
ある日、庄屋さんが用事で出かけていった時のことです。
良太郎が、いつものように掃除をしながら帰りを待っていたら、
(ごそごそ… かり…かり…)
庄屋さんの寝室のおしいれの中から、なにかが動いているような、
ふすまをかぐるような、もの音が聞こえてきます。
なんの音だろう。ねずみだろうか。それとも、いたちだろうか。
(みゃーる…)
なにやら小さな動物の鳴き声がします。
ねずみなら、ちゅうちゅう鳴くし、いたちなら、くっくっと鳴く。
みゃーるなんて聞いたこともない。
良太郎は、どうにも気になってたまらなくなって、
ちょっとだけ、と部屋に入っておしいれを開けてしまいました。