大人のピアノ

大人のピアノ そのじゅうに ピアノを弾くヤクザ

「それでその南方平蔵さんというヤクザの大物に気に入られちゃったわけか」

 神田はしょうがない展開だなあと思いつつも、武志が興味本位でそういった世界に近づいて行ったわけでないことを確認して、また少し武志の人物を認めたようだった。そもそも欠点をあげつらうのが目的ではなくて、敬愛する生徒たちのマドンナの弟さんとして、できれば仲間づきあいしたいという気持ちであったわけなので、神田はさらに質問を続けた。

「どんな人?そのヤクザの若頭ってのは」

「それが…実はいい人だったとか月並みなことは言いたくないんですが…」武志は少し苦笑しながら言い淀んだ。

「まあ、よくある話だよね。下っ端のチンピラと違って上の方の人には案外人間的魅力に富んだ人がいるって、いやあくまでマンガとか映画の印象だけどさ」腕組みをしながら平林が言った。

「ええ、まあしかし反社会的勢力であることは間違いないんで、僕自身はそういうところでは気を許したりはしないつもりです」

「う~ん。そうするとさ、そこが分かんないんだよね、やっぱり。あなたはかなりしっかりした青年だし、さすがはなつみ先生の弟さんだけあって分別もある。そのあなたが…」

「音楽のセンスがすごいんです。南方さん」神田をまっすぐ見つめながら武志がはっきりした口調で言った。

「ん?その若頭もピアノでも弾くの?」まさかという顔をしながら篠崎が武志に問いかけた。

「はい。店がハネて清掃や経理の仕事終わって従業員もだれもいなくなったあと、よく店のピアノを二人で弾きました」

「えーそりゃ意外だなあ。映画や小説でもそんなシーンはめずらしいよね。若頭は『大人のピアノ』でもやってたのかな」平林が半分冗談でいうと、神田も「我々とお仲間か?」と面白がって笑った。

「若頭は四歳からピアノを習ってたそうです。」

「いー?そりゃまた英才教育だね、ヤクザなのに」思わず篠崎がチャチャを入れると武志が苦笑した。

「でも、みんな四歳の時からヤクザな訳じゃないですから」

 武志の静かな正論に一同は首をそろえて縦に振った。その通りだ。その通りだし武志の淡々とした飾らない話ぶりに篠崎は感心した。

「すごい才能だと思いました」

「あなたのような人から見ても、というか聴いてもですか」神田もまた腕組みをしながら武志の目を見た。

「はい」

「じゃあ、なんで…」ヤクザなんかやってるんだという言葉を三人が同じように心の中で呟いた。

「南方さんは左右の小指がないんです」

「あ!」

「両方とも二十歳の時にない状態になったそうです」

「うーむ」

「詳しい話は聞きませんでしたが、グレて家出してそんなことになったそうです。それでプロの道は断念せざるを得なかった。それ以来ずっと、普通の意味では普通のピアノは弾けませんが、叶わないとわかっていてもずっとうちに秘めた思いを大事にし続けられる人なんです。南方さんのピアノはそんな触れれば切れるほどの切ないピュアなピアノだったんです。最近では白内障を患ってて視力もほとんどないんですが音感は昔のままで、小指のない演奏はそれは凄まじいです」

「凄まじい…」

「南方さんに指が揃ってたら…、いえ小指がなくても僕はあんなすごい演奏はできません」

「……」

 三人は黙ってしまった。グレて家を飛び出した二人のピアノ弾き。おそらく南方と武志の双方が、お互いの中にあり得たかもしれない自分を観たのだろう。それはこうして話を聞いただけでも想像できる。深夜誰もいなくなったクラブのピアノの前で二人してお互いのピアノを弾く中で、その気持ちは極めて純度の高い状態で通じ合ったに違いない。
 それが、翌年音大を受験し直してラウンジピアニストにケリをつけるということを遅らせることになった原因なのだろう。
 無理解な父親と比して、南方の中に武志は理解ある庇護者の理想形を求めたのかもしれなかった。


「どんな曲弾くの?南方さん」神田が穏やかな表情で尋ねた。

「ベートーヴェンやリストなんかとてもすごい演奏をします。でも一番好きなのは…」














「『もしもピアノが弾けたなら』すごい演奏だったわ」なつみ先生が初めて口を開いた。



つづく




大人のピアノ そのじゅうさん 武志、大物ヤクザを殴り倒す

「え?なつみ先生南方平蔵に会った事あるんですか」三人がほとんど同時に言った。

「はい。とにかく武志が心配で、お世話になっているという職場だけでも見ておきたいと思って」

「なるほ…」三人はうなずいたようなため息のような声を出した。

 ヤクザとなつみ先生…。まるで手術台の上のミシンみたいな取り合わせだが、こうして話を聞いていくと、こういう接点が出てきてしまう。人の世は何が起きるか分からないものである。

「来てくれるなら、夜店が終わった時間に来てくれと僕が言ったんです」

 武志となつみ先生の目があってお互いその日を思い出したのか軽くうなづきあった。

「はじめはもちろん連れて帰るつもりでした。でも…」

「でも、そうはならなかった…」良識の砦、神田先生もだんだん諦めムードである。

「もうしばらく、ここで勉強したいって僕が南方さんの前で姉貴にお願いしたんです」

「勉強…って、南方さんのピアノかい?」篠崎は三人の中で最も武志に同情的というか、シンパシーを感じていた。

「ええ。ピアノもそうなんですが、僕はうすうすはそれまで感じていたんですけど、ピアノはただ指が回ればいいっていうだけじゃない、何かが必要だと南方さんのピアノを聴いていてハッキリとそう思ったんです。」

「いわゆる人生経験みたいなものね」平林も武志に共感し始めていた。

「はい。そう言ってしまえば簡単なんですが、将来音大に入って音楽の勉強をするにせよ、僕はここで多分これを逃したら一生手に入らない経験を積めると思ったんです。逆にいうとこれを逃すと、もうこういう経験は一生ないかもしれない…」

「まあね。話はわかるよ。でも、そういう人生経験って年齢を重ねるうちに自然と出てくるというものでもあるんじゃないかね。君はまだ若いから何かこう生き急ぐような気持ちにとらわれるのも分からないでもないが。ねえ、なつみ先生」神田がなつみ先生に同意を求めた。



「そうですね…」しばらく沈黙したあと、なつみ先生は意外なことを口にした。

「実は私もその頃コンサートピアニストのキャリアを積む中で、実は武志と同じ悩みに苦しんでいたんです。小さい頃から課題曲をこなして、プロになってからも演奏会の曲目をこなし、コンクールのためのテクニックを磨き、たまに賞賛され、たまに落ち込み…そんな繰り返しの続きにこの先何があるんだろう。じつはずっと何も無いんじゃないか。私はピアニストとしては合格点であっても、芸術家として何かが足りないのではないだろうかと思い悩むようになっていました。そしてだからと言ってどうしたらよいかも分からず、軽い鬱状態でもあったんです」

 初めて聞くなつみ先生の暗部かもしれなかった。コンサート活動ををセミリタイアしてピアノ教室をやっているのもどうやらこの辺りに理由がありそうである。

「まさかなつみ先生まで南方平蔵さんに弟子入りしようと考えた、とかいう話じゃないでしょうね」神田が今度は心配そうな顔をした。

「いえ、さすがにそれはなかったですけど、何としても弟を連れて帰ろうという意気込みは段々後退して行き、やがて武志の意思を尊重しようという気持ちになりました」




 一同はまたしばし沈黙した。

「まあ、困ったもんですな、芸術家という人種は」言葉は皮肉っぽかったが、神田は笑っていた。




「さてと、大変な話を聞かせてもらっちゃったわけだけど、今後どうするの?明日あたり戻る?」篠崎が場を仕切り直した。

「いえ、喧嘩した相手がまずかったんで、すんなり帰るわけにはいきません」

「ああ、そうだった。どんな喧嘩だったかとかは聞いてなかったね。クラブの従業員同士で殴り合いでもしたの?」心配そうに平林が聞いた。



「いえ」短く答えたあと、武志がふぅっと大きくため息をついた。

「実は大変な人殴っちゃったんです」

「誰?」「かな」「それは…」三人は恐る恐る聞いてみた。




「それが、働くきっかけになった、組長と五分の盃を交わした叔父貴を殴り倒してしまいました」

「えええええええっ!やばいんじゃないのそれ!」

 篠崎が叫び、平林はコーヒーカップを落とし、神田は眼鏡を外したあとゆっくりとおしぼりで顔を拭いた。

「はい。指を詰めたくらいじゃ済まないと思います。片腕切り落とされるか、悪くすると東京湾に沈みます」





「……」



つづく

大人のピアノ そのじゅうよん 武志をかくまう

 東横線の最終電車に篠崎は武志と乗っていた。金曜の終電なので酔客で混んでいる。渋谷の始発ではなく自由が丘からの乗り換えなので立ってつり革を握っている。

 話の成り行きから、今日は武志を武蔵小杉の篠崎の家に一晩泊めることになった。武志の話では今頃自分の親のメンツをかけて千葉から怖い兄ちゃん達が各方面に飛んでるだろう、という事だった。幸い武志の実家はまだそれらしき人間は見かけなかったが、時間の問題だろう。それに家出して数年という手前もあり、いまさら急に、しかもこんなテンパった状態で実家を頼るのは現実的でなかった。

 独身の平林がアパートでも借りているのなら話は早いのだが、寮生活なので武志を連れて行く訳にはいかない。都内のビジネスホテルはおそらく真っ先に襲撃されることは目に見えている。幸せの良識の歯科医神田先生はいったんは、家族に聞いてみてもいいと言ったが、それならば自分が、と篠崎が手をあげたのだった。ベロンベロンに酔っ払った取引先や会社の上司を真夜中自宅に連れ込んでそれから朝まで飲み明かしたことなどザラだし、まあ、なんというか、こういう場合は神田家のようなちゃんとし家庭ではなく、自分のところのような機能不全家族の方がむしろなにかといいだろう、というのが篠崎の理屈だった。

 それに篠崎は、なんだかこのまま武志と別れるのが寂しいような気がしていたのだった。若いっていいな、言葉にすればそんな陳腐なセリフになってしまうが、篠崎は忘れていた無茶やってきた若い頃の遠い思い出を武志の中に投影していた。もちろん武志の様にピアノは弾けない。しかし、武志が南部平蔵との数奇な出会いの中から必死に何かを掴み取ろうともがいているのはよく分かったし、無責任を承知でいえば自分もそれを何かしら応援したい気持ちにもなっていた。

 もっと武志と話したかった。「そこまで甘えられない」と頑なに遠慮する武志に、反対に篠崎方がもっと君と話がしたいから、と頼み込むような感じになった。

 武志の年齢からおよそ二十数年、知らず識らずのうちにすり減り、長いものに巻かれ、むしろあらゆる長いものに迎合することに自虐的な快楽を感じることを覚えてやってきた自分。そんな自分の中にゆるく封印してきた「それは違うだろ、篠崎よ」という部分がむずむずと動き始めていた。武志と話すことで、それが何なのかを確かめたかった。今更武志のように生きたいというわけではない。そうではないけれど、いいかげん&まじめの割合のバランスが崩れ、円グラフのいい加減の割合が一ミリずつ増えてきて今日のどうしようもない自分がここにいること、この自分を思い切り壊してみたいような気がしていたのだった。

 話をしたいことが幾つも頭に浮かんで、そのたびに篠崎は横に並んで立っている武志の方を向いて口を開きかけてはやめた。どこで誰が聞いているかわからない。落ち着いた雰囲気を保っている武志の胆力には舌を巻くが、かなりやばい状況の逃亡生活である。もし武蔵小杉の自宅にいる時に武志が捕まるようなことがあれば当然かくまった自分にも何かしらの制裁があると覚悟しておいた方が良いだろうし、最悪妻と娘にも害が及ぶかもしれない。とりあえず身の安全を確保できる自宅に帰ってしっかり鍵をかけるまでは、うかつなことを車内でしゃべったりするのは慎むべきであった。


 武蔵小杉でいつものように下車した。とりあえずここまでは何もなかった。まさか姉のピアノ教室の生徒の自宅というラインはそう簡単には割れないだろうとは思いつつも、徒歩で十分ほど歩く間も二人は無言だった。しかし無言で雨上がりのアスファルトをじゃりっと踏みながら二人して歩く中、武志の方でもここまでしてくれる篠崎に対する情愛のようなものが湧き始めていた。

 二人は目が合うと時々ニヤッと悪ガキのように笑った。





「ただいまあ」

 ようやく自宅に戻ってきた。妻の冴子は出てきたりはしない。電報堂を辞めてからは最近はお客の気配があっても挨拶にも出てこない。初秋の玄関の冷気は廊下を伝ってこの家の隅々にまで行き渡っていた。家庭の温もりどころか、篠崎は外から家に入ったとたん気温がさらに二度ほど下がったような気がした。

「お客さん?」

 娘が篠崎とは目を合わさずに、廊下の先から玄関を覗き込んだ。父親のことは無視だが、娘の朝子は客に対して最低限の挨拶はする。これは口に出して礼をいうタイミングと方法が見つからないので何も言ってないのだが、篠崎は娘に心底感謝している。

「こんばんわ」

 赤の大柄のチェックの寝巻きにガウンをはおり、シャワーを使ってまだ生乾きの髪を後ろでギュッと束ねた朝子が、廊下を羅足のまま渡ってきて武志に挨拶をした。「いったいどんなお客だろう」高級クラブのマネージャーのいでたちに芸能人のようなルックスの武志を見て朝子は少し興味を持ったようだった。そういえば朝子と同じくらいの年齢だ。朝子の方が二歳くらい上だろうか。

「夜分にすみません」

「いえ、どういたしまして」

 それだけいうと朝子は奥に引っ込んだ。久しぶりに娘の声を聞いた気がする。



「まあ、入ってよ。あすは土曜だしさ、といっても君にはしばらく土日もないだろうけど、とりあえず飲み直そうぜ」

 篠崎は、何だか妙にうきうきした気分で十二畳ほどあるリビングに武志を招き入れた。

「はい」

 武志は廊下を曲がって奥に消えた朝子の方を見ながら、篠崎の後について行った。







つづく

大人のピアノ そのじゅうご 武志と朝子

「おお、ピアノだ」

 リビングの奥はソファが置いてある。篠崎が水割りの用意をしている間、武志はさっそくピアノを発見して、近寄った。
 朝子が小学校に入学した時に買ったものだった。朝子はピアノが好きだったと篠崎は思っている。バイエルやハノンの基礎練習を嫌がらない、と近所の三十代のピアノ教師が褒めていたそうだ。実際うまかったらしい。いまのなつみ先生よりもう少し上の女性教師は、もっと熱心に習いたいのなら自分の師匠筋からしかるべき先生を紹介したい、とまで言っていたそうだ。

 もっとも篠崎は朝子がピアノをやっていることに特別な関心はなく、年間数回あった発表会というのも一度も行ったことがない。仕事で忙しかったといえば嘘ではないが、当時は子育て全般に関心がなかったと言った方が良いかもしれない。

 そういえば、何となく自分の意思で選んだつもりになっていた今度の発表会の『トルコ行進曲』だが、これは幼い朝子がお気に入りだった曲で、よくあのピアノで練習していたものだった。
 父親に聴かせるつもりで篠崎がリビングで水割りなど飲んでいると、よくピアノを練習しにきたものだった。うかつだったのは、自分がいる時によく自分の前で朝子がピアノを弾いていたのは、自分に褒めてもらいたからだったのではないか、と最近気がついたことである。

 自分がトルコ行進曲を練習して、少しでも先へ進むことができると妻や朝子の賞賛の顔が見たくてピアノを弾くのをやめて振り返った。
 褒めて欲しいと心から思った。たぶん、いや、間違いなく朝子もそう思っていたはずである。しかし、篠崎は聴いてやった、褒めてやった覚えはただの一度もなかった。褒めれば良かったな、と心の底から思うとともに、そうしなかったことへの後悔が自分がピアノを弾くたびに湧き上がる。自分が褒めて欲しいと思うたびに、自分のどうしようもない身勝手さを感じた。

 もう遅かったけど…。

 弾けた時にピアノを中断し、今でも時々後ろを振り返る。たいていは、さっきまでいたはずの朝子の姿が見えなくなっていた。おそらく、幼い頃のことを思い出して、朝子はもう一度傷ついていたのではないだろうか。昔幼い朝子を大人の残酷な無関心で傷つけ、反対に今は大人の朝子を子供染みた自分の身勝手な思いで傷つける、多分それが自分という人間なんだ。

 篠崎は少し泣けてきた。

「お嬢さんがピアノ弾かれてたんですね」武志がまだ譜面台の横に捨てずにとってあった朝子の使ったうすく黄ばんだ楽譜や、コンサートの時の写真を見て言った。

「ああ、今にして思えばもう少し子供がピアノやっていることに関心をそそげば良かったな、と思うよ」今頭の中に反芻していたことを篠崎は武志に話してみた。

「いえ、きっとお嬢さん、朝子さんはどっかで篠崎さんの気持ちを感じてるはずですよ」

「いや、それは残念ながらまったくないよ。オレ、今じゃ悪かったとホントに思ってるけど何にもしてやらなかったもん。発表会でビデオ回すこともしなかったし、練習を褒めてやったこともない。結局中学の時やめたんだけどさ、今思うとそこそこ頑張ってたのに、まわりの無理解に白けていったというところじゃないのかな」

 懺悔のニュアンスの漂う篠崎の言葉に武志は、少し気の毒そうな顔をしながら笑った。

「篠崎さん、感性の方程式ってご存知ですか」

「いや知らない。なにそれ」

 武志と自分の分の水割りダブルを作って、片手を上げて乾杯の仕草をすると、篠崎はソファに深々と体を預けた。

「『知識=覚えた量ー忘れた量』ですね」武志がピアノから離れてソファの方に歩いてくる。

「うん。そうだね。最近その忘れた量がどんどん覚えた量を食いつぶしてるのがオレの悩みだ」

「感性はちょっとだけ違ってて、『感性=覚えた量+忘れた量』だそうです」ソファに座りながら武志は笑った。

「ほう。忘れちゃってるけど、それがプラスされて全部で感性になってるってわけか」

「ええ、小さい頃の忘れた思い出も含めて今の自分のものの感じ方を作ってるっていうわけです」頂きます、と言って武志が水割りに口をつける。

「ふーん。面白い考え方だね。でもそうするとあれだなあ、ますますなんか娘に悪かったような気がするよ」

「朝子さんに…。どうしてですか?」

「どうしてってこんな父親が目に見えない感性部分まで影響与えてしまったのかと思うと罪悪感もひとしおだね」冗談めかしながらも篠崎は自嘲気味に言った。

「そんなことないと思います。いいお嬢さんじゃないですか」


 おそらく年下のはずの武志のこのものの言い方は少し変かな、と篠崎が思った瞬間篠崎は気がついた。武志はさっき廊下で挨拶しただけの朝子に少し関心を持ったのかもしれなかった。




つづく
ゆっきー
大人のピアノ
0
  • 0円
  • ダウンロード

12 / 124

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント