ま青の淵

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3

この淵に通うようになってもう何年経つだろう。
この世界に来るようになっても変わらない生活。
かなたは蛍の群れを見てから空を仰ぎ見た。
今日はいい気分だ。不思議とかなたの心は晴れていた。
(あの子に会えないかなーー)
そんな時声が聞こえた。(あの子だ!)
「まひる、悲しい・・・でも頑張る・・・」
かなたは叫んだ「まひるちゃん、此処においでよ!」
そしてしばらく間があった後、数十メートル位先で
輝く発光体が現れた。
それは暫くすると人型の光であることが分かった。



「けほ、けほっ」まひるは咳き込みながら目覚めた。
(!!!ここは何処?)
辺りを見回すと圧倒的な青の世界が広がっている。
(嘘でしょ?夢?)
「おおーい、此処だよ!」
いきなり呼びかけられてまひるは飛び退きそうな程に驚いた。
「あ・・・・」
声のした方を振り返ると前髪をさらりと垂らした
細身で長身な男の人が手を振っていた。
(!!!)
まひるは恐る恐るかなたへと近づいた。
かなたはまひるに握手を求めるように手を差し出していた。
警戒心の解けないまひるはかなたの顔をじっと見つめる。
「はじめまして。不思議な世界へようこそ。」
かなたは言った。
「俺、かなたって言うんだ・・・まひるちゃんでしょ?」
「どうして私のことを・・・あなた死んじゃった人?」
自分の名前を呼ばれて、ますますまひるは警戒する。
「ごめん、ごめん、驚かせて。
ここは夢の中で時々訪れてしまう世界なんだ。
僕はちゃんと生きてるから安心して。」
かなたはまひるに会えたことが嬉しくて微笑む。
「夢の中・・・私死んじゃったのかと思った。」
まひるの顔に少し安堵の色が伺えた。
でも少し考え込んだようにまひるは言った。
「でも、夢の中で私達が会うなんておかしいじゃない!
それに何で私の名前を知ってたの?」
何か妖怪か何かに騙されているような気分にまひるはなっていた。
まひるはかなたが思っていたよりも気が強かった。
かなたはまひるをなるべく落ち着かせるような答えを
必死で考えた。
「うーーん、説明するのは難しいんだけど・・・
悩み事があると夢の中でこの淵に落ちちゃうんだ。
でも、ここで今まで会ったことがあるのは君だけなんだ。
時々ここで君の声を聞いてた。
まひるちゃんは悲しかったんだろ?」
見透かされたようなかなたの受け答えに
まひるはおろおろしだした。
(私の声を聞かれていた?)
まひるは恥ずかしさに顔がかぁっとする気分だった。

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haru
作家:haru
ま青の淵
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