サラリーマン生活からのリタイヤとは
「リタイヤ」することは会社員だけでなく、自営業者も仕事をリタイヤすることはありますが、この本では「会社員が勤めている会社を辞め、預貯金や手持ちの現金と年金収入だけで生活をすること」という範囲について書くことにします。理由は残念ながら私にはそれしか経験が無いからです。まず最初にリタイヤすると生活はこんなふうに変わるでしょう、という説明をします。
サラリーマン現役時代には上の「サラリーマン現役時代の生活サイクル」の図に描いたように、会社から受け取る仕事の対価としての給料があり、その給料で生活するので、また仕事ができるから給料がもらえる。というように仕事、収入、生活が切れない関係となっている。これが現役時代のイメージです。現役時代にはきっと貯蓄が少なく、子育てなどで出費も多く、この方法でなければ生活が成り立たないでしょう。効率よく多額の収入を得るやり方です。それに対して、以下の「リタイヤ後の生活イメージ」の図に描いた概念をここではリタイヤ生活ということにします。
この図で表すようにリタイヤ後の生活は仕事や収入のための活動にも関わってはいますが、仕事や収入が無くても生活の歯車は貯蓄と年金で回すことができるという生き方です。また、仕事と収入は別々で仕事から収入を得なくても構いません。仕事はそれが楽しければ無給でもやる。それとは別にネットで稼ぐ。だけど稼いだお金は生活費以外で使うことにする。これがここで言うリタイヤ生活で、私がやっている生活のイメージです。
リタイヤ生活は「仕事」と「収入」と「生活」を互いに独立させて、たとえ仕事が無くても、収入が無くても、それらに関係なく生活できるようにすることです。ですから生活費は自分の貯蓄と年金だけで賄えることを第一の目標にして、その上で楽しく生活するために仕事をすることや、収入を得てそれで遊ぶことを考えることを次の目標にします。
このようにリタイヤメント生活のイメージを決めても、実は様々なバリエーションのリタイヤメント生活があります。上述したように貯蓄と年金で静かに暮らすこともできるし、趣味を活かして収入を得ることをめざすのもいいでしょう。会社で仕事は続けるけど、その収入は全て自分のお小遣いにして、生活費に影響なく思う存分遊ぶのもリタイヤ生活のひとつと見てもいいのではないでしょうか。なぜならその仕事はもはや自分や家族の生活のために働いてはいないからです。
リタイヤメント生活がうまくいくための大事な要件
リタイヤすることを想うと、第二の人生の夢が膨らみますが簡単にはそこに行けません。いくつかの超えなければならない障壁があります。それを超えない、あるいは気がつかないうちにサラリーマン生活を辞めてしまうと、やがて不幸になる確率は大きくなるでしょう。リタイヤ生活がうまくいくための大事な要件として私が体感したことは次の5つです。
1.リタイヤ後の生活費が確保できていること
2.リタイヤしてからの「やること」が見つかっていること
3.リタイヤすることへの家族の理解が得られていること
4.リタイヤ後に、心のよりどころがあること
5.自分の性格に合ったリタイヤ後の生活を選ぶこと
上記5つを見ると、どれも一筋縄では行かず、達成には時間がかかりそうです。私の場合は回り道しましたので17年もかかってしまいました。
私のした回り道とは、最初の頃はリタイヤでなく20年間かけて独立起業を準備するつもりだったということです。当初は上記5項目にある「リタイヤ」の文字を「独立起業」に置き換えた準備に20年間かかると考えていたのです。それが勤めていた会社のリストラによって3年早くなり、起業内容をリスクのほとんど無いような、しかも大きくは儲かり難いネットビジネスを選んだので、一応起業したことにはなるけれど、実態はリタイヤメントと変らないセミリタイヤメント生活者ということになりました。私にはこのような経緯があるので、私の起業のためにしてきた準備はそのままリタイヤメントに当てはめることができたわけです。
リタイヤ後の生活費はどうしたら分かる
この5項目の中で最大の難関は、最初に書いた「リタイヤ後の生活費が確保できていること」でした。これは人によって異なるとは思いますが、よほどの大金持ちでなければ最難関で達成までに長い年月が要ると思われます。さらにそもそも「いくらあればリタイヤできるのか?」という金額は漠然としています。
しかし何とか必要なリタイヤ資金はいくらであるかを見積もらなければなりません。しかも他人の例ではアテにならないので、自分の家庭の生活費で見積もらなくてはならないのです。自分でいろいろ仮定を作りながら「確からしいシナリオ」を練り上げて、それを基にして将来生活費を計算してみるわけです。私はこれを何回も見直してはまた計算してみるという繰り返しをしました。 こうやってだんだん実際的なプランが練りあがっていくのです。