星を見つけた君ハートを見つけた僕

第3章 回想( 4 / 11 )

 早速メールを送ることに決めたが、何を送れば良いのか?少し戸惑った。
 実際にはそれ程深く桜のことを知っているわけではないのだ。ここは一つ、彼女のハートを鷲掴みにする何か?を送らないといけない。
 そこで思いついたのが、彼女の一番の趣味でもあり、僕の一番の趣味でもある詩を共通の話題として思いついた。よし、これだ!ありきたりだがそれが一番だと思った。

 早速詩を作ろうと思い、桜との記憶の引き出しを手探りし、それに自分の気持ちというスパイスを振りかけながら一つの作品を創り上げた。

 そして、先頭にこの文章を追記する。

「桜!覚えているかい?沖縄で知り合った栗原俊介です。どうして返事がないのか?と思っていますが、そんな事は携帯電話の料金に聞いてくれって言われるの じゃないかと思って、聞かないね。とにかくもう一度僕が桜に告白すれば良い事だと思うし、これからの僕が送る詩たちに気持ちを込めますので、返事が出来る ようになれば、その時よろしく!」
「じゃ、この詩を読んでください」

第3章 回想( 5 / 11 )

「星をみつけた」vol.1

    「星をみつけた」

    旅先の沖縄で 見付けたんだよ
    波を掻き分け 波を飛び越えて
    「星見つけたよ」 の言葉と共に
    瞳煌めかせた君と 足の取れたヒトデ

    砂に足を取られて 転ぶ君
    慌てて隣に駆けつける 俺
    笑って起きる君に ドキッとした

    「それ怪我してるね」 が最初の言葉
    「そう4本足よ」 という返事
    「違うよ 君の膝小僧だよ」
    それが君との 始まり

    「今年の秋に 一緒に星を見付けようよ」

    I will find out a star in your hand.
    I will find out a star in your eyes.



第3章 回想( 6 / 11 )

「星をみつけた」vol.2

    旅先の函館で 見付けたんだ
    風が吹きぬけ 風がくれたんだ
    「星見つけたぞ」 の言葉と共に
    瞳煌めかせた俺と 紅葉したカエデ

    それを2枚手にして はしゃぐ俺
    傾げて隣に駆けつける 君
    1枚差し出したら 受け取ったね

    「葉に夢を書こう」 が願いの言葉
    「今交換するの?」 という返事
    「違うよ 俺の冷凍庫にね」
    それが君との 約束

    「来年の夏 一緒に解凍しようね」

    I will find out a star in your hand.
    I will find out a star in your eyes.

第3章 回想( 7 / 11 )

「これが今の俺の気持ちだ。今度は怪我してない星を函館ではなくてもいいので、どこかでカエデの葉に桜の気持ちを書いて返事を聞かせて欲しい。その時まで待っているから。いつまでもね。」


 よし、これで送信だ!
「ぴっ」
このぴっが虚しさを少し感じさせたが、桜を信じよう。あの時の笑顔を信じよう。と心に決めて、待つことにした。

その後一週間経っても桜からの返事はなかった。桜さんとよび直す方がいいのか?との疑問と戦いながら日々は過ぎてゆく。
この日々の間、僕は桜と出会った砂浜よりも浮き輪でメッセージを送り、返事が返ってきたあの孤独になれるプライベートビーチに良く通った。
初めのうちは出会った砂浜で思い返していたのだが、そこでは別の女性を見てしまうと言う事にも後ろめたさが共存し、また二人の思い出を汚されたくもなかったので、孤独になれるここが嬉しかった。そして初めて返事をもらった場所でもあったから・・・・・・

海の日から十二日が過ぎ、八月に入った。

星兎心
作家:星兎心
星を見つけた君ハートを見つけた僕
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