よだかという名の

【ある生物の物語】




長い 長い 時間
(それはヒトの世で言う数年間)

暗ぁい 静かな 土の中
小さく 小さく 身体を縮めて

短い 短い 時間
(それはヒトの世で言う数十日)

生きる時 思い描いた



土がむくむく盛り上がったらそれは

僕らか別の虫かもしれないね

僕らが鳴くのは
  哀しいからでは決してなく

僕らが鳴くのは
僕らが鳴くのは


長い 長い 時間
(それはヒトの世で言う数年間)

暗ぁい 静かな 土の中
小さく 小さく 身体を縮めて

短い 短い 時間
(それはヒトの世で言う数十日)

そう 短いと知っていても 僕らは夢見てたのさ



でも、何も哀しくなんてない
(ああ あなたに逢えたこの奇跡)

不安も怖さもあったさ けどね
鳴き声に気付き
耳を傾けるひとに出逢えたんだ
土の中にいる間 たとえ世界が変わっていても


泣く必要はない

鳴くだけだ 力の限り

青空の下 太陽のあつさに負けないように



僕らが鳴くのは



僕が 鳴くのは



DSCF0247.jpg



【怠け蛙の唄】



僕を蹴らないで
僕を踏まないで
僕を見止めてね
ちいさくたって
僕はこの世界の住人です


鳴いて笑って
時には疲れる
ぐたっと寝て
疲れたよって
呟いて みる

柔らかなお腹をみせて
夜空を見上げ
綺麗な星空に
なんでかどうしてだか
涙ぐんでしまう夜でも
君の温かい手を想って
護られた日を思い出す

そうすれば僕は安堵し
眠りの中へ勢いよく
落ちていく
落ちていく
僕は怠け者の
取るに足らない蛙です
皆がどんどん先に行き
それでものんびり
ここに 居たくて
雨を呼べない雨蛙
ゲロゲロゲロゲロ
でも生きて生きて
スローに生きて
おりますずっと

先を急ぐお人は
お先にどうぞ!
僕は怠け者ノ蛙
紫陽花のわきで
ゲロゲロゲロと
どっかり座って
気ままに歌って
十分休んでから
また旅に出ます

いつかまた奇跡的に
めぐり逢えたら話し
お互い歌を披露しましょう

それまでさよなら
さよなら
さよなら


kaeru.jpg

マメシバ
作家:豆シバ
よだかという名の
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