なきまくら





そして しごとからかえってくると お父さんは つかれてねむってしまいました




なきまくらが ゆめちゃん家の おしいれにすみついて 半年がすぎました

あのちいさな黒いまくら お人形あそび用のまくらにやどった ちいちゃんは
もちはこびにべんりで とてもやくだちます

さむい日には かいろにします
あたまやおなかがいたい時は そこに あてたり のせたりします
お父さんは かたこりにつかいます

そんな ちいちゃんのことを
「 ちいちゃんは わがやの「 きゅうきゅうかいろ 」ね とお母さんはわらいました




ある まんげつの夜

ゆめちゃんが なかなかねつけずに おきていると 
まくらが きれいな 歌をうたいはじめました

それは いつもとちがって 高い声でした
ことばは わかりませんが それは赤ちゃんのような かわいい声でした

ゆめちゃんがねむるまで 歌いつづけてくれました
  
なきまくらには 赤ちゃんやこどもの ねごとはごちそうです
なんだか おもしろいですね




ある日 ゆめちゃんにお母さんがいいました

「 ゆめちゃん 今日これからね お母さん お出かけしなくちゃいけないの
おかあさんが 帰ってくるまで おるすばん おねがいね 」

「 うん だいじょうぶ まかせて 」
ゆめちゃんは元気よくこたえました
由井青朗
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