夜空に願い事を・・・ (Make a wish in the night sky ...)

「死ぬー、シヌー、しぬ~」
「ウッ・・・ゥ・ォ~・・・!?」
「子・・・!?」
  嫁さんの名前を小さく囁く。
  真夜中に寝言を多く言うように成ったという話しだった。

「こんなもんなんだろうな~!?・・・・・・」
「イヤんなったっ・・・・・・!?」
  参った・・・とか、人生を後悔しているように頭をずっとず~っと、何回も何回も下げ続けていた、懺悔するように!?・・・諦めたように!?・・・祈るように!?
  独裁者!?や我が道を行く!?みたいな感じで人の声を聞き入れずに煙草に酒といったように健康診断もせずに過ごしていた。
  亡くなった婆さんいわく《煙草は、百害あって一利無し》という言葉を言っていたが・・・。
  人生  後悔  先に立たずだと思った。

「クッソーッ!?・・・」
「オーシッ、その意気だ」  何か外野から聞いていると(オー)怒っているのか~、偉い元気いいな~って感じにとらえていた。
  まあ、元気がいい方がいいんだけど・・・。

「ヨイショッ、よいしょっ」
  立とうとしていた。
「そんな小さい尻でて上がらないか~」だって、
  確かに痩せていたから、お尻は、小さく成っていたんだけど。

「オッとっto、なんだよっ・・・!?」
  寝ようと思って立ち上がり、歩き出した時だった。
  まるで足元に障害物があるか、丸い猫がいるみたいように周りには、見えていた。
「・・・何をやっているの!?・・・」
  みんながキョトンとしていた、そのあと笑いが盛り上がる。
「お休み」
「うんっ」
  普通の会話が凄く新鮮味があり、良く感じられた。

  何かを極めるように深い眠りについていた。
  風邪薬や抗がん剤を飲んで。
  頭は、バリカンを使ってスキンヘッドになり、まるで修行僧のよう。
  俺は、こういう頭は、好きだった。
  昔の頭の固い堅物親父の背中を見て育ってきた。

  いつからか、お経が聞こえてきていた。
  コンコンッ×∞、焦げ茶色の木魚を叩く音が規則正しいリズムで響き渡る。
「・・・南妙法連華経・・・」
  聞いた事のない言葉が永遠的に唱えられていく。
  なぜだか、聞いていて嫌では、なく、心の中に自然に染み込んできていた。
  俺には、出来ないが、担当者は、親父だった。
  さすが修行僧。

  迷いがあって!?良く寝たのか、目を覚まして起きてきた。
  お互いが顔を合わせてから、目が合った。
「おはよう」
「おはよっ」
  元気が出た様子で親父から挨拶をしてきた。
「ご飯を食べないとな、死んじゃう」
  いい心掛けだと思った。(が・ん・ば・れ)と無音声で言っていた。

  台所から母親がするすると小走りに歩いて来た。
「今、揺れた!?  地震あった~・・・!?」
「いいやっ!?・・・」 
  思わず直ぐにテレビを見た、上部に地震情報のテロップが出るはず。
  しかし、待てど待てどテロップは、出なかった。
  チャンネルを変えても出てなかった。
「地震なんか、ないよ~!?  ネ~、疲れていると揺れたように感じることが、あるよ~。 そういう時は、行動を少しゆっくりにするか、体を休めるといいよ~」
「ん~、分かった~」
  俺は、母親が少し疲れているのかもと思い心配になった。

  下が畳じゃなく水の上なら、ラッコが横に成って寝ているみたいに楽ちん気分な体勢で、テレビを見ていた。
(お前  器用にエサをちぎっては、食べるな~、そうガッツいて食べるなよ。
  お前も負け時にご飯を食べないとな~、お薬も飲まないと・・・病にまけるなよっ・・・・・・)
  俺は、そういう風に親父を見て楽しんでいた。

  見ていて母親は、親父を愛しているのだろう、献身的だった。
  親父が弱音を吐いても、物を取ってくれ、作ってくれといっても素直に応じ、馬鹿な事を言っては、家庭内を明るくした。
  俺は、多少  頭が悪くても人当たりの良い元気な文句を言わない母親みたいな女性が好きで尊敬に値した。

  親父が入院中でも店は、大人の溜まり場に成っていた。
  仕事意外でも話しをしに集まり、お茶を飲み、喫茶店を思わせる雰囲気で母親達は、和気あいあいと時間を過ごしていた。
  ストレス解消には、良いのかな~と俺は、思った。

  日本シリーズを掛けた巨人と中日戦でツーアウトからピッチャーが打って塁に出た。
  その時にふと思った。
  親父なら、言うだろう《ヒットを打って塁に出るな》と大きな声で怒鳴るように言うだろう。 なぜなら、ピッチャーが疲れるという理由から。

  また、病院に入った時に  こうも言っていた。 顔をくしゃ×2にしながら、《人とケンカをするな!?》と。 俺に言わせれば・・・ちゃぶ台をひっくり返す勢いで怒ってばかりいた昔ながらの親父の印象が強いから、説得力がないなと俺は、思った。

  普段は、ブスッとした顔をして笑う事のない親父が笑っていた。
  それは、夕食が終わり食卓上の使用した物を台所へ運ぶ時に起こった。
  全部運んでから、親父のはんてんの襟を軽くひっぱり
「おっ、これもか、動かないぞ、運べないな~」
と言った時に仏頂面の親父の顔が笑顔に変わった。
  そしたら母親が、
「お~、そうだ、そうだ、笑っていないとダメだ、笑う門には、福来たるというじゃないか」だって。

  俺が仕事から帰って家に入ると親父は、お店に居てパイプ椅子に座っていた。
「店に出て仕事をしろよっ」
って俺は、活気をつける為・親父に気合いを入れる為に言った。
  俺が銭湯に出ようとした時に親父の後ろ姿のスキンヘッドを軽く叩いた。
  すると今後  親父は、
「ちゃんと免許証を持ったか!?」
とチャッチボールをするように言い返してきた。
(元気がいいじゃな~い、親父。 その調子、その調子)

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
夜空に願い事を・・・ (Make a wish in the night sky ...)
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