刑務所に入っていた者に就職などあるのか、そう思いながら刑務所の門を出た。
やはり外の空気は違っていた、川越駅に向かう途中煙草屋があった、セブンスターとライターを買
い煙草に火を点けそっと吸い込んだ、大袈裟だがくらくらと眩暈がした。
作業報奨金(刑務作業の労働対価)なるものと所持金を合わせて5万円、早く仕事に有り付かないと
大変である、祐一は26歳になっていた。
川越から都内へ向かう電車に揺られながら、売店で買った缶ビールをチビチビ呑んだ。
あるデータによると再犯率は高く、また刑務所に戻る奴は7割を超えるという、社会の脱落者はや
はり居場所は無いのだろうか、祐一は車窓を眺めながら先の不安と戦っていた。