なきまくら

01_naki.jpg


まくらにやどる おばけを 知っていますか?

これは そんなおばけの おはなしです






ここは ゆめちゃんの おうち

今夜も お父さんと お母さんと

なかよく お休みします





お父さんと ゆめちゃんは いつものように いっしょに おふとんをしこうとしていました
おふとんを出そうと おしいれに 近づいたとき 何やら 
中から もの音が きこえてきます
 
ねずみでもないし ごきぶりでもありません

もっと大きなものが うごいているようです

お父さんはゆめちゃんにいいました

「 ゆめちゃん きこえるかい? おしいれの中から 音がしているよ・・ 」
「 えーん・・ こわいよ・・ おばけだったら どうしよう おとうさん・・ 」

「 でも おしいれを あけなくっちゃ・・ 中にある おふとんをしくことができないよ 」
「 こまったね・・ 」

お父さんはゆめちゃんにいいました

「 よし お父さんが おもいきってあけるから 
ゆめちゃんは うしろで お父さんをはげましてくれ! 」
「 うん! わかった まかせて」
「 いくよ! せーの・・ それっ! 」.

お父さんは おおきな声で そっと ふすまをあけました




なんでしょう なにやらうごいています
おしいれの中で まくらがうごいていました
お父さんとゆめちゃんは とてもおどろきました

「 まくらがうごいているよ これはなきまくらだ 」

中をみると いつも家ぞくでつかっている まくらがみあたりません
それに 目の前で うごいている まくらたちのカバーの 色やがらが
いつもゆめちゃんたち家ぞくが つかっているものとまったくおなじでした

「 なきまくら? なきまくらってなぁに? 」

ゆめちゃんは ふしぎそうな顔でたずねました

「 むかしから このあたりにいるといわれている まくらにやどるおばけさ 」

「 やっぱりおばけ! やだ こわいよ 」

「 こわがることないよ なきまくらは しあわせをはこぶ いいおばけというからね 」 

「 いいおばけなの? 」

「 そうだよ しずかで平和な家の いごこちのいい おしいれをこのんで
すみつく まくらのおばけなんだ お父さんが まだ ちいさかったころには 
このあたりにもすこしはいたんだけどね 」

由井青朗
なきまくら
0
  • 0円
  • ダウンロード

1 / 33

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント