河野社員は、始めのほうの3つのファイルを見終わった。新聞記事と照合しても、ファイルの中味が現実に起こったことだと認めざる得ない。ファイル名に含まれる数字は、年月と推定されるので、残りの膨大なファイルをみれば、このことははっきりする。3つを見ただけで、それぞれの人生を生きたかのように生気を吸い取られたかのように疲労が重く圧し掛かった。が、ツクル氏のパソコンを開かなくてはならないという脅迫観念のような思いに突き動かされた。
ツクル氏のパソコンは、すぐ開くことができた。開くと同時に、画面にツクル氏が現れ、河野くんと呼びかけてきた。
ツクル氏メッセージ
われわれが、なにをしてきたかは、河野くんがファイルを開いてみたとおりだ。われわれは、21世紀地球人の人生を盗んで商売にしてきた。
いま君がこの映像を見ているときには、未来において地球はブラックホールに飲み込まれる。その瞬間の未来時間において私と山内さんも消滅する。
この事実を21世紀地球人に伝える義務があると私は思っている。このメッセージを伝えたこの瞬間から、君たち21世紀地球人は、銀河系から逃げ出しブラックホールに飲み込まれない人類を残す対策にかかるのだ。
健闘を祈る!