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● 『ちょっとサイエンス』 2003/10/14 No.151
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● 発行者 Fujiken 毎週火曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「血糖量とインシュリン」
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血液中のブドウ糖量(血糖量)は、ふつう血しょう100mlあたり約100
mgに維持されています。
ブドウ糖は、体内の核細胞に送られ、内呼吸の材料として使われるほか、核酸
やアミノ酸を合成する原料となる重要な物質です。
我々が食物を食べると、消化管からブドウ糖が吸収されるので、食後は血糖量
が一時的に増加します。一方、激しい運動などをすれば、筋肉などで糖の消費
が急に増加して、血糖量が減少します。
もし、血糖量が血しょう100mlあたり、160~180mg以上になると
腎臓のブドウ糖の再吸収能力を上回るので、再吸収されない糖が尿中に出て、
糖尿になります。さらに多くなると、嘔吐(おうと)、けいれんがおこり、や
がて昏睡状態になって死亡することもあります。
一方、血糖量が血しょう100mlあたり、70~80mg以下に低下すると
心身の衰弱や頭痛、めまいなどがおこり、さらに低下すると意識を失って死に
いたることもあります。
血糖量の調節は、ホルモンと自律神経の働きによって行われています。
1,高血糖の時
血糖量が増加すると、間脳が血糖量の増加を感じ取り、延髄にある糖中枢を経
由して、副交感神経を通じて、すい臓のランゲルハンス島のβ細胞を刺激し、
インシュリンを分泌させます。インシュリンは、肝臓や筋肉でのグリコーゲン
の合成と、組織でのブドウ糖の消費を促進し、血糖量を減少させるのに働きま
す。
2,低血糖の時
血糖量が低下すると、間脳が血糖量の減少を感じ取り、間脳は交感神経に興奮
を伝え、副腎髄質を刺激して、アドレナリンを分泌させます。アドレナリンは
肝臓や筋肉に作用し、貯えられているグリコーゲンを分解してブドウ糖に変え
ます。また、アドレナリンの働きによって、副腎皮質から糖質コルチコイドや、
すい臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるグルカゴン、脳下垂体の成
長ホルモンなどによってグリコーゲンを分解してブドウ糖に変えています。
(解明 新生物(文英堂)参照)
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■ちょっとコメント■
すい臓から分泌されるインシュリンは血糖値を上げるのか下げるのかどっちだ
たっけ?(そんな基本的なこと忘れるな!?)とい疑問から今回のテーマにな
ったわけですが、調べてみると、インシュリンは血糖値を下げる働きをし、
一方、アドレナリンは血糖値を上げる働きをするということがわかりました。
私は、どうも生物は苦手で、こんな大変基本的なことまで忘れてしまいます。
そういえば、人間は興奮するとアドレナリンが分泌され血糖値が上がるという
話を聞いたことを思い出しました。
夏目漱石の小説の中でインシュリンを注射している学者の話があったのは
「吾輩は猫である」でしたっけ・・? もう文庫本も処分してしまって家には
ないので不確かですが・・。
今回、自律神経、交感神経、副交感神経という言葉を久しぶりに聞き、改めて
調べたくなりました。
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■お知らせ■
大反響 藤ケンのオリジナル曲「哀愁の駅」
のギターの弾き語り → http://www.eonet.ne.jp/~fujiken1/index.htm
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■今日のテーマ 「交感神経と副交感神経」 2003/10/21 No.152
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自律神経は、末梢神経の一つで、心臓・肺・肝臓や皮膚・血管に分布し、意識
に関係なく、自立的にはたらきを調節している。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種があり、一方が器官のはたらきを
促進するなら、他方はそれを抑えるようなはたらきをしていて、両者ではたら
きを調節している。このようなはたらき合いをを自律神経の拮抗(きっこう)
作用と呼び、イギリスのラングレー(1852~1925)により発見されました。
例えば、心臓のはく動では、交感神経は促進的にはたらき、副交感神経は抑制
的にはたらくというように、一般的に交感神経は闘争的にはたらき、副交感神
経は休息的にはたらきます。
各器官・内臓にはたらく交感神経・副交感神経の作用を表にまとめると次のよ
うになります。
器官など 交感神経 副交感神経
ひとみ 拡大 縮小
心臓のはく動 促進 抑制
血圧 高める 低める
呼吸運動 促進 抑制
消化器官 抑制 促進
ぼうこう 拡大 収縮
次に、交感神経・副交感神経の中枢、化学物質の流れをまとめると、次のよう
になります。
交感神経 脊髄→交感神経幹→ノルアドレナリンを分泌→闘争的にはたらく
副交感神経 中脳→延髄→脊髄→器官にアセチルコリンを分泌→休息的にはた
らく。ただし、自律神経の最高位の中枢は間脳であります。
(解明 新生物(文英堂)参照)
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■ちょっとコメント■
生物は、何度も言うようですが高校時代、大の苦手な科目でした。
今回調べたテーマもそういえばそんな内容だったなと思い出した程度です。
ようするに一般的には交感神経は闘争的に、副交感神経は休息的にはたらくと
いうことなんですね。本当にはずかしい限りです。
(今までのはどうなんだ?って聞かないで下さい)
最近、生物分野が続いていますが、次回は何をテーマにしましょうか?
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■読者からのメールより■
●ブラックポットさんより
>実は先日の早朝、不思議な光景を目にしました。朝焼けの空に巨大な三角形
>の影が現れたのです。自分では富士山の影が空に映ったものだと思っていま
>すが、近くに相談できる方がいないので、もしこの現象を解明していただけ
>ればうれしいのですが・・・
→Fujikenより
写真を観ただけでは何の影か私には分かりません。
とりあえず写真を観ていただき、何か分かる方からの情報をお待ちしています。
ブラックポットさん投稿の
「クーの山小屋」→ http://bbs1.as.wakwak.ne.jp/bbs.cgi?id=20859
(少し前の方を観て下さい。)