夜空に願い事を・・・ (Make a wish in the night sky ...)

  入院当日  親父は、嫌がっていた。
「ヤダナ~、やっだな~」
  病院に近付くにつれ、言葉が出なくなっていた。
  車内が静かになっていく。
  車を駐車した。
「はいっ、着いたよっ」
  圧倒される程の大きな病院がそびえ立っていた。
  恐る恐る病院内に歩を進めて行く。

  担当の先生いわく、三週間の検査入院という事だった。
  病院に親父をおいてくると寂しいのか、生活になれていないのか、午後六時頃  毎日  電話がかかってきた。
  必要な物だったり、心配事ややはり、寂しくらしいという母親の言葉だった。
  度々  病院に足を運ぶようになる。

  地震などが心配で度々  連絡してきた  昔 マッポにお世話になった奴が親父を心配して返って来た。
  墓参りに行って膝を付き、手を合わせて泣いていた。
「・・・・・・御免よ、悪い事をして迷惑をかけて・・・・・・」
  反射的に左を向いた。
「・・・確かに昔は、悪い事をしたけど、今、真面目にやっていれば、いいんじゃないか、これから先が大事なんじゃないかな・・・」

  そんな奴が親父に会いに病院に行った。
  お互いに久しぶりだったが、話は、バカ話ばかりをして笑い声が漏れる程  砕けていて楽しかった。
  看護婦さんからの連絡で目の前に緊急のヘリが降りた。
  患者さんを緊急輸送するという事だった。
  見るのが初めての事だった。
  飛び立って行くまで見ていた。
「オスプレー!?」
「違うよ、リモコンのヘリ!?」
  二人で手真似をする。
  病院内の憩い室で久しぶりにバカ話をして家族団らんをして盛り上がった。

  都会から来た奴は、やはり寂しさからなのか、人恋しいのか、少しばかり変わっていた。
  毎朝、毎晩 宗教団体に入っているのか、お経を唱えていた。
  人知れずといった所で。
  母親と俺は、
「仕方がないのかもね~」
「人に迷惑を掛けなければ、いいさ」
と言って考え方を理解していた。
  親父は、子を思い心配していたが、《新興の自由とのめり込むな》という事を言い、納得したようだった。
  あとから聞いた話だと《ケンカ》しなかったかと心配したそうだ。

  俺は、遠くから返って来た奴を晩に飲むアルコールやツマミを買いに誘って買い物を終えてきていた。
「一緒にアルコールを飲んだり、付き合わないヤツは、俺は、信じない」 
と親父は、言っていた。
  滅多に考えが合わない親父に、俺もこの話には、合意していた。
  何故なら、《アルコールを飲んで砕けないヤツ、気心をオープンにしないヤツは、嫌いだったからだった》

  奴とアルコールを飲み始める。
  ホロ酔いになっていく。
  楽しく・・・楽しみになっていく。
「オイッ、話を聞いていれば、祈っているだけで完全に病気は、治る・・・訳がない」
「治る・・・過去に例がある。  俺の入っている宗教は、信じれる、本物だ」
  ついケンカを売ってしまっていた。
「それじゃ~、よ~く聞け、なっ、よく聞け・・・お前の入っている宗教が本物なら、他の世界中の宗教は、悪魔か!?、みんなが皆  自分の入っている宗教は、一番で神様を敬っている」
  奴と目が合って止まった。
「・・・それは、正しい、でも俺の宗教は、本物だ・・・」
  《正しい》の言葉に俺は、納得した。
「人に迷惑を掛けるなよ」の言葉に奴は、《分かっているよ》とうなずき、また楽しく家族で飲み始めたのだった。

  真夜中に違和感を感じて起きた。
  完全に目を覚まさないうちに《お腹が変だ!?》と答えが出て来た。
  時計を見ると午前二時過ぎだった。
(エッ、丑三つ時!?・・・)
  気持ちの悪い時間にお腹の具合が悪くなったな~と反射的に思った。

  ふと中腰になった。
  ある光りに目がいって止まる。
  仏壇の灯りがついていた、スイッチを切る。
(親父が祈っていたのかな~!?・・・・・・)
  それから、起きてトイレに行った。
  用を済ませたが、便は、普通!? 少しねばった結果、やはり下った。
(やっぱりな~・・・)
  お酒を飲んで体が温まり、麦茶の焼酎を氷を入れて数杯 飲んだからな~、参ったね~。 冷えちゃったか~。

  今日も仕事なんだよのな~。
(・・・ヤッベ~・・・)
  出て直ぐに正露丸を飲んで長袖の服と長いトレーニングズボンをはいた。
  厚めの重い掛け布団をかけて寝った。
  自然に頼む~と胸の前で両手を合わせた。
(南無妙法蓮華経×3)
(ンッ、俺が日蓮か!?・・・奴と変わらないか!?・・・)
  ・・・人間って弱いな~・・・・・・信じる物も必要か~!?・・・お腹が良くなりますようにと祈った・・・。 
  知らないうちに眠りにつく。

  四、六時中  空気を吸うようにいてもたっても煙草を吸っていた。
  今、思えば取り付かれたように、どれだけストレスが溜まっているのというように煙草を吸っていた。
《百害あっても一利無し》と《後悔 先に立たず》と昔  仲の良かった婆さんが言っていたものだった。。

  煙草は、国  公認の物、何を!?認めたのか!?お金になるからか!?ストレス発散の為か!?、人を苦しめておいて!?、何が、国  公認だ!?、国の考えは、オカシイよ!?、煙草会社を無くさない、刑期を科せない!?

  小さいガキの頃は、勉強させようと小さい机に対等に座り、回答しないとはたき続けられたものだった、泣いても泣いても、はたきつけられた。

  風邪をひいて倒れても、そうだった。
  咳きが出る、熱がある、食欲が少ない、寝てばかりいる。
  こういう状態で《体が弱いな~》、《寝てばかりいるじゃね~か》、《よく鼻をかむ男だな~》とブッ超面の見下したような顔をして言われたものだった。
  今では、当人が泣き虫顔をしていた。

  結構  食が細く、体がキツイらしい!?  見ていても、つらそうなのが分かる程で見るに見られない状況だった。
(親父・・・大丈夫か!?)

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
夜空に願い事を・・・ (Make a wish in the night sky ...)
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