小さな星が運んだもの

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四話


そんな日々が続いた後のこと

ヴィーナスが見守っていた隣の街の者達が

その街へと攻め入ってきました。

隣の街は土地も狭く、その土地も痩せていて、

貧しい街でした。

発展した隣街をねたんで、小麦を奪いに来たのでした。


ヴィーナスは天上からそれを見ていて嘆きました。

「お願い。そんなことを望んだんじゃないの。
 
お互いに分け合って!争いをしないで!」

ヴィーナスは泣きながら、天から大きな声で呼びかけました。

けれどヴィーナスの嘆きは地上の人達には届きませんでした。


隣街の者達は小麦を全て奪い尽くすと、

街に火を放って焼き尽くしてしまいました。


心優しい人達が逃げ惑っているのをヴィーナスは成す術もなく

心を痛めて見ているしかありませんでした。

「ああ・・・街が・・・。」

ヴィーナスは人の心の醜さを生まれて初めて見たのでした。

それから心優しい人々の為に心を痛めました。

「こんな世の中では、私が愛する者に出会うこともできない。」

ヴィーナスは嘆いて、薔薇の花を残したまま

どこかに姿を隠してしまいました。



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haru
作家:文haru 絵ムラナギ
小さな星が運んだもの
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