【TRPG】DX3シナリオ「渇望の聖杯(グレイル)」

表紙( 1 / 1 )

この電子書籍はテスト投稿です。
「ダブルクロスthe 3rd Edition」の自作シナリオのシナリオです。
シナリオは本塚届です。

(C)2009 Shunsaku Yano/FarEast Amusement Research Co.,ltd (C)2009 FujimiShobo , Printed in Japan

トレーラー( 1 / 1 )

君が戦うのは、ある因縁と賢者の石を巡る物語だ。
君は選ばれた。何者をもなぎ払う力。それを君のものとするかは君次第。

君が戦うのはかつての師だ。
君は選ばれなかった。だが、君はたしかに道を切り開く力を持っている。

君が戦うのは仲間の仇だ。
君はかつて仲間を失った。だが、君は仲間を再び失わぬよう守る力を持っている。

君が戦うのは君自身の運命だ。
君は忘れた。戦う意味も、何をすべきかも。そしてその宿命も。

それは求めた。何よりも自身を思う絆を。

ダブルクロス the 3rd edition「渇望の聖杯-グレイル-」

「汝、闇を喰らい尽くす剣(つるぎ)となれ」

ハンドアウト( 1 / 1 )

ハンドアウト----------------------------------------------------
PC1:
カヴァー/ワークス:高校生/高校生
シナリオロイス:明石優美
ハンドアウト:
君はH市の高校に通う、ごく普通の生徒だ。
だが、ある日君の前に2年前死に別れた明石優美が現れる。
そして同時にFHエージェントが君に襲いかかる。
ヒロインは何も知らず殺される君に賢者の石を手渡し告げる。
――戦ってくれ、と。

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PC2:
カヴァー/ワークス:UGNチルドレン/FHもしくはUGNチルドレン
シナリオロイス:スピードマスター
ハンドアウト:
君は元はファルスハーツに属するチルドレンだった。
君がかつて師事していたスピードセルリーダー、スピードマスター。
彼は先達として君に戦い方を教え、オーヴァードとしての生き方を教えてくれた。
しかし、2年前のあの日、ある実験と事故を契機に全ては変わった。
君に残されたのは愚者の黄金(デミクリスタル)と引き取られたH市、UGNでの人生だけだ。
そんな君の元にH市に潜伏しているファルスハーツを撃退せよ、との命令が下される。

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PC3:
カヴァー/ワークス:UGNエージェント/UGNエージェント
シナリオロイス:東風谷冴子
ハンドアウト:
君はUGNに属するエージェントだ。
2年前まで君は別の支部に所属していた。
だが、ある事件を契機にその支部から離れ、H支部にPC2と所属している。
そんな君の元にアッシュレドリックからの命令を受け、かつての同僚にして上司である東風谷冴子が現れる。
彼女はH市に潜伏しているファルスハーツを撃退するよう云う。そしてもうひとつの目的も。

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PC4:
カヴァー/ワークス:レネゲイドビーイング/レネゲイドビーイング
シナリオロイス:グレイル
ハンドアウト:
君は記憶喪失のレネゲイドビーイングだ。
君が思い出せるのは、グレイルと呼ばれるモノを追うこと、そしてPC1を追うこと。
そのふたつだけだ。
グレイルと呼ばれるものは何か、そしてそれをどうすればいいのか。
それは君にはわからない。
今はただ、PC1と接触するしかない。

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オープニングフェイズ( 1 / 1 )

PC1 牙神刀真(キバガミ トーマ)
PC2 芳成六花(ホウセイ リッカ)
PC3 東陽一郎(アズマ ヨウイチロウ)
PC4 タリス & 高比良紗代子(タカヒラ サヨコ)

OP1 SP4------------------------------------------------
回想
タリス……とまだ呼ばれる前、ヒトガタのヒューマンズネイバーが使えていた頃。

#タリスがヒトガタを維持できていた頃の描写を貰っておく。
#どういう風体か? それを後にグレイルの過去の回想時に使う。

タリスがツヴァイハンダーを持った少女と戦うシーン。
少女は、あなたに向かって剣を向ける。
少女の斬撃が唸り、あなたに斬りかかる。

激しい戦いの後、両者は相打つ。


相打ったあと、ヒューマンズネイバーを維持できず、あなたは結晶体に戻り。
そして時系列は今になり、雨が降る中、あなたの起源種のレネゲイドに呼応する響きがあった。
あなたがその同調する誰かを呼ぶ。


そして、視点が切り替わり紗代子が登場。
紗代子はいつもの学校の帰り、誰かに呼ばれているような感覚を覚える。

そして、公園の空き地で二人は出会う。

「思えば、それが全ての始まりだったのだろう」
「その少女が巻き込まれる運命」
「この時、それを知る者は誰も居なかった」

タリスを拾い上げ、自宅に帰る。

OP2 SP3------------------------------------------------
UGNの教会地下支部、東陽一郎はいつものように、支部に詰めていた。
いつものように霧谷と打ち合わせをしつつ、身寄りのない子供の指導について世話をする。
「では、アズマさん。以前あなたからお話いただいた、カヤバタカヒロさん。彼は、某支部にて能力訓練を行ってもらうことになりました。ひとまず、それについては私とその支部に任せてください」

通信を切り、神父支部長が現れ、女性を連れてくる。

「米国支部から指示を受けて来ました、東風谷冴子です」
支部長が言う。
「今回は、アッシュレドリック氏からの命令で、こちらの東風谷さんに来てもらったよ」
「この街にマスタークラスのエージェントが張り込んでいるらしい。それを掃討するために、君とこちらの東風谷さん、そして我が支部で組んでもらうことになる」

冴子
「久しぶりね、陽一郎。あなたと組めて嬉しいわ」

支部長
「なぜ、彼女が君と組むことになったかだが……」
遮って冴子が言う。
「それについては私から。今回の件、グレイルと呼ばれるアーティファクトが関わっています」
グレイルという名に東は覚えがある。
2年前の回想に入る。

グレイルと呼ばれる強力な武器がFHの研究所で研究されているらしい。
アッシュレドリックがグレイルの情報を得て東風谷の支部を派遣する。
ゼファーと呼ばれる凄腕のFHエージェントがいる研究所で東風谷冴子、東陽一郎の支部が戦闘を行う。
そこにはゼファー、そして春日恭二がいた。
激しい戦いの最中、部下が一人、また一人と倒れていく。
「はっ、東風谷隊長、幸永啓司以下部隊の数名が重傷です! 幸永は春日と相打ちました。死傷者も多数居ます。東風谷隊長、指示を!」
「退路を確保しつつ、前進、負傷者を連れて引きなさい。私と東で最深部に行きます」
春日「クッ……UGNがここまで来たか……。私は先程のダメージが強い、ここは退かせてもらうぞ、ゼファー」
そのさなか、グレイルが暴走し研究所を大きく鳴動させます。
ゼファー「クソ、グレイルが起動……いや、暴走したか!」

ゼファー「おい、UGNの連中よ。逃げろ、死にたくなければ退け!」
爆発と竜巻でめちゃくちゃになった研究所。
敵も退いた、被害も甚大。
冴子は撤退しよう、と提案する。

そして、舞台は教会地下支部に戻る。
「そう、あの時、FHのエージェントが言っていた、あの事件の渦中にあった存在、グレイルです」
「詳細なデータはありませんが、あの時暴走したグレイルがこの街にあり、FHがそれを狙っているというのが現状です。アッシュレドリックの命令はFHの撃退、及びグレイルの確保。私たちにとっても因縁浅からぬ相手です」
「今度こそ、彼らに勝利しましょう」そして握手を求める。
その手を取ったところで、神父支部長が「六花君にも連絡を出しておくよ」と、メールを出したところでシーン終了。

「君は東風谷冴子と再びまみえた」
「あの時、君は多くの仲間を守りきれなかった」
「今の君ならば、仲間を守り、必ずや勝利を得られるだろう」
「だが、その勝利が一体何をもたらすのか、君はまだ知らない」

OP3 SP2------------------------------------------------
回想というか、夢を観ている。
両親に化物と疎まれた思い出。
「ひっ化物……」
両親の恐怖にひきつる表情を見て、六花は何を思うのか。
そして、FHでチームを組んでいた頃。
スピードマスター……当時はゼファーと呼ばれていた。彼の顔も見える。彼がセルリーダーだった。
FHで駆け抜けるように戦ってきた日々が見える。
そして、あの瞬間。
チームのメンバーとして、スピードマスターに実験として呼び出された。
おそらく命を吸われているのだろう、次々と倒れていく仲間を見ながら、六花もまた倒れる。
別室からモニターしていたのだろう、研究者の声が響く。
「賢者の石生成実験、全行程を終了しました」
曖昧な意識の中で、六花は聞く。
研究員の上司なのであろう、男の声が響く。
「結果は?」
「はい、賢者の石の生成は失敗、被験体に宿ったモノは愚者の黄金と呼ばれる劣化品です」
「そうか……進化を望めぬ者に用はない。失敗作め」
そう、その男が言い放つと同時に研究所にサイレンが鳴り響く。
「UGNの襲撃か」
「そのようです、数は……」
そこで六花の意識は途切れる。
暗転した意識がハッキリとする。夢から覚めたのだ。
そこはUGNからしつらえられた六花の部屋だった。
今となっては見慣れた部屋。
ふと、枕元にある携帯端末を見ると、メールが一件着信している。
UGNからだ。どうやら、呼び出しのメールらしい。
眠っていた六花は、そのメールに起こされたのだろう。
六花が身支度をし始める。
ナイフをジャケットに仕込み、ベレッタM92-Fをホルスターに突っ込む。
そこで、六花の愚者の黄金が眼に入る。

「君が夢に見た、過去」
「失敗作と呼ばれた君」
「そして、君の直属の上司だったスピードマスター」
「君は道を切り開く力を持っている、それが一体何を切り裂いて進むのか」
「そして、その終着に一体何が待っているのか。君はまだ知らない」

OP4 SP1------------------------------------------------
日常のシーンから。
高校の授業が終わった放課後。舞台は桜が咲いている春先から梅雨にはいるぐらい。
雨が降っている。
トーマの携帯に母から着信がある。
「買い物をしてきてほしいのだけれど」
「涼子さんと呼びなさい」

桜が舞い散る帰り道。雨が降っている。
そう、あの日もこんな風に桜が咲き誇っていた。

回想
今から大体2年ほど前。
大体14,5歳ぐらいの頃。
中学校に行っていた。
全校で行われた、花見イベント。
幼なじみの女の子、同級生の明石優美という女の子が声をかけてきます。
優美「トーマさん。桜ですよ、大きな八重桜があるそうです。私、今から楽しみですよ」
バスに乗って、大きな桜がある公園に向かう途中。
田舎の方の大きな研究所のような施設の前を通る。
大規模な爆発が起きる。
とてつもなく大きな竜巻が荒れ狂う。
それは明らかに爆発物によるものではなかった。
銃弾が擦過し、とてもただの爆発事故とは思えない。
そんな中、突風に煽られて、優美が宙を舞う。
トーマに手を伸ばす優美。
その手は届かず、彼女は研究所の方に突っ込んだバスの車外へ投げ出された。

その後、気がつくとトーマは病院の一室にいた。
そこに、女性が入ってくる。
「どうやら気がついたようだね。私は君の担当医をしている久遠遥だ。よろしく」
「君は1週間程意識不明だった。こうして生きているのが不思議なぐらいだ」
「まあ、重症軽傷の程度はさして問題じゃないがね」
そういいながら、遥はナースコールで意識が回復したので、親御さんを呼んで欲しい旨を伝える。
「ひとまずは経過観察かな。あの事故での数少ない生き残りだ、あまり焦らず療養することだ」
「ああ、事故の被害者は、生存者よりも死傷者のほうが多い。君は幸運だよ」
「例えば、白星刃とか言ったか。彼は隣室で入院している」
他にも何名か名前をあげるが、その中に優美の名前はない。
「明石優美か……残念だが、うちには収容されてないな。仮にどこかに収容されていたとすれば私の耳には入っているだろう。そして、見つかっていないということは行方不明だろう。現在捜索中だろうが、生存は絶望的だろうな」
「惜しい気持ちは分かるが、今のままでは何も出来まいよ。とにかく養生することだ。君の傷は決して浅いものじゃない」
「それに、この件は深入りするような事はしないほうがいい。もう終わった事さ」
そして、窓の外を見ると、皮肉にも桜が舞っていた。

その桜を中心に場面が切り替わる。
優美についての韜晦、エフェクトについての懸念がある。
雨に濡れた泥の海、桜が浮いたその中に一人の少女が倒れていた。
トーマにはすぐに分かる。彼女の容姿は、あの時手が届かずに死なせてしまった。いや、行方不明になってしまった明石優美だ。
トーマが何らかのアクションを起こすと、
少女も「……あなたは、トーマさん……?」とうわ言のようにつぶやく。
「分かりません……私には何も……」
「私は……私は……明石……優美?」
泥まみれになった制服と所々に血が付いた体。それ以外はあの日別れたきりの優美に相違ない。

そこに黒服の男が二人現れる。
「ようやく見つけたぞ」
「なんだ、このガキは」トーマの方を見て言う。
「まあ、構わん。面倒な事になる前に始末するか」
ワーディングが張られ、トーマは無力化される。
エキストラと化したトーマの左胸を黒服の男達が拳銃で撃ちぬく。
血を吐き出しながら崩折れるトーマ。
倒れたトーマを他所に、黒服は優美に近づく。
優美はトーマに手を伸ばす。あの日、届かなかった手、それが今眼の前にある。
トーマが手を取ると、優美の手を経由して力が流れこんでくる。
「ごめんなさい……その、それは資格です……。戦ってください……お願いします」
体の傷が完全に癒え、自分ならば戦えるという実感が湧いてくる。

「君は図らずも戦うための力を得た」
「君は選ばれたのだ。何者をも薙ぎ払う力」
「その力を何に使うかは君次第」
「君の選択が世界を大きく動かすとは、この時、誰一人として知らない」

 

本塚届
作家:本塚届
【TRPG】DX3シナリオ「渇望の聖杯(グレイル)」
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