「神様お願いです! 私のような食フェチの男の人……。そんな人にめぐり逢わせてください! お願いです!」
「神様お願いです! ボクのような食フェチの女性……。そんな人にめぐり逢わせてください! お願いです!」
遠く離れた場所で、うら若き女性と、青年は神に手を合わせていた。
そして奇跡は起こった。
その彼女と彼が共通の友人を介してお見合いをする運びとなった。
†††
「自分で言うのもなんですが、ボクは採れたての旬な野菜のようにフレッシュです!」
「まあ素敵! お米の品種でいえば私あなたに“ひとめぼれ”です」
彼は同席していた彼女の両親を指さした。
「あなた方が彼女の“生産者”というわけですね」
運命のめぐり逢わせはふたりを急速に近づけていった。
そして覚悟を決めた彼は目の前の彼女にプロポーズを申し出た。
「あの、大変言いにくいことなのですが。ボクは種なしなんです! それでもよければ結婚してください!」
彼女の両親はその言葉に慌てふためいた。が、しかし。彼の瞳の奥をじっと見つめる彼女は少しも動じなかった。
彼女もまた何かを確信しているのだ。彼女は力強い言葉でこう彼に伝えた。
†††
「 大丈夫です! こう見えて私、産地偽装も得意なんです!! 」
それだ!と言わんばかりに、双方の両親の拍手で沸いた。
神様 「・・・大丈夫かおまえら。」