――プロローグ――
おそらはまっくら。
みちはあかるい。
ひとりぼっちで、パパもママもいない。
わたしはひとりであるく。
おおきな、きがみえる。
ねっこのところに、おんなのひとが、すわってる。
「こんにちは。美咲ちゃん」
おんなのひとが、にっこりとわらう。
わたしは、ちかくまであるいていく。
「なんで、わたしのなまえをしってるの?」
「私は美咲ちゃんを良く知ってるわ」
「ここはどこ?」
「夢に中よ。これ、どうぞ」
おんなのひとから、ゆのみをもらう。
なかみは、からっぽ。
「ほら、ついでやるから湯飲み出せよ」
よこから、こえがする。
ねこが、にほんあしでたっていた。
へんなびんをもっている。
ゆのみをねこのまえにだす。
ねこが、へんなびんから、なにかをつぐ。
「それは一夜酒よ」
のんでみたら、あまくておいしい。
「何か悩みがあるんでしょ?」
「なんでしってるの?」
「言ったでしょ。私は美咲ちゃんを良く知ってるのよ」
「わたしね、おとなりにひっこしてきたおとこのこと、おともだちになりたいの」
――第一章――
桜が咲いている。
どこか分からない、でも見覚えはある。
いつか夢で見た場所。
「お花がきれい。でも、これも夢?」