あれから3年綾は性の奴隷として過ごしたが、クスリの影響で既に身体はボロボロであった。
身体は痩せこけ、食物も受け付けず水分のみの摂取では仕方が無い。
歩く事も儘ならない綾を宋は、格安で知人の金登春に譲り渡す事にした。
「こんな骨が透けるようなガリガリか・・・役に立つのか、宋さん?」
「金さん、まだまだアソコの方は元気だよ・・ただ上の口は歯を全部抜いた方がいいな、シャブら
せると歯が当たる・・・」
綾は廃人になっていた、思考能力などない、栄養分の点滴を打たれ、クスリを打たれ、ただ反
応するのは秘部だけで、異物を挿入されるとそこは微かに潤う。
売られた金にも愛想をつかれ、場末の売春宿に転売されてしまったのだ。
その売春宿でも客など付くはずも無く、とうとう路上に捨てられることになった。
辛うじて粗末な衣服を着ているものの、その容貌は浮浪者のようで正に廃人である、若干27歳
の若き女の姿は微塵も無い。
上海の裏ドヤ街で物乞いしている所を、教会の牧師が助けてくれた。
今では寝たきりの綾は、教会の屋根裏部屋に横たわっていた、そこには飾り窓がある。
その窓から望む空をただ見つめている日が暫く続いた。
ある朝、その窓から差し込む朝陽が綾の顔を照らしている、それは生気のない蝋人形のような
窪んだ目から、一滴の涙が落ちた。
(ワタシの人生・・何だったんだろう・・・)
飾り窓に止まる一羽の雀が綾の気持ちを代弁しているようであった。
綾は目を開けたまま、息をしなくなった。