el(天使)の忘れ物

  寒さも和らぎつつあり、雪も降らなく成ってきていた。
  暖かくなる日も多くなり、服も一枚一枚といらなく成って薄着に成ってきた。
  桜も咲き始め、やっと自分にも春が来たかと思っていたが、お互いの仕事上で逢う事、デートする事は、なかった。
  つぼみのまま、冷凍保存されたような、気持ちが晴れる事のないまま、季節は、流れた。
  唯一 心が晴れたのは、彼女の言葉だった。
「今年は、お互いに都合がつかなく、会えませんでしたね。(泣)  でも来年は、必ず一緒に桜を見に行きたいです」
  この言葉を信じたいと私は、思った。

 

《なぜなら、私は、だます人間より、だまされる人間でありたいと日頃から、思っていたからだった》

  私は、彼女を信じる為にダメもとで、あえて嫌いなふり、退けるふりをする《kama》をかけてみる事にした。
  心では、両手を合わし、神頼みをする思いだった。
  連絡が来てもなかなか返さないで気のないふり、ツケ放すふり、ケンカ腰のふりをして相手の様子を確かめた。

「この頃  なかなか連絡がないよね~、お仕事で忙しいのかな。 無理しないで頑張ってね」

「具合悪くしているのかな~、心配です。 時間が空いたらでいいから、連絡を下さい」

「沢山、連絡をくれるのは、嬉しいけど、ちょっと君に聞きたい事があるんだ。  君は、俺の事、どんな風に思っているのかな!?
  遊び半分で付き合おうと思っているんですか!?  一時だけの寂しさしのぎ!?  セフレ!?  それとも真剣に結婚を考えて付き合おうと思っているんですか!?  いずれか、教えて下さい」

  そして連絡が来た。

「あなたは、私の事どう、お考えですか。 私は、真剣に結婚相手を探しているのは、紛れもない事実です」

  俺は、ひと安心した。
  俺の探しているのは、この女性だと素直に直感して直ぐに連絡を返した。

「真剣にあなたの事が好きです、愛してしまいました。 本気で結婚を前提に付き合って頂けませんか」

  少しの間 時間が空いた。
  考えているんだろうと俺は、思った。

  時間が長く感じられた。
  そして連絡が来た。
  恐る恐る返事を確かめる。

「返事がなかなか来なくてドキドキしたけど、本当に嬉しかったです。 はい、結婚を前提に真剣に、こちらこそ、宜しくお願いします」

  マジに心が安堵した瞬間だった。
  この時、俺の一生をかけてこの女性を幸せにしようと本気で思った。

  幸せな日々は、続いたが、やはり、お互いに結果を出すまで安心は、していなかったみたいだった。
  彼女も何回も×3、《真剣か本気か》、どうかを聞いて来たし、確かめて来た。

  そして俺も彼女と同様に《本気か、真剣》なのか、何度も×3、確かめ合った。

  やはり、お互いをまだ《信じる》所まで行ってないのだろうと。
  しかし、俺は、考えた。
  《入籍して結婚しても同じ事では、ないのだろうか!?  なぜなら、お互いを信じるだけで確かめ合うものがないから》

  これが離婚の男と女の仲なんだと。

  そして俺は、考えた。
  その《目に見えない物》をお互いが理解し合えれば、上手く結婚生活が続くのではと。

  そして彼女も同じ事を考えている事に俺は、気付く。

「あなたの両親に挨拶に行くなら、茶髪より、黒髪の方が良いよね、どう!?」

「そうだね、やはり茶髪より、黒髪が好印象かな」

「着て行く服は、どんなのが良いかな!?」

「普通は、やはり上下、濃紺色の服にスラックスかな」

「貴方のお母さんって、どんな人!?  やはり結婚する上で知っておきたいし、友達の話しを聞くと《嫁&姑》でもめる事もあるって聞くから!?  ごめんね~」 (汗)

「うちの母親は、優しいですよ。 あまり頭が良くは、ないけど、仲良くしてやって下さい。 嫁&姑で問題が起きたら、間に入って助けてあげるから。 大丈夫だよ、俺を信じて下さい。  何でも話し合える仲になりましょう。 君を愛してる。   母親の話し相手に成ってやって下さい。 宜しくお願いします」

  俺は、《信じる》事を目に見える物にしたいと思った。

「逢ったら、手をつないでもいいですか」

「OKですよ。 ただし、背中側でつないでいるか、知っている人の居ない時にね。 俺、恥ずかしいです」 (照)

「ね~、お互いに何て呼び合えばいいですか。 私は、●●●でいいし、貴方は、何て呼べばいいですか」

「俺の事は、●●●でいいよ、●●●」

「一緒にオーロラを見に行きたいです。 いいですか」

「オーロラって行って必ず見れる物じゃないらしいですよ、知ってました!?」

「そうですよね~、相手は、自然だしね。 分かったよ~、●●●さん、愛してるよ~、貴方が思う以上に私は、貴方を愛してる」

「俺も●●●を愛してるよ、I LOVE YOU.  I NEED YOU.  I WANT YOU.」
  俺は、成るべく《絵文字》を入れるように、言葉を出して確実に相手に伝えるようにした。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
el(天使)の忘れ物
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