臨床心電図学講義

右軸偏位 acute RV overload

80歳代女性 ふらつき、軽度の呼吸苦
Ⅱ音の亢進

肺梗塞ECG.JPG

急性の右室負荷所見

初診時(1番右側)Ⅰ誘導で下向き陰性波S波による
急性の右軸偏位 
ベクトルが右室側方向に引っ張られるというよりは
rotationによるQRS後方成分の偏位を反映
いわゆるclassical な SⅠQⅢTⅢ がそろっている。
 経過(左側へ)
とともに消失
右室負荷ECG.png
上図の通り右室からの圧排により一過性に全体が偏位
QⅢは初期ベクトルがobesity Q の様に横位となるため
SⅠaVL 5-6の深いS は興奮全体の時計軸回転により
終末ベクトルがrotation して右方に
TⅢ 右側胸部誘導V1-3 の陰性T波 は右室strain を反映
LADの虚血との鑑別はDiag.領域ⅠaVLにも陰性T波が
あるかをcheck

D-dimer 高値

UCG上 TRの流速より推定肺動脈圧4V² を計測する他
急性の右室負荷では右室心尖部の壁運動はごく僅かだが
保たれる  McConnell's sign

胸部CT 両側肺動脈の血栓を認める
CT 肺梗塞.JPG

CTPE.JPG


腹腔内腫瘍による下肢静脈血栓症が原因の
PTE(pulmonary thromboembolism) 症例


右軸偏位  胸郭の変形

30歳代男性  労作時呼吸困難

マルファン 木村.JPG

V1でNegative P  (漏斗胸) 前胸壁が陥没

→心臓全体が左方に偏位しており、
V1誘導電極のほぼ直下に位置する右房も左方に位置偏位するため。

前胸部誘導でのR波増大、右軸偏位を認める。
UCG上、AAE severe AR  LV dilatation 

 

Marfan類縁疾患の心不全症例

 

 

wide QRS tachycardia

80歳代 男性 階段で転倒キャプチャ.JPG

HR 170bpm  regular   wide QRS>120msec  
上方軸(QRSベクトルaVRで上向きⅡ Ⅲ aVF下向き)
下からの刺激・興奮 心室性の可能性高い 
Ⅱ誘導でP波とQRS波のAV dissociation 房室解離


cf) Brugada approach ( Circulation 1991; 83: 1643-59 )
   下記いずれかの項目にあてはまればVTの可能性高い
1.前胸部誘導でRS pattern が無い
2.RS pattern があるとき Rの始まりからSの谷までRS>100ms
3.AV dissociation
4.V1-2かつV6誘導でVTの形態的基準 

 RBBBパターン  
V1を診ると monophasic R  ないしqR ⇒ VT
            SVTであれば rSR pattern
V6を診ると QS pattern (or R/S<1)
             SVTであれば R/S>1
心尖部VT.png


Ⅲ群薬無効だったため、150Jの除細動により洞調律に

キャプチャ.JPG1.JPG
冠動脈造影でLAD#7 total、RCAよりcollateral、
心尖部にaneurysm
VTの極性、シンチ所見などによりaneurysm境界の
虚血部位が起源と考えられアブレーション施行

 OMI 症例 LOS    虚血性心疾患のVT症例

wide QRS tachycardia の鑑別

40歳代女性 動悸
46歳女性 精神病.JPG46歳2.JPG
HR180 bpm リズムは regular
もし不整であれば
rapid atrial fibrillation with a w
ide QRS complex
in a patient with pre-excitation  syndrome
いわゆる和製英語 pseudo VT を疑う
WPW症候群の方がpafを起こすと、
変電所である房室結節で調節されたrushious af より
さらにレートの速いafの刺激がKent束を伝わり、
RR間隔が不整でVT様のwide QRS tachyを起こす。

左脚ブロックpattern  上方軸
VTか左脚ブロックを伴う上室性頻拍か
一般には左脚より右脚の不応期が長いため,変行伝導(機能的な脚ブロック)の頻度は
右脚ブロック>左脚ブロック と言われているが
LBBB の鑑別ポイント
V1のRが小さく、続く下向きの振れにノッチなどなく急峻 V6にQ波がない
SVTならば V1: small r & fast descent  V6 q(-)
VT         V1: broad R & slow descent  RS >60msec  V6 Q(+) 

AVRT wide QRS.png




実際の臨床では血行動態が破綻していれば
心室性頻拍としてDCなど緊急対応とし
血行動態が落ち着いていれば
治療診断的にATP静注にて房室伝導を抑制

ATPで.JPG

ATP20mg静注にて改善⇒上室性

AVRT    房室回帰性頻拍
Antidromic Wide Tachycrdia  症例

cf) Brugada アルゴリズム
1.胸部誘導にRS波が無い → V5-6にRS 
2.RS 間隔が100ms以上    →  R始まりからS先端まで2目盛り半いってそうだが
3.房室解離を認めるか      → はっきりしない
4.VTに特徴的なV1、V6誘導の所見
   RBBB    V1: monophasic R       QR or RS     Triphasic  
                     V6: R/S<1      QS or QR   Triphasic   
      LBBB  V1 or V2: R>30msec  Nadir S , Notched S まで>60msec 
                    V6: QR or QS   monophasic R

cf) Vereckei アルゴリズム  Heart Rhythm 2008,5:89-98
aVRに着目 
1.initial R wave を認める  → 認めている、、、
2.initial r もしくはq波 >40ms
3.陰性QRSの初期下降線上にノッチ



 

山下恭寛
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