悲しみの化身

 「そう、それじゃ、空いている部屋で飼いましょう。亜紀、ちゃんと面倒見てよ。ママは、犬のこと、まったくわかんないんだから。さやかも頼むわよ」アンナは、初めて飼う犬に少し不安であったが、かわいい子犬が来ることに心が躍っていた。「早く、子犬が来るといいね。さっそく、犬のえさを買わなくっちゃね」アンナは、犬を飼うのに必要なものはよくわからなかったが、えさのことは即座にぴんと来た。

 

 さやかが、頷き応えた。「ペットショップに行って、必要なものを買ったらいいじゃない。産宮神社の帰りにペットショップに寄りましょう」さやかは、予定を立てた。亜紀が突然ガッツポーズをした。「友達がダックスフンドを飼っているの、だから、必要なものは大体わかるよ。ケージ、トイレシーツ、お皿、首輪、リード、おもちゃ、ドッグフード、ブラシ、消臭剤、まずはこんなところかな」亜紀は、犬を飼っている部屋を思い浮かべながら、必要品を並べた。

 

 さやかもペットを飼うのは初めてで、いろんなものが必要なことに目を丸くした。「いろんなものが必要なのね。ペットを飼うって大変みたいね」さやかは、少し自信をなくした。アンナも少し不安になってきた。「犬も病気するわよね。病気したらどうしよう。発情したら、オスは暴れるんじゃないかしら」アンナは、さやかに訊ねた。「動物病院に連れて行くしかないわね。病院も調べなくっちゃね」さやかは、病気のことを言われ、さらに憂鬱になってしまった。

春日信彦
作家:春日信彦
悲しみの化身
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