8.親友の提案
そこで夏木さん、なるべく冷静になりまして倉田さんに
「倉田よ、お前がどんなこと考えてるか判らないけど、それって俺えらく見くびってるってもんだよなぁ」
「それ判って言ってるんだよな」
「場合によちゃぁ、俺お前との縁切ることになるかもだよ」
それに応えて倉田さん、特徴あります童顔の笑顔崩しまして
「夏木よ、俺もゴルフの素人じゃないさ。意味があるから提案してるんさ」
「もしお前がそれやってくれて、意味ないって感じたら縁切ってもらってもイイよ」
とサラッと答えたのでありました。
こう言われますと夏木さん断る理由がなくなりまして、タカが女の、それも子供とのゴルフ対決を不承不承でも受けなければならなくなりました。
その理由は親友だからという理由ばかりではなく、この倉田氏には夏木さんプロとして何かと援助受けてたもんですから。
なので夏木さん、
「わかったよ倉田、段取りはお前に任せる」
「だからヨシナに頼む」
「ただし言っとくけど、たぶんお前の思うようにはならないよ」
そう言うのが精いっぱいで、倉田氏のゴルフ場を後にしたのでありました。
そんなとんでもないお話しが、このこのゴルフ場の応接室で交わされておりましたこと、彼の由美ちゃんは知る由もなかったのでありました。
その由美ちゃんと言えば、間もなく夏休みになりますひと時を、例の庭の練習ネットで練習に余念がない。
だって相変わらずお父さんは仕事・仕事で、家にほとんどおりません。部活無事?やめまして、学校から帰りましたら宿題やる以外は練習三昧。
まさに由美ちゃんの思い通りの毎日、過ごせていたのでありましたから。
9.遂に遂に
そしてそして、その日はいよいよやってまいりました。その日とは倉田さんの計らいで、夏休みに入ったばかりの平日。
その対決?の場を由美ちゃん倉田さんから、
「由美ちゃんのゴルフをパパ見たいってさ」
「だから由美ちゃん普段通りにプレーすればイイからね」
「それしっかりできたら、パパ由美ちゃんのゴルフ続けること認めてくれるってだから」
そんな風に言われてます今日の由美ちゃん、ただただこの日を楽しみにしていたようなんですね~。
でもあの日以来の父娘関係十分には回復致しておりませんで、相変わらずの夏木さんの仕事ぶりですからゆっくり話することもできませずのここまで。
ですからこの件での会話はほとんどなかった、て~のが本当のところでございました。
そこにはこの日を半信半疑で迎えます夏木さんと、ただ父親に自分のゴルフを見せたいってだけ思ってます由美ちゃん。
そしてそしてその成り行きに息をひそめる様にして、何かの期待持って見守ります倉田さん。
はたしてはたしてその成り行きはいかがなりますのか、乞うご期待なのでありますけど。