4.セミリタイヤと放浪者の違い
もし親のスネかじりをしながら、気楽に小遣い稼ぎだけをする生活をしたら、それはセミリタイヤメントと見分けがつき難いと思われます。しかしこの生活はビジネス界をリタイヤしたことになってしません。自力で自分の生活資源を確保した後に、それを使って生活することこそリタイヤなので、生活するための資金が他から与えられる場合はセミリタイヤではありません。それはセミリタイヤメントでなく放浪者だと思います。
しかし放浪者はダメだと言うつもりはありません。世の中には長い放浪生活の後に才能を開花させた芸術家や音楽家も存在するので、生活資金は自分でない誰かの提供を受け、自分は気ままにやりたい事にマイペースで精を出すという生活スタイルも、もしそれが迷惑をかけるようなことでなければ悪くない生き方だと思います。
5.セミリタイヤと脱サラ起業の違い
セミリタイヤと精神的に似ているのが脱サラ起業するパターンです。両方ともビジネスをするという行動も変わりません。ただ仕事に対する考え方が違います。
脱サラ起業では、そこから得られる収入で生活する「生業」としての行動が必要です。そのためにはお客様第一でビジネスを考えなければなりません。そうしないと売上がなかなか伸びないから、自分の想像とお客様のニーズが違った場合には、お客様のニーズを優先させなければならないでしょう。お店や工房の運営もお客様あってのスタイルになるはずです。夜間や休日にニーズが高いと分かれば、仕事が辛くてもそれに合わせてビジネススタイルを変化させないと売上が伸びません。つまり起業するときには、常にお客様を意識したビジネススタイルにならざるを得ないわけです。
一方、セミリタイヤメントの場合は自分の生活がなにより優先です。強いストレスで自分の仕事を辞めたくなるようではいけません。もしそのような状況になったら、ビジネスを自分に合うように変えなければなりません。仕事をしていても楽しくてしかたがなく、朝から晩までぶっ続けでやるような事であっても、勝手に体と頭が動いてしまうような仕事の対象を求めなくてはなりません。
6.セミリタイヤと「趣味に生きる生活」の違い
趣味がお金になったら、これはセミリタイヤするための良い手段になることでしょう。しかしセミリタイヤはビジネスです。儲けはボチボチでしかなく、決してそれで飯を食えるほどにはならなくても、それはビジネスで得た収益です。
ビジネスは損益を意識してするものです。収入より多額の経費がかかるような場合はそのまま放置してはいけません。今は赤字でもこの先収入が見込めるなら継続するなど“趣味を経営する”というセンスで考えなければなりません。お金がかかるけど収益がそれに見合っていないことは、たとえそれが自分の好きなことであっても撤退を決めなければならない場合だってあります。
一方、趣味はビジネスとは違います。趣味あれば湯水のごとくお金を使い、その結果自己満足だけで事足ります。それでも趣味がお金を生むこともあるでしょう。たとえ収入があったときにも「儲けは儲かったときのもの」とするのが「趣味に生きる生活」です。なぜこのように厳密にセミリタイヤと「趣味に生きる生活」を区別したいか、その理由は、趣味にはたくさんのお金を使うからです。
リタイヤメントは持っている資金が限られていますから、生活資金に影響しない範囲で活動しなければなりません。そんな中でビジネスをする場合には、資金の管理は極めて大事です。もし「趣味に生きる生活」ができる人がいるとしたら、その趣味が十分にできるお金を持った人か、お金のかからない趣味を持った人の場合だけでしょう。