CRASH FAMILY

 混雑した高崎線の電車に揺られながら車窓を眺める正太郎は、埼玉の自宅へ向かっていた。

正太郎は中学二年生だが身長は140cm程しかない、電車の吊り革へは手が届かずドア付近

手摺に摑まっていた、そのとき急カーブで車両が揺れ、傍にいた小学生の子供に足を踏まれ

た、それは真新しい祖母に買ってもらったナイキのスニーカーだった、その小学生の靴は雪解け

水の泥ロの靴で 無残にもナイキのスニーカーは泥に塗れてしまった、そいつは謝りもせずま

して親は気付いてもいない、またもや正太郎の暗闇に潜む激しい怒りが爆発してしまう。

降車駅に近づいて来た、その親子も降りるようだ、ドアが開き人の波がホームへ流れる、近場の

段を上がる親子の後ろへピタリとくっ付いて歩く、連絡通路を渡り階段を降り始めたとき、正太

郎は子供の横に並びさり気無く足を掛けた、すると小さな子供は階段から転げ落ち、階下のホー

ムまで一気に落ちた、構内は騒然となり駅員が詰め寄り様子を窺いながら無線で救急車の手配

をしている、子供は頭から酷く出血していた。

野次馬を掻き分け改札口へ正太郎は急いだ、駅前ロータリーのバス乗り場でバスを待った。

 

 日曜日の銀座界隈は、着飾る者達が堂々闊歩し平和な世の中を象徴している。

久し振りに夫婦で映画を見ようと正二は早苗を連れて有楽町の映画館を訪れていた。

機嫌の良い妻を見ていると昨夜のことが嘘のように思える、美人でスタイルも良く連れて歩く正二

は自慢である、あの性癖さえなければ・・。

冴えない邦画で眠気を覚えた正二は、ついウトウト居眠りをしてしまう、上映が終わり早苗に起こ

される、また不機嫌にさせてしまった。

映画館を出て昔いった事のあるビストロへ向かった、その店はタンシチューが旨くワインに至極

合い、自家製のパンも絶品であった。

あまりの旨さに感動した早苗は、機嫌が直ったようである。

「ねえ、アナタ・・行きたい所があるの・・・いいかしら?」

「ああ、何処だい?」

「歌舞伎町にね、行ってみたい店があるんだけど・・・」

「ああ、いいよ、行こう」

 

 歌舞伎町の鄙びたモーテルに二人はまだお互いの身体を貪っていた、小雪の身体は精液に

れ疲労の限度を超えていた、シャワーを浴びたヒロシは、身支度を整え誰かに電話を掛けて

いた。

「俺です・・いま歌舞伎町です・・・はい・・一人客になりそうな奴がいまして・・・はい・・・」

「帰っちゃうの?」

「ああ、用事があってな・・・小雪・・・お前どうする?」

「今何時?」

「昼の1時過ぎ・・」

「ワタシも帰らなくちゃ・・・明日学校だし・・・」

「おい、大丈夫か?まだクスリ効いてるから・・・」

「うん・・シャワー浴びてくる・・」

「俺は先に出るから・・ここの金は払っておくよ・・それから、また遭いたくなったら連絡してくれ・・

それとこのクスリ結構高いんだ・・・もうタダではやれないよ・・欲しかったら金持ってきな・・・」

ヒロシはドアを開け、煙草を吹かしながら出て行った。

小雪はフラフラしながらバスルームに入り、精液塗れの身体を熱いシャワーで流した。

自分の行動にいつの間にか疑問すら感じなくなっている、腕の注射痕が痣の様に赤く晴れ上が

っていた。

 ホテルを出た小雪は、日差しの眩しさによろめき倒れそうになった、目を凝らすと景色が黄色く

映る、目が窪み頬が心成しかこけた様だ、歌舞伎町を歩いて駅へと歩く。

すると前方に見慣れた男女が腕を組みこちらへ向かって歩いてきた。

(えっ、お父さん・・お母さんも・・なんでこんな所に・・買い物かな?)

小雪は咄嗟に身をビルの陰に隠した、何やら母親が近くのビルの看板を指差している、二人は

そのビルに入っていく、気付かれないようにそのビルを見上げると、如何わしい文字が書かれた

看板が掲げてあった、AV,大人の玩具販売など性商品を販売している店らしい。

(はっ?何してんの・・いい年して・・・馬鹿じゃないの・・・)

小雪は腹を立て足早に駅へと向かった。

 

 狭い階段を上がると、ケバケバしい色使いのポスターやAV女優の写真がやたらと貼ってある

店があった。

「ここだわ・・ねえ・・入っていい?」

「ああ・・・」

正二は戸惑ったが、また機嫌を損ねたら面倒臭いと思い、妻に従った。

中に入ると一面にDVDが並び全てAV関係である、早苗は奥へと進みまるで熟知しているよう

な足取りで目的のコーナーへ向かった。

「わぁ・・凄いわ・・ねえ見て・・あっ・・これよ、これが欲しかったの・・」

早苗は黒光する極太のバイブレーターを指差した。

「ねえ・・アナタ・・・買って・・・いいでしょ?」

 

 市営バスに揺られ、先程の事を考えている正太郎は、興奮が静まらなかった。

(やったぜ・・あのクソガキ・・俺のスニーカー・・汚しやがって・・・天罰だ・・死んだかな?)

にやける正太郎の顔は魔物が憑依しているかのような恐ろしい様相であった。

バスを降り自宅に辿り着いたが鍵が閉まっていた、合鍵は玄関脇の植木鉢の中にある。

自室に入るとパソコンを開き、自分のブログにアクセスした。

正太郎は思いの丈を綴り、病んだ心を文章に変えていった。

(俺は間違っていない・・俺をコケにした奴等に天罰が下った・・・これからも天罰が下る奴が現れ

だろう・・・俺は神なのか・・・そうだ神だ・・・皆・・・平伏すがいい・・・)

 そのとき玄関のドアが開く音がした、ふと正太郎は我に返った。

階下のリビングに降りていくと、ソファーに姉の小雪が座ってうな垂れている。

「姉ちゃん・・どうしたの?」

「何でもない・・・」

「ねえ、父さん達は?」

「知らないよ、あんな奴等・・」

「なんだよ・・・何怒ってんだよ・・・」

「うるさい!あっち行ってろ・・」

正太郎は二階の自室へ戻り、床に転がっている野球のボールを壁に向かって力任せに投げた。

バウンドしたボールは窓の硝子を割ってしまう、そこから吹きぬく冷たい風が正太郎の狂気を蘇

らせてしまった。

 

 早苗は、埼玉の自宅へ帰る車中歌舞伎町で購入した物を大事そうに抱えていた。

「ねえ、アナタ・・・これ凄いでしょうね・・ネットで検索したらこれが出ていたの・・・恥かしいけど・・」

「ああ、そう・・・」

正二はまだ少しぎっくり腰の痛みが残っていた、今夜が恐ろしい、逃れられるなら逃れたい、また

痛いふりをしようか、また機嫌が悪くなるだろうな。

 自宅へ戻ると玄関の鍵が開いていた、子供達が戻っているのだろう。

リビングには小雪がいた、ふと顔を覗くと血色が悪い。

「小雪・・・具合でも悪いのか?顔色悪いけど・・・」

「別に・・・」

正二はこれ以上聞くのを控えた、思春期の女の子は理解できない、最近この子と接するのが難

しくなってきた、正二は二階の正太郎の部屋へ向かった。

 

 

 正太郎の部屋を軽くノックしドアを開けた、その瞬間冷たい風が吹き込んだ。

「おう・・どうした?その硝子・・・割れているじゃないか・・・」

「うん・・ボールで遊んでたらぶつかっちゃって・・ゴメン・・・」

「取り替えなきゃな・・・今日は日曜だし・・・硝子屋開いてないだろうな・・・取り合えずダンボール

も貼っておこう・・・ところでお婆ちゃん、元気だったか?」

「うん、元気だったよ・・・」

「そうか・・・」

正二はいつもと雰囲気が違う正太郎が気になっていた、いつもは目を見て話をする子だが、何

か伏せ目がちであった、コイツも思春期とやらに突入したのだろうか。

 小雪は自室でベットに横たわりクスリが切れたのか睡魔が急に襲ってきた、深い眠りに陥る。

丸一日眠らず食事も摂らず、性行為に耽っていた訳だから体力は少なからず消耗している。

 夕食の支度が整い、早苗は二人の子供に声を掛けた、食卓にはポークソテーとサラダが並ん

でいる、正二がビールの栓を開けていると正太郎が降りてきた。

「わぁ、旨そうだね・・・」

「小雪は?」

「起こしても起きないんだ・・・何か機嫌が悪いみたい・・ほっとけば・・・」

「そうか・・まあ腹が減れば降りてくるだろう」

 深夜12時過ぎ、子供達は寝静まったようだ、これからまた始まる。

案の定、全裸の早苗が寝室に入ってきた、それはいつもより高揚しているようだ、ロープを取り

出し縛れとせがむ、正二は嫌々ながらも早苗の身体を縛っていった、喘ぐ早苗をベットに倒し身

体を揉み漁る、自分の隆起した物を早苗の口に突っ込み、歌舞伎町で買った極太のバイブレー

ターを早苗の股間に宛がいゆっくりと挿入していく。

「ウグっ・・・うっ・・ああああぁ・・・」

激しくよがる早苗は白目を剥くほど興奮している、甲高いヨガリ声は二階の子供達に聞こえない

だろうか、その後一時間行為は続いた。

エンジェル
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