「そう言うなよ。ここは風間俊之のいとこで小説家の・・・風間、せいじ? だっけ? も住んでるんだろ?」
「せいじじゃない。さ・と・し。風間聖志さん」
「そうそう、風間聖志」
侵入ルートを探りながら話を続ける。
「お前、その小説家のファンなんだろ? 生原稿とか手に入るかも知れないぜ。欲しくないか?」
「・・・欲しくないって言ったら・・・ウソになるけど」
「よし、決まりだな」
意思が一枚岩になったところで、オレは一つだけ開けっぱなしになっている窓を見つけた。
あそこから入ろう。目で司に合図し、オレ達はすばやく、かつ静かに窓から中に入る。
床に降り立つといくつものドアが並んでいた。どうやらここは廊下らしい。