「何だ、この溶けたような跡は!?」
仕事柄 コワモテの顔が、この時 尚も瞼を鋭くしてシャブを確かめるようにして右人差し指を伸ばして物体に触れた。
「うっ、熱い!?・・・何なんだ、これは!?」
刑事の一人が辺りをビックリさせる位に叫んだ、物体を睨み付ける。
「鑑識、科学捜査、コンピューターによる復元によると、それは、十字架と判断されました」
「・・・十字架!?・・・」
目細め相手と目を合わせ、左上!?、そして左下!?へと視線を向けて行った、考えて行った。
「人に迷惑をかけて悪いなと思った事 ないかい!?・・・・・・」
話が終わり、一人が出て行き、周りが止まった!?瞬間だった。
耳には、一瞬の静寂。
黒煙のような四人分の手が口、両手、両足を握り始めた。
長めの月型アーミーナイフが胸付近を刺し、音が無いまま埋め続けた。
「ゲブゲブ・・・ウグウグウグ~・・・」
そして気が遠のいて、抵抗しなく成っていく中 空間に引きずり込まれて行った。
床に割れた十字の跡を血で書いて消えて行く。
(この頃 何か幽霊みたいな亡霊みたいな物を見るんだよな~!?・・・、それで、ここにいる人の中にも、そんな人がいるのかな~、気持ち悪い!?・・・)
並んで座っている中で他人に《変な人》に見られないようにゆっくりと頭を左右に振ったり、辺りを見渡したり、目をパチクリさせたりしていた。
「つい最近からなんですけど~・・・タロットカードみたいな~、お化けみたいな~・・・良く姿は、見えないで~、かすんでいる状態でたま~に目に写るんですが、どうなんですかね~、ゴミが入っているんですかね~!?・・・」
「そうなんですか~!? つい最近ね~!? それじゃ~、目を見せて貰ってもいいですか、眩しいけど、まず、正面ね、右上、左上・・・・・・ゴミも付いてないし、何ともないな~!?・・・脳かな~!?・・・まあ、点眼液を出しておくから、さして様子みてみて下さい」
(この頃 何だか多いな~、目に何ら異常がないのに変な画像を見る人達が!?・・・・・・何か病気かな~!?・・・脳にも異常がないと脳外科の先生から聞いてるし・・・何かつながりが有るのかな~!?・・・・・・)
仕事が終わり、一日の整理が終わり、何か引っ掛かった物があり、眼科の医師は、同病院内の留守なのか返事がない脳外科の医師の扉を開けた。
「失礼します」
部屋には、誰もいない様子で中に足を運び、扉を閉めたのだった。
「先生!?・・・」
室内の白いカーテンを振り開けた。
「!?・・・・・・」
んっ、辺りを見渡した!?
「何だ!?、ここは!?」
室内には、有り得ない体育館のような白い部屋があった。
また、また辺りを見渡した。
何百台という機械らしい物に囲まれていた。
「何だ、これは、どこだ、ここは!?・・・・・・」
「・・・コレハ、スーパーコンピューター・・・アンタ モンダイヲ カイケツニ キタンダロウ、キキニ キタンダロウ」
気持ちに怖さが生まれ、後退りし始めた。
そして一気に走り始めた、息を切らし、多くの汗をかいてスーパーコンピューターから脱け出した。
シュー、シュルルルー、シュー、シュー・・・グサッ、ズボッ、グリュ×∞・・・、
一瞬にして血液や肉を一滴も床に落とさずに、体内から口腔を多くのコードでふさいだ、目や鼻、顔、体全体を吸収して、逃げて行く、眼科医の体をコンピューターの備品へと変え、奪い取り、別世界にフェードアウトして消えて行った。
「私が聞いた話では、実際には、居ないであろうと言われている怪物ですが、モニター画面を顔にいっぱい持った《スクリーンマン》、姿は、普通の人なんですが、背中が十字架に斬られていて中に目を持った《ヨハネ》、そして姿が無く、見たり、つかれたりしたら、絶対に離れない、死を覚悟しなければいけない、《クラーケン・ゲルニカ》、そういう都市伝説の死神がいるという噂話は、知っています、最近では、見たという人や写真や絵やYouTube等にも出てきている程ですよ」
「本当ですか!?・・・・・・ね~、もし、居たら会ってみたいですよね~」
「そっ、そりゃ~も~」
「・・・あんたは、ウザイんだよ~・・・」
後ろから、クラーケン・ゲルニカが左肩を掴んだ。
目の前には、スクリーンマンが、横には、十字架内にギョロとした後ろ姿のヨハネが居た。
怖く成って右ひじを曲げて上げた手が崩れ落ち始めた、目を疑った、悪夢だと思った、なぜなら、体がアリで出来ていたからだった、痛くは、なかった、しかし、恐怖感があった、
「あ~、ア~アッ、わ~・・・・・・!?」
もがけば、もがく程、崩れて行った、そして、皆が静かに居なく成った。
座椅子だけが二脚残る。