ねこふくろう

西の見わたすかぎり砂の国( 2 / 10 )





月のあかるいある晩に 大きないびきをかいたひとさらい

おさけを飲んでねむってる ここは見わたすばかりの砂の国

子どもたちがにげるすべはない

西の見わたすかぎり砂の国( 3 / 10 )





兄はねむる妹をおこし 立ち上がらせると

家にかえろうと ちいさなこえで言う

妹はうなずいて 兄の手をとった

西の見わたすかぎり砂の国( 4 / 10 )





どれだけあるいてきただろう にぎりしめた手と手ははなれない

ここは見わたすばかりの砂の国 二人に帰るすべはない


歩く二人の足もとで とおくちかくにこえがする

つきよのひかりにてらされた ふしぎなふくろうのこえがする

西の見わたすかぎり砂の国( 5 / 10 )





ほうほうほう ごろごろ ほうほうほう


こんやはとくべつなつきのよる 

ひときわ光る星のもと

子どもをさがすひとのこえ


ほうごろごろ ほうごろ ほうほうほう
由井青朗
ねこふくろう
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