サラリーマンからリタイヤする手順

会社を辞めて何をする?にかかわるリタイヤのメリットとデメリット( 1 / 5 )

会社を辞めて何をする?にかかわるリタイヤのメリットとデメリット

リタイヤのメリットとデメリット

 会社の定年退職を機会にしたリタイヤ、あるいはそれよりひと足先にリタイヤ生活を決め込む「アーリーリタイヤ」は、今までできなかった生活を実現できる可能性を秘めています。


 それを簡単にイメージするなら「今後生活するための蓄えはできたし、会社生活も張り合いが無くなってきた。ここらで会社を辞めて、悠々自適に生きてみよう」と考え、収入や義理に縛られない生活が可能になるということです。


 今まで会社に勤めていたためにできなかった活動にチャレンジすることもできるでしょう。特にこれと言って何もせず晴耕雨読で静かに暮らすこともありだと思います。しかし定年退職してもサラリーマンを辞めないという選択肢も依然残っています。 


 将来をどのように選択するかはまったく個人の自由ですから、おそらくリタイヤメント志願者の多くが、引き続きで大変だけど儲かる会社勤務を続ける価値と、資産は減るかもしれないけど一度しかない残りの人生を楽しむ価値とを、頭の中で天秤にかけるのだと思います。


 天秤にかけるものは様々な比較対象があると思いますし、その対象物は人によって千差万別でしょう。そういう「会社を辞めるべきか、辞めるべきではないか」天秤にかける要素のうち、リタイヤすることで得られるメリットとデメリットはよく考えておかなければならないことです。

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リタイヤするメリット

リタイヤするメリットは何かを考えてみましょう。


1.自分が自由に使える時間が大幅に増える

 アーリーリタイヤ志願者は「人生の自由時間」に憧れて、ついに会社を辞める決心をすると言っても過言ではないでしょう。会社を辞めて今までできなかったことをする、という前向きなリタイヤも、会社生活にはもう疲れきったのでもう辞める、という後ろ向きもあるでしょう。両方が混ざっていることも多いと思います。


 期待どおり、リタイヤしたら自分の自由時間はかなり増えます。家族が居る場合は1日24時間の自由とはならないかもしれませんが、今まで会社に居た時間と同じくらいの時間が自由に使えるということは、まず期待どおりになるでしょう。その自由時間をどうやって使うか?が課題になるのです。 


2.収入に縛られないで自分の好きなことができる

 リタイヤメント生活は、生活費が確保されている、という前提で成り立ちます。これは収入が無くて生活できることを意味しますから、没頭したい趣味や、収入は無いけどやり甲斐があるボランティア活動などを、リタイヤして得られる自由時間を使って思う存分できるようになります。勤めをしていると長期の旅行などは無理ですが、リタイヤメントなら一番条件が良い時期を選んでの大旅行や長期滞在も夢ではないでしょう。

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リタイヤのメリット

3.家族の介護や支援が柔軟にできる

 高齢化社会となった現代では、親を介護する必要に迫られる場合が以前より増えると思います。


 これも会社勤めとの両立は難しいかもしれません。リタイヤするひとつの理由にもなることもあります。高齢の親への支援だけでなく、共働きする子供世帯から孫を預かって、子供の生活を支援することもリタイヤしていればできそうです。それらができると家族にとっての結びつきが強くなることが期待できる他に、介護や育児の費用が節約できるという効果も生まれてきます。 


4.お金をかけない生活が容易になる

 例えば上述のように育児や介護のうち、自分でできる範囲を自分で行えば外に払うお金が節約できます。普段は当たり前にお金をかけているようなことでも、自分で手作りすると「今まではこんなことにもお金を払っていたんだ」ということが分かるようになるでしょう。

 自分でする時間が取れないので、時間をお金で買っていることになりますが、この今までお金で買っていた時間を、自分の自由時間を使ってやったらお金は払わなくても済むことになります。リタイヤしてから改めて「自分でできること」を探してみると意外にたくさんあり、会社勤めの忙しい時代よりローコストで生活できる、いわゆるロハスやDIYな生活を楽しむことができるようになれるでしょう。


5.家族で一緒に居られる時間が増える

 リタイヤの本やブログには、このことがクローズアップされているようです。今まで仕事に忙しく家族を放ったらかしにしていたお父さんが家でいつも家族と接していられるようになる。まったく理想的な家族ができあがるということです。

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リタイヤするデメリット

一方、リタイヤするデメリットにはこのようなものがあります。


1.アーリーリタイヤは公的年金支給額がかなり減る

 定年前にサラリーマンを辞める場合、これは場合により深刻なデメリットです。公的年金は毎月・毎年支払う年金保険料は、多額であればあるほど、長期であればあるほど将来受け取る年金額が多くなります。個人の年収は若い間は少なく、歳がいくとそれなりに増えますから、一番年金を肥やす時期に早く会社を辞めることは受け取る年金が大きく減ることに直結します。 


 基礎年金の保険料は会社を辞めても60歳まで払わなくてはなりませんが、その後に基礎年金部分で受け取る額は厚生年金に加入していた期間が少ない分大きく減ります。ウェイトの重い厚生年金がアーリーリタイヤで減ることのインパクトはとても大きいです。


 私は52歳でアーリーリタイヤしましたが、もし私が60歳まで勤めていた場合と比較すると、65歳から受け取る年金は年額で120万円少なくなると、年金定期便に書かれた数字が教えてくれています。実際にいくら少なくなるかはその人の年収や辞める歳で大きく違いますから一概に言えませんが、120万円の減収を65歳から80歳まで積み上げると1800万円にもなります。 

 更にもし私がアーリーリタイヤせずに60歳まで会社に勤めていたら毎月給料があったでしょう。これを上記の1800万円に加えると、まさに新築一戸建の住宅が買えるような大金を、アーリーリタイヤで逸するような計算になります。

 この大金を払って「自由な自分のための時間」を買う、という決心をするかどうかが多くのアーリーリタイヤメント志願者が、頭の中の天秤で真剣に計らなければならないことです。さらに60歳で定年になっても、引き続き雇用延長や再雇用で勤めればその分は年金は手厚くなるのです。

 つまり「お金あっての老後生活だ」と思えばリタイヤはなるべく遅くした方が良く、「お金よりもやりたい事を元気な間にたくさんやりたい」と考えるのなら早いリタイヤを考えるのも選択肢です。
大庭夏男
作家:大庭夏男
サラリーマンからリタイヤする手順
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