ドアから離れると、背の高い木が近くにあるのが見えた。
そうだ。ここからなら・・・。
オレはまよわず木に登っていき、塀の高さまで上がった。
そして勢いをつけ、木から五~六メートル向こうの塀の上へ飛び移る。
「これを、こーして・・・と」
用意しておいた縄ばしごをフックで引っかけ、司が登ってこれるようにたらした。
「司、これを使っ、て?」
上がってこい。と司に声をかけようとしたら、司の姿はなかった。
辺りをさがすオレ。すると、後ろから司の声がした。
「葵、こっち」
見ると、塀の外側にいた司が、いつの間にか内側にいるのが分かる。