A-40アラフォー男子のフットサル

7.数か月後

 

 

今日はフットサルで軽く汗を流した後、駐車場でBBQパーティーだ。お酒はイエローさんからの差し入れだ。ブルーさんの焼き立てのパンも並んでいる。

 

商店街で跡継ぎがなくて閉めていたパン屋をブルーさんが引き継いだそうだ。

機材が揃っていた為、さほど時間がかからずオープンができたらしい。

パンの美味しさも勿論だが、奥さん(正確にはこれから式をあげるそうだが)の愛想の良さと栄養士としての知識の豊富さが、近所の奥様の評判を呼び、口コミで固定客が増えているそうだ。今日も奥さん(になる人)を囲んで小さな輪が出来ている。

 

イエローさんは、稼業の傍ら商店街活性化プロジェクトのリーダーとなり、日々奔走している。近くの大学のゼミのフィールドワークとやらで、大学生もプロジェクトに加わり、複数の案件が同時進行しているそうだ。そう言えば最近商店街に若者の姿が増えてきたように感じる。腰痛は大丈夫なのかな。

 

その一環というわけではないが、先輩はこのフットサルコートで近所の子供たち相手にサッカースクールを開くことになった。あの頃は配置転換で腐っていたみたいだが、元来世話好きな人だ。こういったことには向いていると思う。きっと本人もやりがいを見つけるに違いない。

 

先輩の娘さんはいよいよドイツに渡航することになった。現地で語学学校に通いながら、クラブチームの練習生として入るそうで、今日もドイツで修業していたブルーさんにドイツ語の発音チェックをしてもらっている。

 

このフットサルコートは、あの大会で僕らが優勝したので(本当にそのことが賭けられていたのかは定かではないが)取り壊しから免れたようだ。

懸念であった平日昼の空白時間帯は、ヨガスクールや近所の保育園のレクリエーションを受け入れることになり、運営も順調そうである。

 

僕グリーンはというと、この春から先輩の紹介である会社で働きはじめた。以前より規模は小さいが、前職の経験を活かせる職場だ。戸惑いながらも何とかやっている。前の会社ではあんなことになったけど、何よりボールを蹴る場所と仲間が出来たことで、気持ちのバランスがとれるようになった。不安が全くないわけではないが、焦らずにやっていこうと思う。

 

あっ、ピンクさんが来た。相変わらず服装のセンスが独特だ。仕事で遅れると言っていたけど、一体何の仕事をしているんだろう。

 

僕は熱くなったので、ピステを脱いで、みんなの輪に加わった。

心くすぐるような春の心地よい風が吹いていた。

 

 

ミキトモ
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