サラリーマンからリタイヤする手順

会社を辞めて何をする?にかかわるリタイヤのメリットとデメリット( 3 / 5 )

リタイヤのメリット

3.家族の介護や支援が柔軟にできる

 高齢化社会となった現代では、親を介護する必要に迫られる場合が以前より増えると思います。


 これも会社勤めとの両立は難しいかもしれません。リタイヤするひとつの理由にもなることもあります。高齢の親への支援だけでなく、共働きする子供世帯から孫を預かって、子供の生活を支援することもリタイヤしていればできそうです。それらができると家族にとっての結びつきが強くなることが期待できる他に、介護や育児の費用が節約できるという効果も生まれてきます。 


4.お金をかけない生活が容易になる

 例えば上述のように育児や介護のうち、自分でできる範囲を自分で行えば外に払うお金が節約できます。普段は当たり前にお金をかけているようなことでも、自分で手作りすると「今まではこんなことにもお金を払っていたんだ」ということが分かるようになるでしょう。

 自分でする時間が取れないので、時間をお金で買っていることになりますが、この今までお金で買っていた時間を、自分の自由時間を使ってやったらお金は払わなくても済むことになります。リタイヤしてから改めて「自分でできること」を探してみると意外にたくさんあり、会社勤めの忙しい時代よりローコストで生活できる、いわゆるロハスやDIYな生活を楽しむことができるようになれるでしょう。


5.家族で一緒に居られる時間が増える

 リタイヤの本やブログには、このことがクローズアップされているようです。今まで仕事に忙しく家族を放ったらかしにしていたお父さんが家でいつも家族と接していられるようになる。まったく理想的な家族ができあがるということです。

会社を辞めて何をする?にかかわるリタイヤのメリットとデメリット( 4 / 5 )

リタイヤするデメリット

一方、リタイヤするデメリットにはこのようなものがあります。


1.アーリーリタイヤは公的年金支給額がかなり減る

 定年前にサラリーマンを辞める場合、これは場合により深刻なデメリットです。公的年金は毎月・毎年支払う年金保険料は、多額であればあるほど、長期であればあるほど将来受け取る年金額が多くなります。個人の年収は若い間は少なく、歳がいくとそれなりに増えますから、一番年金を肥やす時期に早く会社を辞めることは受け取る年金が大きく減ることに直結します。 


 基礎年金の保険料は会社を辞めても60歳まで払わなくてはなりませんが、その後に基礎年金部分で受け取る額は厚生年金に加入していた期間が少ない分大きく減ります。ウェイトの重い厚生年金がアーリーリタイヤで減ることのインパクトはとても大きいです。


 私は52歳でアーリーリタイヤしましたが、もし私が60歳まで勤めていた場合と比較すると、65歳から受け取る年金は年額で120万円少なくなると、年金定期便に書かれた数字が教えてくれています。実際にいくら少なくなるかはその人の年収や辞める歳で大きく違いますから一概に言えませんが、120万円の減収を65歳から80歳まで積み上げると1800万円にもなります。 

 更にもし私がアーリーリタイヤせずに60歳まで会社に勤めていたら毎月給料があったでしょう。これを上記の1800万円に加えると、まさに新築一戸建の住宅が買えるような大金を、アーリーリタイヤで逸するような計算になります。

 この大金を払って「自由な自分のための時間」を買う、という決心をするかどうかが多くのアーリーリタイヤメント志願者が、頭の中の天秤で真剣に計らなければならないことです。さらに60歳で定年になっても、引き続き雇用延長や再雇用で勤めればその分は年金は手厚くなるのです。

 つまり「お金あっての老後生活だ」と思えばリタイヤはなるべく遅くした方が良く、「お金よりもやりたい事を元気な間にたくさんやりたい」と考えるのなら早いリタイヤを考えるのも選択肢です。

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リタイヤのデメリット

2.再就職が困難化する

 人生には想定外のことが起きるかも知れません。万全の準備で飛び込んだリタイヤメントが頓挫して、再就職を決心しなければならないことは想定から外してはならないでしょう。リタイヤメントは死ぬまで再就職しないで済むというような保障はありません。でもしかし、リタイヤ生活が長くなればなるほど再就職は難しくなるでしょう。


 こうなる理由は歳を重ねると融通がききにくくなる他に、リタイヤして生活していると、その間に離れていた集団生活や会社生活そのものに再適合し難くなりがちだからです。リタイヤ生活に身も心も慣れきってしまうということでしょう。もしこのような状態で再就職が困難になると、努力は非常に大きくなるでしょう。これはリタイヤする上での大きなリスクと言えます。 


3.一人の時間を持つことは意外に難しい

 メリットのところでリタイヤは家族と結びつきが強くなると書きましたが、ここでは同じことがデメリットとして書かなければなりません。これは矛盾ではなく両方の場合があるわけです。「家族と過ごす時間は長い方が良いけれど、やっぱり自分ひとりの時間もすごく大事」しかしリタイヤメントのホームグラウンドはまさに自宅です。そこには家族が居ます。思うように自分ひとりの時間が取れないかもしれません。会社帰りの一杯も無くなり、居心地の良い会社の机もありません。逆に単身者のリタイヤメントでは、完全一人になってしまうリスクがあるかもしれません。 



 以上のメリットとデメリットは多くのリタイヤメント志願者に共通的に直面する項目だと考えています。特にデメリットについては安易に「何とかなる」とか「やってみなければ分からない」と思わないで、それぞれに実現できる対策か、最低でも解決の見込みを持たないと将来に困難に直面してしまいます。

「何をするか」を考えるときに、合わせて考えたい自分の性格( 1 / 1 )

「何をするか」を考えるときに、合わせて考えたい自分の性格

「何をするか」を考えるときに、合わせて考えたい自分の性格


 私はリタイヤしてしまってから気がつきましたが、幸いにも私の性格はリタイヤメント向きでした。リタイヤ後の「やりたい事」は夢を追いかければ見つかるのですが、実際は毎日そればかりやっているわけではありません。


 気分が良くていっぱいできる日もあれば、気の乗らない日もあります。会社では仕事に強制力が働いているので、それで乗り切ってしまうことができますが、リタイヤメントは何をするのも自分次第ですし、収入をそれに頼ることもありませんから結局だらけてしまうこともけっこう多くあります。 


 何もしないで居ることが苦痛にならない性格の人はリタイヤメント生活がうまく進むと私は実感します。私はそんな性格だったので、それがよく分かりました。また自己満足できる人はリタイヤ生活に向いているでしょう。リタイヤしたら「今日は裏の畑をよく耕した」とか「街に出て写真を100枚も撮った」など自己満足するような生活が多くなるのです。


 会社では上司や客先から「よくやった」と評価され充実感を得られましたが、リタイヤするとそれはもう無いです。もし「人から自分は必要だと思われたい」と切望する人は、ボランティア活動などでその欲求を満たすことを主眼に置いた方がいいでしょう。


 私のリタイヤ後は、ネットでできる活動で少々の収入を得ることにしました。その収入はとても小さいのでビジネスと呼ぶにはゆる過ぎますが、その収入で海外旅行をするというような「セミリタイヤ」スタイルを続けていくことにしました。ネットビジネスであれば海外旅行中でもネットが使えるので、時間にも場所にも囚われない生活ができると、私は期待しています。

大庭夏男
作家:大庭夏男
サラリーマンからリタイヤする手順
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