貧乏な人にならないための基礎知識 ~社畜人生を振り返って~

 

   こういった今の労働環境こそが、ついこの前まで普通の暮らしをしていた平凡なサラリーマン

   が、ある日を境にワーキングプアの仲間入りをしていく事になったり、また労働時間を果て

   しない長時間勤務に晒すような超過酷なサービス残業に追いやったりしていくからです。

   儲かる事を主体に考えた企業目線で言えば、「あなたの代わりはいくらでもいる」のです。

 

   これで、精神状態が鬱になったり、家族との揉め事も絶えなくなったり、生きていくだけで

   「これは死んだほうがラクではないか」と考えてしまうような労働環境がますます量産され

   ていくことになります。

   いまのこの日本の現状を、「勝ち組・負け組」と呼ぶならば、教育されたとおりに真面目に

   勤勉に企業の正社員となって生きていくことが、高い確率で負け組へ近づく第一歩の道

   とは言えませんか?

 

   たんにそれは「確率の問題」でもあるかも知れませんが、

   あなたが志を高くして、自分の意思で、自分の熱い理念と希望に従って入社した会社が

   いったん傾けば、こういう立場に立つ可能性は「いつ何時でも」起こりえるのです。

   もちろん会社員でも今後も、一生をそこで安泰に暮らせて、大したトラブルもなく、多少

   賞与が低くなっても生活に影響のない範囲でクリアして円満退職する人も当然います。

   ただ「人生設計を狂わせるような、退職するしか方法がない重大な事案」が起こるか、

   起こらないかなんて、それを予測する事なんか個人レベルでは絶対に無理な話です。

 

   私は予想しますが、このままのペースで平成不況が日本に続けば、大企業のリストラの

   煽りを受けた中小零細企業も連鎖倒産したり、さらなるリストラを敢行していき日本中の

   労働者はさらに過酷な環境におかれて、労働者や自営業者の自殺件数はもうすぐに

   5万人規模を簡単に突破するだろうと考えています。

 

   かつての日本がそうだったからと言って、

   今の日本でもそうだという考え方を改められない「昭和中後期」の教育人種が一番その

   被害を受ける事になる確率は相当に高いと思います。

   私が冒頭部分でお話した、

 

   「独身で維持費がなく、そして時間をあり余って持っている若者が羨ましい」 というのは、

 

   私のように起きてる時間のほとんどを労働に費やし、無理難題な仕事でも自分で解決して、

   業務のために必要なことは日曜だろうが祭日だろうが関係なしに現場へ出て問題の処理

   にあたらなければならない、というのが「正社員としての勤め人のあるべき姿の標準」に

   なっている事を身をもって体験し理解しているからこそ、なのです。

   そこまでやるから、維持費並みの収入は「なんとか」今でも補えています。

 

   逆にそこまでしなければ、昭和時代に教えられ、この平成時代になって築いてしまった

   負債の支出維持費がまかなえないから、嫌でも頑張るしかないのです。

   私が、負債を返済し続けるためには、その負債を超える収入を常に確保し続けなければ

   ならず、そのためには初めから給与の高い仕事を選ぶしかないのです。 

   すべては「維持」のためだけに選んだ仕事だから、です。

 

   だから本心は、「好きな仕事」でも「人生を賭けたい仕事」でもないのです。

   単なる生活手段のためだけに、以前景気のまだ良かった時代からこの仕事に就いて、

   それを引きずっているだけだ、というわけなのです。

 

   「自分でそんな会社を選ぶからだ」

   批判はごもっともです。きっとあなたは若い方でしょう。

 

   「生活維持のために手段を選べない」

   これが、アラフォー世代の現実であり本音なのです。

   もうすでに、昭和時代に足を踏み入れ、どっぷりとその桶の中に浸かってしまったままの

   人生を急激に転換するには、負債を全て処分して、本当に生きるために必要なものだけに

   維持費をそぎ落とし、かつての栄光とかプライドとかの「お金にならないブランド」も剥いで

   捨ててしまうことが、個人としてできる一番のリストラ策という事になるのです。

 

   冒頭の話で、40~50代管理職が若者へ向けて 

   「頑張りが足りない」 「努力すれば報われる」 「死に物狂いで働けば何とかなる」

   「若いやつはどうして冷めてるのか」「男ならクルマを持っていい女を口説いて家を建てろ」

   と熱く人生経験における教育指導をしている姿を描きましたが、

   いま私自身が冷静に、世間の実情やこれからの日本経済を予想する限りは明らかに

   勘違い中間管理職に指導されている若者のほうが、よほど冷静でこれからの日本を的確

   に予測しているとしか思えないのです。

 

   なぜ若者に覇気とかガッツがなくておとなしいのか、アラフォー世代は不思議に思うかも

   知れませんが、それは若い方は景気のいい時代など知らないし体験したことすらない

   からに過ぎません。 今の日本で、あきらかにバブル経験論など風化遺産でしかないです。

   高級車も、高い金利でローンを組んだ持ち家も、若者から見たらすべて「無駄なモノ」と

   いう認識しか持たないのは当然の話ではないでしょうか。

   そして彼らは、彼ら自身が今後我々の年代になった頃に、「給料が劇的に増えている」

   などという夢のような可能性に、希望も期待も持ってはいないのです。

 

   若者は、若者なりに現状を分析しながら、我々アラフォーバブル世代が毎月のローンの

   支払いやボーナスカットでヒイヒイ言ってる姿も、冷静に見て「俺はああはなりたくないな」

   と心の底では嘲笑されているのです。

 

   こんな現実を見て、どんな働く若者に、未来に希望を持てなどと戯言を吐けるでしょうか。

   こんな世の中にしたのはあなたたち昭和世代でしょ?と返されたらグウの音も出ません。

   だから、この際ハッキリと言います。

 

   「これからの日本でなお、会社に勤めて働く人生を収入のすべてにしたいと思う人は、

   かなりの高確率で途中の分岐点に、ワーキングプアに辿り着く道を踏む場所が仕掛け

   られている」という事を心得ておくべきです。

 

   その人生・余生が長ければ長いほど、転職すればするほど分岐点は多くなります。

   入社する縁があったその会社、「心から好きな職場や仕事で、心から信頼できる」仕事

   であるなら、まったく問題はありません。 それが個人の「縁・宿命」というものです。

   いまの日本からは、「働くという手段のみで底辺から這い上がる可能性は、非常に低い」

   ことを知っておきながら、考え、毎日を働くべきです。

   

   それが本当に好きな仕事でない限りは、ただの生活手段でしかない限りは、

   一生懸命に働いて生きることこそが、それ自体がリスクだという日本になっていることを

   もういい加減に知るべきです。

 

   どうですか?労働者って、ものすごく不利な世界に生きてますよね?(笑)

   つい最近、私自身が悟ったこととしては、「現代日本で働くのは人生を賭けるギャンブル

   にも等しい」というような風潮だということです。

黎明堂
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