税理士の探し方・選び方のノウハウ

はじめに( 1 / 1 )

「節税や融資に強い税理士」
「飲食業のことをよく知っている税理士」
こういう税理士の先生を探している! 

こういった声にお答えするため、本書では、「税理士の探し方・選び方」についてご紹介します。

長いつきあいになることの多い税理士サービスで失敗しないためには、依頼者の優先順位を考えて慎重に選ぶ必要があります。

「どこに頼んでもそんなに変わらない」・・・そのようにお考えの方が多いものの、実際は税理士のサービス、専門知識、強み、人柄など千差万別です。

知り合いの紹介などで安易にお願いしたけど、全く考え方が合わない、遅い、こちらのやってほしいことを聞いてくれないなど実は頻繁にあります。

しかし、ネットで検索してたくさんの税理士が近くにいても、実際誰に頼めばいいのかよくわかりません。

特に税理士業務は見えにくいサービスであるため、一般の人でなかなか違いがわからなく、頼んでみて失敗することも多いのが現実です。

何人かの税理士に会って決めようとされる方も多いものの、少しの面談でなかなか仕事のやり方がわかるわけでもありません。

また、今の税理士を変えたい! といった声もあることでしょう。
「融資を進めてほしいが、他にやることがあるからという理由でなかなか対応してくれない」
「試算表が2月以上遅れているため、会社としてスピードのある方針が出せない」・・・。

このような現状の税理士への不満があっても、なかなか後回しになってしまうのは、税理士を変えると問題がいろいろ出てきそうではないかと考えてしまうためです。

しかし、税理士も現在飽和状態にあるために、多くの税理士の先生はこういう案件を積極的に行っているために、スムーズに対応してくれるのが一般的です。もちろん、前の税理士の不満が解消される先生を探さないと意味がありません。

最近では、セカンドオピニオン(第2の税理士)制度に積極的に参入し、信頼を得て第1の顧問税理士となる方法もよく使われています。

会計ソフトも普及しており、多くの方が考えているほど税理士の変更は大変でないというのが正直なところです。

こういう税理士を変更したい方の多くは「どういう税理士がいいか」という基準を明確にお持ちの場合が多いようです。

税理士の契約の失敗( 1 / 3 )

失敗事例その1

誰に頼んでもそんなに変わらないと・・・

税理士選びをするときのきっかけとして代表的なものは以下の場合です。

・個人事業を法人にする
・消費税課税の事業所になった
・融資やリースのために会計を整備するように金融機関から求められた

新たに税理士に依頼される事業所の多くは、個々の税理士の内容がわからないため知り合いや金融機関の紹介、ホームページやDMでなんとなく決定するのが一般的です。

税理士報酬の顧問料は、通常売上金額、関与度合い、訪問回数、事業内容などによって決定されます。ただし、新規法人など売上が不確定な事業所が多いため、税理士の多くは新規法人向けに特別サービスを行っている場合があります。

せっかく毎月〇万円をかけて税理士に依頼するので、どういう目的で税理士に依頼するのかを明確にしなければなりません。


●融資を受けたい
融資情報に詳しい先生をおすすめします。金融機関に同行してもらえたり、推薦状を書いてくれる先生や事業計画書など内容を確認してくれたり、積極的な関与をしてくれる先生が適任です。<br/><br/>

●節税など工夫してくれる
利益があがっている事業所が対象になるはずです。まだ利益がそんなにない事業所は節税よりも、補助金や融資などが重要かとも考えられます。
税務署寄りの先生に節税対策を相談しても対応してくれない場合もありますので、注意が必要です。<br/><br/>

●経理作業をやってもらいたい
記帳代行のような日常業務、源泉徴収や年末調整など給与計算など経理を外部に委託したい事業所は、作業を嫌う税理士事務所もありますので注意が必要です。

税理士も千差万別です。
税理士に何を求めるのかをしっかり把握してから依頼することが重要です!


税理士の契約の失敗( 2 / 3 )

失敗事例その2

こちらの要望を聞いてくれない・・・

よくあるパターンとして依頼者は「税金を少しでも安くしたい」、税理士は「ちゃんと払ってください」という駆け引きがあります。
もちろん脱税など論外で、依頼者が無理な注文をしていることもありますが、全く何も考えないで税務署員のような頭の堅い先生がいるのも事実です。


こういう先生に無理にお願いすると怒られたりするのですが、本来サービス提供者は税理士であるはずなので、このような図式はおかしいはずです。
このようなコミュニケーションが取りにくい先生はおすすめいたしません。


次によくあるクレームとして、作業や手続が遅いというものです。
「試算表が何ヶ月も遅れる」
「前もって伝えてくれといっているのに、急に大きな金額の税金を支払うようにいわれる」
「とりあえず遅い」というものです。

理由は少数でやっていて手が回らない、担当者の性格、作業環境が旧式であるなどいろいろ事情がありますが、要注意です。

税務調査で信頼関係がおかしくなることもあります。
税理士がいいなりだった、経験がなさそうだった、ひどい場合には税務署から税理士を変えたらどうですかと指摘を受けたなどです。

自分に合う税理士を探すのは、大変難しいといわれています!
いい先生が見つかるまで何人も税理士を変えた社長もたくさんいらっしゃいます。

















税理士の契約の失敗( 3 / 3 )

失敗事例その3

よくある税理士トラブル事例

●締切りの超過
各種申告書の期限の超過により、追徴金や延滞金がかかってしまう、優遇措置が受けられなくなったなどのトラブルがあります。

●計算方法や届出の間違い
資産税の評価方法や消費税の届出方法により、税額に大きな差が発生するトラブルが生じる場合があります。

●最初の話と異なるケース
訪問回数や関与方法について、当初と内容に食い違いが生じておこるトラブルです。担当者が辞めたなどの不可抗力の場合は仕方ないにしても、税理士が多忙になることでこういうことがよく生じます。

こういったトラブルでは、双方に言い分がおこり、事業所が損害を負うケースも増えてくるため訴訟沙汰になることもあります。

こういった場合、税理士賠償保険などで対応してくれる場合が有ります。

また、セカンドオピニオンを利用した場合に、それぞれの税理士の見解が異なることもあります。顧問税理士に内緒でセカンドオピニオンを利用するのではなく、きっちりと伝達するのが賢明といえます。
エキスパート出版
作家:児玉義則
税理士の探し方・選び方のノウハウ
0
  • 0円
  • ダウンロード

1 / 21