「なにいってるんですか……。こんなに晴れているじゃないですか先輩」
「俺の予報じゃあ雨。それもどしゃぶりだ」
「どういうことですか?」
「一週間前の天気予報で今日は降水確率40%になっていた。さらに俺はその確率をさらに高めるため昨日徹夜でてるてる坊主を千個作った。もちろん全部逆さ吊りさ。さらに、さらに、俺は大昔干ばつに悩まされた南アフリカの原住民の村に雨を降らせたという奇跡の人形ティルシティルシヴォウ・ズを通販で……」
「今日マラソン大会だからって現実逃避するのはやめてください。みっともないです。」
「……俺の心の中では今確かに雨が降ってるぜ。」
その後、僕は全校生徒の拍手につつまれ最後のランナーとして大粒の涙を流しながら走る先輩を見ることになった。