小さな星が運んだもの

一話

それは今よりずっとずっと昔のコト。

天の神様の元で産まれ来る未来を夢見て

大勢の者達が暮らしていました。


ある日のこと、地上の草原に出掛けた少年は

空から美しいカケラが降ってくるのを見ました。

少年はその不思議なカケラを追いかけて行きました。

そのカケラは草原の草むらの中で光り輝いていました。

少年はドキドキしながらその美しいカケラを拾いました。


少年はそのカケラを胸に抱いて天の神様の所に帰りました。

少年が神様にそれを見せると神様は言いました。

「それはきっとこの星の心だ。

 それはきっと私達を未来に導いてくれる。」


少年は、それからどこへ行く時でもその星と一緒でした。

その星と一緒に眠ると

ある時、とても優しい人と笑顔で話している夢を見ました。

(僕、夢の中で未来のお母さんと会ったよ)

少年は未来を思うととても楽しくなりました。


神様は少年に言いました。

「君はずっと未来の子だから待っていなさい。
 
その星は君の運命と未来そのものだよ。」

少年は神様の言葉にうなずきました。

その星と一緒に夢見ていると不安なことは何もありませんでした



二話



それからとても長い月日がたち

大勢の者達が天から地上へと旅立っていきました。

神様は産まれる前の人々に心をくだいて良く言い聞かせました。

「天で暮らした記憶は消えてしまうだろうが、
 
 

地上でも争いごとをせずに助け合って暮らすように。」

地上では人々が集団を作って、助け合いながら暮らしていました。

皆、天での記憶など全くないように暮らしていました。

でも人々は夜になると空を見上げ、星星に祈っていました。


少年は神様に聞きました。

「神様、僕の順番はまだなの?」

神様は考えながら言いました。

君はその星と旅する者

その星を眺めていて、今だと思ったら行きなさい。
 

その時には私は喜んで送り出すだろう。」


少年は星を抱いて眠る度に不思議な夢を見ました。

見たコトもないような物が夢の中に現れるのです。

それはこの天の物とも今の地上の物でもないようでした。

夢の中で少年は光り輝く世界で暮らしていました。

友達と笑いあったり、時には泣いていたり・・・

(生きてるってこんな感じなのかな?)少年は思いました。

それは一瞬の夢の中のことでしたが、

少年は自分が産まれ来る未来が待ち遠しくて

しかたありませんでした。


haru
作家:文haru 絵ムラナギ
小さな星が運んだもの
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