゛…んっ!」
ブポポ…と音を立て、バイブが抜かれる。寝ている時と排泄の時以外はずっと入れられていた玩具が抜けると、アナルがぽっかり開いたままになった。
「あぁ…風、入っちゃう」
粘膜を責める涼しさに身体を震わせる少年。看守は少年の腰を倒れないよう支えて、ペニスのリングを外した。
「思う存分、射精しておいで」
「はいぃ。ありらとう、ございまひゅ…」
回らない舌で感謝を口にし、おぼつかない足取りで集団に近付く。すると、何人かが寄って来て、何も言わず勃ったままだった少年のペニスを舐めた。
「あぁ、だめぇ! イくぅっ!」
我慢させられていた身体は、ほんの三、四回舐められただけで破裂した。来たばかりの少年は、先にいた少年の顔に白い体液を大量にかけ、尻もちを突いて座り込む。
そこにまた何人かが来て、今度は乳首を舐めた。ペニスを舐めるのも続き、やってきて二分も経たない内に少年はよがり狂うが、顔の前にペニスを出されると条件反射で舐め回してしまう。
こうして少年達は囚人同士でイかせ合い、それでも足りない少年は看守のペニスもくわえて、快感に溺れる。
性の欲望に囚われた目を見て異常と思う者もいるかも知れないが、この少年達がかつて犯した罪を聞かされたなら、誰もやり過ぎとは言わないだろう。
少なくとも、少年達は性の渦に飲み込まれつつも、気が狂う程の幸福感に支配されているのだから。
後輩は恋心で暴走する( 1 / 1 )
その男にとっては、何でもない行動のつもりだった。
会社の後輩を自宅に誘い、食事をして、軽く酒飲み話として恋愛の話をしただけ。
なのに。
「んぅー」
男は酔って寝ている間に、後輩にタオルで縛り上げられていた。
「先輩…すみません。起きて大声を出されたら困るので…」
「んぐっ」
大声どころか、身動きすら取れない状態にされている。
後ろ手にタオルで縛られ、足は膝を折り曲げた形でそれぞれ足首と太ももを繋がれていた。これでは、足を閉じても簡単に開かされてしまう。
口にもタオルを噛まされていて、言葉を発する事は出来ない。ならばせめてと、男は後輩を睨んだ。
「どうして? って目…ですよね?」
「うぅっ!」
当たり前だ、外せ! と男は唸った。
その唸り声を聞いて、後輩は言った。
「僕が、先輩を好きだからです」
「…んっ?」
意外な言葉に男がたじろぐ。後輩は構わず続けた。
「本当に好きで、今日家に呼ばれたのだって…本当に楽しみで、嬉しかったんです。世間話とはいえ『お前なら良い彼女できるよ』ってひどすぎますよ」
そんなの知らない。と思いはしたが、後輩の本当に傷付いた表情を見せられると、怒りにまで発展させる事は出来なかった。
「このままじゃ僕はただの後輩で終わる。それだけは嫌なんです。…だから」
「んぐっ?」
ぽつぽつと語っていた後輩の目が、突然に熱く男を射抜いた。後輩が、男に。自分が愛している先輩に、身体を近付けていく。
正確には、手を、男の胸に。
「僕が先輩を好きなんだって、身体に伝えて。たくさん気持ち良くして見せます」
後輩の長い指が男の右の胸に触れ。
右の乳首を、きゅっと摘んだ。
「んっ…」
予想外の刺激に、男はピクン、と仰け反る。普段気にも留めない場所を優しく摘まれ、感じてしまった自分に男は驚いていた。
「先輩って…感じやすいんですね」
屈辱的な事を言われてる気がするのに、男には怒りが湧かない。
きっと、さっき傷付けた事への罪悪感があるから。そして…後輩が本当に愛しそうな目で、感じてる自分を見つめてくれるから。
見られているだけで身体の奥が焼けるような感覚がする。縛られているから、男はその視線から逃れられない。
後輩の指が乳首を弄るのからも、逃げられなかった。
「先輩の乳首、最初は可愛いピンクだったのに、もう赤くなってますよ」
「ふぅっ…」
くにくにと乳首を捏ねられ、男が拘束された身体をくねらせる。
右の乳首のみを弄られてるせいで、左の乳首の淡いピンクと右の乳首のいやらしく充血した赤が対比されて目に入った。
目に見える変化は色だけでなく、右乳首は明らかに硬く立って、後輩の指を悦んでいた。
「先輩の感じてるとこ…可愛い。もっと、見せて下さい」
掠れた声で囁き、後輩は顔を男の胸へと、まだピンク色を保っている左乳首へと近付けていく。
舌を、エロティカルに覗かせながら。
「んっ…」
舌で舐められる。そう思うと、男の中に恐怖と…期待が生まれた。
舌で舐められて気持ち良くされたら、オレはどうなってしまうんだろうという恐怖。そして舌で舐められて気持ち良くされたら、オレはどうなれるんだろうという期待。
後輩の男に気持ち良くされる。自分を好きと言ってくれる男が、感じさせてくれる。
男は後輩の舌先が自分の乳首に迫る所を、食い入るように見つめ、赤く濡れた舌が桃色の突起を舐め上げた。
「うふっ…くぅ」
訪れた快感に、男はタオルを噛み締める。その様子を見て、後輩は唇を乳首に寄せたまま男の口を塞いでいるタオルに手を伸ばした。
「ごめんなさい…苦しかったですよね」
「ふぐっ…そこで、しゃべらな…で」
声の振動が乳首に伝わり、男は自由になった口で頼んだ。
「じゃあ、吸います」
「ひぁっ!? んふぅっ!」
ぢゅちゅっ、と音を立てて乳首が吸われ、男は大きく跳ねる。右の乳首は指で潰されていて、左右の乳首から断続的に快楽が発生した。
「だめっ、だめぇっ! 気持ち良…しゅぎぃっ!」
男がガクガクと震え、舌を突き出して喘ぐ。後輩はその痴態を、乳首を吸い続けて見上げていた。
あまりに熱くて…甘い視線。何もかも蕩けて、そのまま吸い取られてしまうんじゃないか。という不安さえ湧いてくる。
「やめっ、やめてっ。オレ…こんな、おかひく…うぅっ!」
涙を流して懇願すると、後輩は慌てて唇と手を離した。快感が止まり、男は舌を垂らして荒い息を吐く。
目の端と口の端から液体を零し、男は性に蕩けた表情をしている。
「僕…先輩が可愛くて見とれて。初めてだって事、忘れてました。…無理させて、すみません」
謝って、後輩は男の涙を指で拭う。割れ物に触れるかのような手つきで涙を拭いて、本当に申し訳無さそうに謝っている後輩に、男は手足を縛るタオルを軋ませて見せた。
「オレ…どうせ逃げらんないんだから。あの…もっと……優しくしてくれ」
「え…あ……はいっ」
返事をする後輩に、男は笑った。
自分から言ったのは、後輩の本気を知ったから。
そして、本気の後輩に惹かれ始めた自分が、愛されてみたいと思ったから。
「先輩…出来るだけ、優しくします」
「んむっ…はぷ、ふっ」
唇を重ねられ、初めてのキス。
優しくすると言ったのに必死になって舌を動かし、余裕の無い目で自分を見る年下の男に、つい笑ってしまった。
しかし、唇が離れた時、自分の身体を上から下まで見た後輩の目が獣になったのを見て、男の背筋がゾクッとする。
「絶対に…先輩に僕を意識させて見せます」
「バカ…もう、意識してるよ」
それどころか、この数分で自分も好きにされてしまったかも知れない。
その『かも知れない』を確かめる為に…男は後輩の愛撫に、心から身を委ねていった。
可愛すぎる弟( 1 / 1 )
「ただいまー」
仕事を終え、一人の男が帰宅した。男の両親は仕事の都合で海外におり、年の離れた弟と二人暮らし。
もうすでに弟は学校から帰っているはずなので、返事が無い事に男は首をかしげた。
「…いないのか?」
だが、戸締りはちゃんとするよう言っているので、鍵がかかって無かったのはおかしい。そして例え二階にいたとしてもただいまと言えばいつも駆け下りて来るので、様子が違う事は確かだ。
「聞こえて無かったかな?」
男はスーツ姿のまま、階段を上がる。宿題中や昼寝をしていて気付かなかったなら、邪魔をせずそっと戻る。
そうでなかったら帰りの報告をする。そんな行動の予定を立てながら。
「ケンター?」
二階の廊下で弟の名前を呼ぶが、それでも反応が無い。うっかり鍵を掛け忘れて出かけた可能性が頭によぎった時だった。
「ふ…ぅ」
弟の部屋の中から、苦しそうな吐息が漏れてきた。そっと近付いて、ドアの前に立つ。
「は…はぁ」
明らかに乱れた呼吸。もしかして具合が。
「お…兄ちゃん」
「え?」
こっちに気付いてるのか? そう思ったが、すぐに違うと知る。同時に、具合が悪い訳では無いとも知る。
「お兄ちゃん、好き…! お兄ちゃん…!」
幼い声が、艶やかに濡れている。それも、兄を呼びながら。
男は悪いと思いつつも手をドアノブにかけ、弟の部屋を小さく開いた。途端、木のドアに抑え込まれていた声が一気に聞こえ始めた。今まで聞こえてなかった水音と共に。
「あんっ…気持ちい…お兄ちゃんに、触って欲しいよぉ…!」
弟はベッドの上で靴下のみを履いた姿で寝転がり、自慰に耽っていた。それも、普通の自慰ではない。
兄の写真を腹の上に載せ、左手で乳首を弄り、右手で可愛らしいペニスを一生懸命扱いている。
だが、一番兄の目を惹いたのは尻の奥の小さな蕾から、一本のコードが覗いている事だった。ベッドとドアの位置関係上、こっそり部屋を覗いている兄の位置からは弟の顔も乳首もペニスも異物をくわえ込んでヒクつくアナルも、何もかもがしっかりと見えている。
兄弟だとかも考えられず、欲情を掻き立てられる痴態に、兄は唾を飲み込んだ。
思わず食い入るように見入り、何時の間にかもっと良く見ようと身体が前のめりになる。
…ガタッ。兄の身体とドアがぶつかり、音がした。
「しまっ…」
「あ…お兄、ちゃん? んぁっ、だめぇ!」
愛しい兄に見られた事に弟は焦るが、快感はとめられない。
「やだ、出ちゃう…お兄ちゃんの前で…いやっ、僕のイくとこ見ないでぇっ!」
絶頂の迫っていた身体は持ち主が抑えようとするのも構わず、昇りつめる事を要求してきた。中に入っている物を抜こうとするが、指は上手くそれを出来ない。
とうとう、その瞬間が訪れる。
「あ、あぁ…見ないでぇ…」
兄に観察されながら、弟は精液を吐き出した。恥ずかしさと兄に対する罪悪感で、弟はぽろぽろと泣き始めてしまった。
枕を抱いて顔を埋めて、大股開きの体勢から左に身体を転がして涙を零す弟に、兄が近付く。
「ごめん、お兄ちゃん。ぼ、く…?」
てっきり軽蔑されると思ってた。怒られると思ってた。しかし、兄の行動はどちらでもなく。
泣いている弟の頭を、優しくそっと撫でていた。
「ケンタ、泣かないで。怒ってないから」
そう言われるが、兄を性の対象にしていた事実は消えない。罪悪感も、消えない。
自己嫌悪から離れられない弟を見て、兄は…決心した。
「ケンタ。こっち…向いて?」
顔を上げるよう促す。それに従い、弟は顔を上げた。
「何…ん……っ!?」
言葉を出そうとした唇が塞がれた。他でもない、愛しい兄の唇で。
つまりは、キスをされていた。
あやすような短いキス。だが、涙を引かせるのには充分だった。茫然としている弟に、兄が言った。
「ケンタ、俺の事好き…だよな?」
さっきあんなに好きと叫んで自分の身体を慰めていたのだ。今更否定してもしょうがない。観念して、コクリとうなずいた。
「俺も、好きだよ」
「え…っ?」
少ないけど、まっすぐな言葉と想い。
ずっと望んで欲しがってたけど叶わないと諦めてた展開に、弟は頭が真っ白になった。
その白に徐々に色が戻ってくるごとに、喜びが現実の物としてやって来る。
「お兄ちゃん…嬉し、好き…っ」
「あぁ、俺も。ケンタが好きで、可愛がりたい」
弟に痴態を見せられて、兄も興奮の真っただ中にいる。
首筋や頬にキスをして、弟のアナルから出ているコードを握った。
「抜くぞ」
「はぅ…んぅぅぅっ」
ゆっくりコードを引くと、中にあった大人の玩具、ピンク色のローターが現れた。
まだブルブルと微弱な振動を続けているそれは、じゅぽっ、と卑猥な音と共にアナルから抜け、ベッドへと落ちた。
「はっ、はぁ…」
枕を握り締めて身体を震わせる弟のアナルは、異物が抜けた状態のまま口を開き、ピクピクと開閉していた。
あまりの淫らな光景に、兄は意地悪をしたくてたまらなくなる。
「こんな玩具、どこで手に入れたんだ?」
「あぅ…インターネットで…」
問われて、弟は正直に答える。
…嘘を吐いていたとしても、結果は変わらなかっただろうが。
「男の子なのに自分に使う為にこれを買って、兄貴をおかずに使うなんて悪い子だな」
そっと、兄はこれから加速する行為の妨げにならないよう、自分の写真をベッドの脇へ置いた。
そして、誘うように震える可愛いアナルに、唇を寄せた。
「あぅ…お兄ちゃん、だめ。僕…恥ずかしいよぉ」
手で隠そうとしても、上手く力が入らない。足を閉じようともするが、兄の手であっさり開かされてしまう。
先程出した弟自身の精液で濡れている穴を、兄の舌が撫でた。柔らかいタッチだったにもかかわらず、生まれた快感は強かった。
「あぁ…んぁっ」
「ケンタの声、エロくて…可愛い」
うっとりとした声色で褒められ、弟はぞくぞくと背筋を震わせた。
「僕…可愛いの? 僕の事、好き?」
「可愛いよ。全部全部、大好きだ」
「んんっ…」
望んでいた以上の返答。嬉し過ぎて、幸せ過ぎて、夢ではないかと心配になる。
けれど夢ではないという事は、兄が与えてくれる甘い快楽の波で教えられた。が、その甘い感覚が急に途切れる。
「お…兄ちゃん?」
身体を軽く起こし、潤んだ瞳で兄を見ると…兄は自分のペニスをズボンから取り出していた。
弟が出した蜜を使って濡らされていたそれは、弟のアナルに近付き、粘膜同士がくちゅっ、と淫らな音を奏でる。
「入れる、ぞ」
「んぁっ、まっ…ふぁぁぁーっ!」
制止したが、兄の行動の方が早く弟の奥深くまでペニスが突き入れられた。
その衝撃で、押し出されるように弟のペニスが白い体液を噴き出す。すると、兄の性器をくわえたアナルも体液が溢れるのに合わせてきゅっと絞まった。
「ケンタのここ…俺のを美味そうにしゃぶってるな」
「だって…お兄ちゃんが好き、なんだもん…」
仕方無いでしょ、と言いたげに唇を尖らせる弟。発している言葉がどれだけ兄を煽るかなんて、きっと分かっていない。
「ケンタ、ケンタ…」
「んぷ…おにい、ひゃ…」
繋がった状態で二人は唇を重ねる。程無くして、兄が弟を本格的に犯し始める。
「っひゃぁぁっ! イイ、よぉ! お兄ちゃんっ」
狂ったように求め合う姿はまるで獣だが、そうなってしまうのも当然だろう。
何年も何年も、叶わないと思って押し込めていたお互いの想いが、通じ合っていたと分かったのだから。
「お兄ちゃんっ、すき、だいひゅきっ」
「俺も、大好きだよ」
自分を想って全身で愛情を伝えてくれる、可愛い弟。
一生可愛がっても足りない想い人を、兄は…激しいまでの愛情で貪っていた。