牛丼職人のフィットネス

「え~~~ィ。らっしゃェ!」
今日も元気溌剌。べらんめえ口調の森山真二郎は、牛丼屋に勤める53歳。
客の顔をみるだけで、『つゆだく』なのか、『ネギ抜き』なのか、『ねぎだく』なのか一瞬にして解る。森山は牛丼一筋30年の大ベテランだ。
学生時代に『飯にこまらぬ』バイトとして選んだ牛丼屋だったが、
この道が天職となった。

†††

『味見』と称して、ことあるごとに牛丼のクオリティをチェックする毎日。
学生時代58キロだった森山の体重は今では80キロを超えていた。

†††

意を決した巨漢の持ち主は、フィットネスクラブの門を叩いた。

20代後半の女性インストラクターの指示で簡単な体力測定を終える。
彼女は生活習慣や、身体に関するいくつかの問診の後、
緊張気味の森山にこう尋ねた。

「森山さん、当方のフィットネスクラブで、
今後どのような身体作りをしていきたいですか?」

森山は大きな声で、こう答えた。

「父親に対して、そのよそよそしい態度は何だ!」
羊野シープ
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