星を見つけた君ハートを見つけた僕

第3章 回想( 5 / 11 )

「星をみつけた」vol.1

    「星をみつけた」

    旅先の沖縄で 見付けたんだよ
    波を掻き分け 波を飛び越えて
    「星見つけたよ」 の言葉と共に
    瞳煌めかせた君と 足の取れたヒトデ

    砂に足を取られて 転ぶ君
    慌てて隣に駆けつける 俺
    笑って起きる君に ドキッとした

    「それ怪我してるね」 が最初の言葉
    「そう4本足よ」 という返事
    「違うよ 君の膝小僧だよ」
    それが君との 始まり

    「今年の秋に 一緒に星を見付けようよ」

    I will find out a star in your hand.
    I will find out a star in your eyes.



第3章 回想( 6 / 11 )

「星をみつけた」vol.2

    旅先の函館で 見付けたんだ
    風が吹きぬけ 風がくれたんだ
    「星見つけたぞ」 の言葉と共に
    瞳煌めかせた俺と 紅葉したカエデ

    それを2枚手にして はしゃぐ俺
    傾げて隣に駆けつける 君
    1枚差し出したら 受け取ったね

    「葉に夢を書こう」 が願いの言葉
    「今交換するの?」 という返事
    「違うよ 俺の冷凍庫にね」
    それが君との 約束

    「来年の夏 一緒に解凍しようね」

    I will find out a star in your hand.
    I will find out a star in your eyes.

第3章 回想( 7 / 11 )

「これが今の俺の気持ちだ。今度は怪我してない星を函館ではなくてもいいので、どこかでカエデの葉に桜の気持ちを書いて返事を聞かせて欲しい。その時まで待っているから。いつまでもね。」


 よし、これで送信だ!
「ぴっ」
このぴっが虚しさを少し感じさせたが、桜を信じよう。あの時の笑顔を信じよう。と心に決めて、待つことにした。

その後一週間経っても桜からの返事はなかった。桜さんとよび直す方がいいのか?との疑問と戦いながら日々は過ぎてゆく。
この日々の間、僕は桜と出会った砂浜よりも浮き輪でメッセージを送り、返事が返ってきたあの孤独になれるプライベートビーチに良く通った。
初めのうちは出会った砂浜で思い返していたのだが、そこでは別の女性を見てしまうと言う事にも後ろめたさが共存し、また二人の思い出を汚されたくもなかったので、孤独になれるここが嬉しかった。そして初めて返事をもらった場所でもあったから・・・・・・

海の日から十二日が過ぎ、八月に入った。

第3章 回想( 8 / 11 )

チャラララ…チャラララ…という音で目覚める。この音は僕の携帯の呼び出し音だ。今はまだ夜中の三時だった。
「う~ん、むにゃむにゃ、誰だろう…こんな時間に?」と僕は眠い眼をこすりながら携帯を手にした瞬間、一気に眼が覚めた!桜だった。

「こんばんは。俊介」
「こんばんは。良く電話くれたね。あ~良かった~っ。ほんとによかった~っ」と喜びを現す僕に桜もカラカラ笑ってくれた。
「ははは、ごめんね。お返事遅くなって。実は私、先日まで付き合っている人がいて、その人と別れる時間が必要だったの」なんてかる~く凄いセリフを言ってきた。しかし桜ほど可愛い女性なら当然といえば当然の話だった。
しかし、それには僕は言葉も出なかった。
「でも、昨日ちゃんと別れてきたから。心配しないで。ねっ」なんて想像もしていなかった展開だったのだと今更ながら驚いていた。ま、でも嫌われていた訳ではない事も事実で、一安心したらもう少し眼が覚め、血の巡りが良くなってきた。
「お父さんに電話を切られてから、連絡が取れなかったから、お父さんに嫌われたのかなって思ったよ」なんてちょっと元彼の話から方向をずらしてみた。
「うん、お父さんは私のナイトを気取っているから、どんな男の子も嫌っているよ。はははっ」なんてあの時と一緒の笑いを僕にくれた。本物の桜だった。
「でも、ほんとに良かった。もう駄目か?と思いかけていた時だったんだ。毎日夢でも別れる夢ばかりにうなされていたんだぜ」なんて僕は少し外国人のゼスチャー並みにオーバーに、しかし真実を語ってみた。

星兎心
作家:星兎心
星を見つけた君ハートを見つけた僕
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