サラリーマンからリタイヤする手順(実践編 その1) ~いくらあったらリタイヤできる?~

はじめに

 はじめに


 「お父さんは、会社を辞めてリタイヤ生活を始めようと思うんだ!」 一家の大黒柱がこのような話を切り出すと、家族はきっとビックリ仰天!「この先の生活はどうしたらいいのよ?!!」 。ビックリ仰天の理由の中での一番は、きっと生活費のことではないでしょうか。 


 生活費の他にも「せっかく立派な会社の社員なのに、辞めたらただの人じゃない・・・」 という肩書きが無くなることへの残念感や、「毎日家でゴロゴロされたら邪魔でしょうがない!」 など今までの平穏な日常を乱される不安というようなものもあるでしょう。でもそれらはいずれ慣れてくるものではないでしょうか。しかし生活費の問題はそうはいきません。将来の生活費が足るか足らないか、不安で仕方が無いのがリタイヤ前夜の心境なのです。 


 不安を抱えたまま情緒的な結論を出すと、きっとこうなります。


 ひとつめのケースは、「いくら考えても明日の事など分からない、思い切ってリタイヤしてみよう。きっと何とかなる。うまく行くさ!」 と決心してリタイヤしてしまうこと。今まではこのような決心をして、そのまま成功していた先輩がたくさんいたのではないでしょうか。定年まで会社で働き、退職金もまあまあ多くて、60歳から年金がすぐ受け取れるのであればこれでもOKです。この本で書くような面倒なことはきっと不要でしょう。これからもそんなふうにうまく行ったらいいですけど。

うまく行くと思いますか?

はじめに

 ふたつめは、「そうか家族は不安なのか。やっぱり将来何があるか分からんし、思い直してトコトン働こう」 とリタイヤを諦めてしまうケース。そうして高齢になって体が言うことをきかなくなるまで現役で勤め上げました!ビジネスマンとして成功者で立派な生き方です。これで良ければ終生現役でいいのです。ただ本当はもっとやりたい事がいろいろ有ったのに、「全部会社人生に捧げてしまったから体力が落ちた今となってはもはやできることは何もない。働き続けたおかげで貯金はだいぶ増えたけれど、結局大半を残して死ぬことになりそうだ。」 後でそう思うかも知れません。

 それでもいいですか? 


 もしお金持ちの人なら、きっとリタイヤ後の家計などは心配事には入らないのでしょう。この本ではそのようなお金持ちの人ではなく、「はたして俺はリタイヤして生活費が大丈夫だろうか?」と、かなり心配になるような予算ギリギリでリタイヤしようとする人向けに書きました。私がそんな状態でアーリーリタイヤした経験者だから同じような人向けに経験をまとめて披露することにしました。自分がはたしてそんな予算ギリギリのリタイヤ希望者かどうかは、最初の部分を読んでくだされば分かるように書いてもみました。もし自分は予算ギリギリだ!と思ったら次を読み進めてくださいませ。


著者

もくじ( 1 / 1 )

目次

★目次★


ページ


4 いくらあったらリタイヤできる?

5 世間相場からリタイヤに必要な資金を知ろうとする方法

7 自分の今までのライフスタイルからリタイヤ後の生活費を見積もる方法

9 ライフイベントを書き出す

11 リタイヤ後の資金と費用を計算して比べて将来構想を練る

12 総生活費と貯蓄・収入との比較表を作る

14 収入を見積る

15 会社からの収入

16 退職金の収入

17 公的年金の収入

18 その他の収入

19 将来家計に入れるべきでない収入

20 出費を見積る

21 1.過去の家計簿から見積もるもの

21 住居費

22 家のメンテナンス費用

23 インフラ費

24 一般家計費

25 2.収入額に応じて見積もるもの

25 所得税

26 住民税

27 国民健康保険料

28 3.生活シナリオを想定して見積もるもの

28 国民年金保険料

30 生命保険など保険料

31 医療費

32 車両関係費

33 交通費

34 行動費

35 4.滅多に出費は無いけど高額な費用の見積り

35 高額な出費

37 5.予備費

37 予備費

38 消費税増税や物価上昇はどう考える?

39 総額計算表への数字の入れ方

45 年別の現金収支見通し一覧表づくりに進む

いくらあったらリタイヤできる?( 1 / 3 )

いくらあったらリタイヤできる?

 ★いくらあったらリタイヤできる?★


 「いくらあったら自分はリタイヤ生活ができるのだろう?」この回答を得るにはいくつか方法があります。回答と言っても「ご明察」ではありません。どの方法にしてもリタイヤ前に今後の人生に必要な費用を正確に予知することはできないのですが、見通しをつけるなら可能です。その見通し結果を見て、いつならリタイヤできそうか?どんなリタイヤ後ライフスタイルならできそうか?このようなことを考えて実行できる自信がついたらリタイヤ生活に飛び込むための経済的準備ができたことになります。 


 そんな「リタイヤ後の生活費見通し」をつけるとき「いったい世間のほかの人はどうしているのだろう?」と知りたくなってしまいます。実際にネット上ではそのような情報はいくつも見つかります。それを見て「ああ、ウチなら今すぐリタイヤできる!」と安心したり、「当分ムリね・・・」と諦め顔になったりしますが、これでいいのでしょうか。この方法では多分近い将来には「いつまで働いてもリタイヤできない!」という答えの出る人だらけになるような気がします。なぜなら世間のリタイヤ後生活費の相場は、今までの多額の退職金と手厚い年金を受け取っている人の老後生活費相場だからです。なのでけっこうお金使っていると見て当たりでしょう。そんな基準に自分が到達できる保証なんて無いかもしれません。「そんなんじゃ俺は死ぬまで働かないとダメなんか?」と思いたくなります。 


 しかし他人と自分では生活の仕方が違うのです。「自分の生活だったらどうなるか?」これを考えないと自分がリタイヤできるかできないかは分かりません。この本は自分で自分の将来生活費とライフスタイルを考えてみるためのガイドブックとして書いてみました。それを書くための手がかりは、52歳でアーリーリタイヤした私の経験だけですが、他の人の参考になるように体系だてて、なるべく丁寧に書くことにしました。

大庭夏男
作家:大庭夏男
サラリーマンからリタイヤする手順(実践編 その1) ~いくらあったらリタイヤできる?~
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