「何をするか」を考えるときに、合わせて考えたい自分の性格
私はリタイヤしてしまってから気がつきましたが、幸いにも私の性格はリタイヤメント向きでした。リタイヤ後の「やりたい事」は夢を追いかければ見つかるのですが、実際は毎日そればかりやっているわけではありません。
気分が良くていっぱいできる日もあれば、気の乗らない日もあります。会社では仕事に強制力が働いているので、それで乗り切ってしまうことができますが、リタイヤメントは何をするのも自分次第ですし、収入をそれに頼ることもありませんから結局だらけてしまうこともけっこう多くあります。
何もしないで居ることが苦痛にならない性格の人はリタイヤメント生活がうまく進むと私は実感します。私はそんな性格だったので、それがよく分かりました。また自己満足できる人はリタイヤ生活に向いているでしょう。リタイヤしたら「今日は裏の畑をよく耕した」とか「街に出て写真を100枚も撮った」など自己満足するような生活が多くなるのです。
会社では上司や客先から「よくやった」と評価され充実感を得られましたが、リタイヤするとそれはもう無いです。もし「人から自分は必要だと思われたい」と切望する人は、ボランティア活動などでその欲求を満たすことを主眼に置いた方がいいでしょう。
私のリタイヤ後は、ネットでできる活動で少々の収入を得ることにしました。その収入はとても小さいのでビジネスと呼ぶにはゆる過ぎますが、その収入で海外旅行をするというような「セミリタイヤ」スタイルを続けていくことにしました。ネットビジネスであれば海外旅行中でもネットが使えるので、時間にも場所にも囚われない生活ができると、私は期待しています。
リタイヤするための手続きについて
1.家族の理解を得ること
安定した収入があったサラリーマンを辞めようと考えているとき、家族に「将来は定年より前に会社を辞める」「会社を辞めたらこんな事をする」これを何度も何度も話して納得してもらわなければなりません。
私の場合は幸いにも説明して納得させる家族とは妻と子供だけで済みましたが、これも人によって大差があります。同居の家族だけでなく、親戚なども含めて、自分のリタイヤをしつこく反対する可能性がある人物には多分説明して納得することが要るでしょう。他人であれば反対されても被害はあまり大きくないでしょうけど、親や親戚がもし反対派に残ることになると、リタイヤしてから精神上深刻な事態にならないとも限りません。このような理解活動にもある程度長い期間がかかるのです。
2.リタイヤのベストタイミングを探ること
いつ会社を辞めてリタイヤするべきか。タイミングを見るべきです。会社都合退職は会社を辞める最良の機会だと私は思います。一番オーソドックスな定年退職という退職方法は、かなり多くのリタイヤの障壁を自動的に取り払ってくれる効果があります。家族も「定年ご苦労さま」と言ってくれるでしょう。
ただし今後はもし60歳で定年退職しても、公的年金生活までの空白期間が生まれますから、60歳定年退職でも生活費をそうするかという課題が目前にぶら下がります。「60歳の定年退職の後はリタイヤすることでよいか?」と考える必要性は今後だんだん大きくなるでしょう。
もし定年前のアーリーリタイヤを希望するなら、リタイヤするきっかけとして会社都合退職がベストだと私は経験上実感します。多くの場合、会社都合退職の機会は会社の行うリストラという形で現れるでしょう。リストラはまだ勤務したい人には最悪な出来事ですが、アーリーリタイヤ志願者にとっては最高の機会です。なぜなら退職条件や退職後の元同僚との繋がりなどが自己都合退職のそれらより格段に良くなるからです。まだ勤めなければならない人達にリストラは悲劇であることは言う間でもありませんが、アーリーリタイヤ志願者にとってのリストラは円満退職につながるでしょう。
リタイヤまでの手順
この本で言いたいことは、リタイヤをすべきか、しない方がよいか、よく考えてから行動して欲しい、ということです。そのためにはリタイヤ後の自信のある生活計画を立てた上で、実際にリタイヤするときに欠かせない手続きを踏んで進める、ということが非常に大事です。
手順とは、リタイヤ後の生活計画をたてることが最初の目標で、家族にそれを打ち明けて理解を得ることがその次の目標になるというような、やることの順番です。もし将来の計画も何もないうちに「俺は近々会社を辞める」と言い出したら揉めるのは目に見えています。「この計画を立てたので辞めても十分生活できると考えている」との説明をして、家族に理解してもらうようにしましょう。
会社を辞めたいと願望が生まれてきてから、リタイヤを実行するまでは手順をつくり、順に着実に進めると抜けが起き難くなります。この手順に沿うことは面倒ではありますが、面倒を避けて早まってリタイヤしてしまうと失敗したらその後は再就職が難しいでしょう。取り返しの苦労を思うと多少面倒でも手順を踏んだ方がいいと思います。
この「リタイヤメントへの手順の図」は、私がリタイヤに至った経験を手順にしたものです。