同行三人旅
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(3)
次のホテルは郊外のホテルデーパス(意味
不明)、階下はスーパーマーケット、しかも
古めかしい赤屋根である。俄然、ドイツ人が
多くなった。国内旅行者だ。
ここに来て、連れ合いの脚がぱんぱんに腫
れてしまった。つまり疲れている、心臓が弱
っている。部屋で食べることとして、スーパ
ーで、にせもののキャビアの瓶詰め、サワー
キャベツを購入。
そうする間に早くもホテルを後にする日が
来た。不可能だと思われた荷物をスーツケー
スにつめることができたのは、衣類などを郵
便小包で私があらかじめ送ったからだ。
超未来的なフランツヨゼフシュトラウス空
港、この巨大な空間を動くには、まず夫を車
椅子に荷積み格納しなくてはならない。しか
しこのせいで、たいていの行列に並ぶのを回
避する事が出来、時には数人乗りの電気自動
車が軽快な音を立てて一気に、エレベーター
の中にも入り、目的地に連れて行ってくれる。
こうしてやっと生きて帰路についた。と思
ったがなんと。。。
*それぞれの願ひ叶えて離陸すもモスクワ上
空ユーターンとなる
*見逃さず不運来たるか固唾のむやがて息の
む高級ホテルへ
このハプニングも乗り越え正しい帰路とな
る。最後の僥倖は窓際の席だったこと。。。
*窓ぎはの席あり難し貼りつきて小窓に写す
空またそらを
*夕空の上弦の月高きまま窓の後ろへみる間
に移動す
*大気中を自転プラスの速さにて吾ら進むに
月置きさらる
*雲井より村落の灯の遠々に見られゐるとは
夢思ふまじ
*明時(あかとき)の心細さよ三角の白光ひ
とつ翼の先に
*作られたる機内の夜に倦みて窓少し開けば
射抜く神の矢
弘法大師の霊力あなどれず、夫の悪運強し、
何とか羽田に着陸。最後まで気を抜けず、海
に落ちるのではないかと足を踏ん張った。
*海面へ滑り込むかの危ふさを航空母艦羽田
と呼ばむ
了
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